今回は2021年2月12日にリリースされたデジタルシングル「メレンゲ」の歌詞考察をしていきます。
JR SKISKI2020-2021キャンペーンソングとなった「メレンゲ」は、作詞・作曲をヴォーカル・ギターのはっとりさんが手掛けました。
では早速歌詞の考察を始めていきましょう!

メレンゲ 歌詞考察
ふわふわと浮遊する雪と傷ついた心

歌詞の中の登場人物は主人公の「僕」と後で出てくる「君」を含めた「僕ら」です。
そしてタイトルになっている「メレンゲ」という言葉が早速出てきます。ちなみに「メレンゲ」とは卵の卵白を泡立てた白くふわふわした食べ物のことです。
「メレンゲ」は勿論、「スノウ」「雪場」と、”白くてふわふわしたモノ”がここでは出てきます。
更に、雪を連想させる「マッチ売り」=『マッチ売りの少女』まで登場し、「マッチ売り」と「油売って」、「行き場」と「雪場」、「スノウ」と「スロウ」など独特な言葉遊びが目を惹きます。
「街の色」が雪がゆっくりと降り、白一色になっていきます。「行き場は雪場に問う」とありますが、JRの冬の風物詩的なCMにちなんで、また「メレンゲ」と韻を踏ませ、その「行き場」というのは「ゲレンデ」ということなるのでしょうか。
ただし「見送る」とあるので、「ゲレンデ」に「僕ら」は行くという訳ではなさそうですね。

主人公は「心の旅」や「歌の出口」を探しているようです。
「心の旅」とありますので、恋愛に傷つき現実逃避をしたいと思っているのでしょうか。
また「歌の出口」とありますので、心がきちんと定まっていないような印象を受けます。
聴いている又は歌っている「歌」も「祈ることしかできない」状態で、その歌の世界の中で彷徨っている訳です。
主人公の雪のようにふわふわと舞う不安定な心情が表れている部分です。

ゲレンデなどの雪のある場所で「白い空を」飛ぶことができるのは、スキーやスノーボードなどではないでしょうか。
スキーやスノーボードの板を「あの翼」と言っていると解釈できそうですね。
また空を飛ぶ「翼」ということで、MVにも出てくる白い羽根が印象に残りますが、この羽根も雪やメレンゲ同様”白くてふわふわしたモノ”であるという点にも注目したいところです。
主人公は、今ではスキーやスノーボードをすることは無くなってしまったようです。そして、かつてゲレンデで「空を飛」んでいた頃のように、自分自身を「好きになりたい」と思っています。
ゲレンデで「君」と恋をしていた時間は「夢だったのかもな」と、かつての楽しかったであろう頃に想いを巡らせています。
雪、マッチの灯、メレンゲもあっという間に無くなってしまいますが、「夢」もまた同様に儚く消えていくものでもあります。
そんな幻のような恋愛を「僕ら」はしていたのかも、と思っているようですね。
過去に想いを馳せている「情けない」状態の今の主人公。「雪に預けてしまえよ!」と自身に向かって叱咤しています。「情けなさ」から自らを引き離してしまいたいのでしょう。
そして主人公は失恋の痛手=「心のトゲ」を何度か繰り返し被っているようです。
大恋愛であれ雪のように儚くあっという間に消え去るような恋愛であれ、「痛み」はやはり「痛み」でしかない訳で、確実に心にダメージをあたえるものなのです。
主人公はかなり精神的に辛い状況にあるようですね。
情けない自分と脱却したい自分

主人公にとって「この翼」(=スキーやスノボ)は「仕舞って」いて「飾り」でしかないという状態で、まだまだスキーやスノボを再開する気配はないようです。
そして「まだ飾ってくれるかい?」と問いかけており、失恋から立ち直るにはもう少し時間がかかることが感じられます。

ここでは主人公のネガティブな描写が更に続きます。
「僕」「この僕」と2回リピートされ強調されています。自分自身の「乏しい」行動を嘆いています。
「知らない他人」と「知っている人間」、「手を貸してもらえた」と「耳を貸さない」と、ここでも言葉遊びが見られます。
見ず知らずの人から助けてもらったのに、主人公はごく限られた身内の言う事しか聞かないという自分自身に、情けなさや卑屈さを感じると同時に、憤りも感じているのかも知れませんね。

ここで主人公の心情に少し変化がみられます。
「独りでは」以前のように空を飛ぶことは出来ないけれど、誰かと一緒と飛ぼうとしているようです。
そして「また僕を好きになりたい」とポジティブなフレーズが続いてリピートされます。
失恋の痛手から立ち直りつつある雰囲気が感じられますね。

「雪に」「預けてしまえよ!」から「返してもらえよ!」と言葉が変化しています。
「情けなさ」を自分から引き離してしまった方が良い、と思うほどネガティブな状況だった主人公ですが、ここでは逆に「情けなさ」を引き受けようとしています。
駄目な現状を受け入れられる余裕が出てきた、若しくは、受け入れようとポジティブになってきているように感じます。
「積もらないうちに溶けた」雪のように、あっという間に消えてしまった「君」との恋愛を「メレンゲ」に例えており、儚さと切なさがラストを飾ります。

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さいごに
本楽曲「メレンゲ」は、冬のゲレンデでの儚い恋愛がもたらした心の痛手を様々な言葉で表現されています。
「メレンゲ」ベースに砂糖などの材料を入れて作られ、口に入れるとふわっと溶けていくお菓子は、甘美であると同時に儚さの象徴と言えるでしょう。
主人公と「君」との恋愛が如何に儚いものであったか、そして、失恋の痛みと切なさが印象的な本楽曲「メレンゲ」。巧みな言葉選びが光る冬うたとなっています。
本楽曲を手掛けたマカロニえんぴつの今後の楽曲にも是非注目していきたいですね!