オレンジスパイニクラブ(オレスパ)「睫毛」(読み方:まつげ)の歌詞の意味を考察します。
2021年10月1日に先行配信された、1stアルバム「アンメジャラブル」(10月20日)の収録曲です。
ボーカル&ギターのスズキユウスケさんが作詞・作曲した「睫毛」の歌詞をチェックしましょう。
睫毛 歌詞考察!
長い夢のような憂鬱を引きずっている
詩的で抽象的な歌詞です。
エモーショナルな心象風景が描かれているので、リスナーそれぞれが思い思いに浸るのが正解でしょう。
あえて具体的なストーリーを考察するなら、このような展開も考えられるという案を提示していきます。
「両手で抱きしめる」ことによって、その「体温」で「水に溶けたような」感覚に陥ったのは「終わりかけた憂鬱」という話です。
まず「終わりかけた憂鬱」というのは、何らかの関係性があった女性への未練を表しているのではないかと推察します。
ずっと引きずっていた思いを「両手で抱きしめる」ように反芻していたら、「憂鬱」な気分が「水に溶けたように終わりかけてきた」という意味でしょう。
その女性のことを実際に「両手で抱きしめた」経験はなさそうな雰囲気です。
あるいは過去には抱きしめたことがあったけれども、現在は抱きしめることができないのかもしれません。
冒頭の心象風景は「独り言」でした。
思いを巡らせるのは「やめて」、実際の行動描写に切り替わります。
ただし矛盾をはらむ行動は、現実感を失っている様子を表しているようです。
禁煙したはずの「タバコ」を吸ったり、「イヤホン」をつけても音楽を聴くわけではなく、逆に自分の耳のほうが「耳鳴り」という音を発したりする始末。
冒頭の心象風景も、続く矛盾に満ちた行動描写も「変化球の言い訳」でした。
つまり「直球の(ストレートな)言い訳」ではないということです。
たしかに具体的でわかりやすい言葉ではありませんでした。
そのせいで「空振り」に終わったと自覚しています。
何の「言い訳」をしているのか、なぜ「空振り」してまで「直球」ではなく「変化球」の「言い訳」しかできないのか、これらはさまざまに想像をふくらませるポイントです。
とにかく主人公は「長い夢の中」にいるような気分に浸っています。
もしかしたら学生時代、主人公は野球部に所属し、主人公の「睫毛」を褒めた女性は野球部のマネージャーだったという設定なのかもしれません。
1番のサビの前半です。
何を「見ないふり」したのか、なぜ「走り去った」のか、についてもさまざまな解釈が可能でしょう。
女性が好意的な目で見つめていることに気づきながらも、主人公は気づかないふりをして逃げたのかもしれません。
「夏の日の午後」に2人で会ったものの、結局、付き合わなかったという展開も考えられます。
1番のサビの後半です。
「気取り」と「祈り」で韻を踏んでいますが、まとめると「若気の至りのようなかっこつけた思い出を自己嫌悪していた」といったニュアンスでしょう。
「君」のような素敵な女性と付き合うなんて自分にはもったいないとかっこつけて、「君」を振ったのかもしれません。
憂鬱な気分から脱する方法とは?
2番に入り、「君」との具体的な思い出が綴られています。
「君」が「俺」に「ポスター」をプレゼントするほど親しかったようなので、2人は付き合っていたのかもしれません。
「彼ら」とあるので、バンドメンバーが写った「ポスター」だったのでしょうか。
おそらく「君」が好きなバンドを「俺」は好きではなかったという話でしょう。
音楽の趣味が合わないことを言い出せなかったとも考えられます。
付き合っていた「君」に別れを切り出したのは「俺」だったのに、別れてからずっと「長い夢の中」にいるような「憂鬱」を引きずっているという展開もありそうです。
「ダメ」な気分が長く続くほど、裏腹に清々しい「天気」の「朝」を迎えることもあるでしょう。
2番のサビの前半です。
「自惚れた」という言葉を拾うと、「ポスター」をくれるくらい仲が良かったから、両思いだと思って告白したら振られたという話かもしれません。
さまざまなパターンが考えられますが、「君」の好意に気づきながら付き合わなかった路線で考察を進めましょう。
2番のサビの後半です。
「ポスター」をくれるくらい仲が良かったから両思いだとわかっていたけれど、「そんなはずはない」と「謙遜」して付き合わなかったことをずっと「後悔」していたようです。
そのため「憂鬱」な自己嫌悪に陥っていましたが、最終的にはすべての思い出を「嫌いになれない」ところまで気分は回復しました。
ギターソロの後のラストです。
結局、「君」と「俺」の関係性ははっきりしませんでした。
そのためリスナー自身の経験を反映させやすいはず。
「俺」には何らかの「後悔」があり、「長い夢の中」のような「憂鬱」な気分が続いていました。
しかし「睫毛を褒められた」などの「感触」を思い出すことで、「目が覚める」ように過去を肯定し、前向きに生きることができるようになったのでしょう。
リスナーもそれぞれの「感触」に触れ、「憂鬱」から脱することができたのではないでしょうか。
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さいごに
芳賀陽平監督による「睫毛」のMVは、海辺や街の物語シーンと、カーテンが揺れる部屋での演奏シーンの2本立てで構成されています。
併せてお楽しみください。