ずっと真夜中でいいのに。(ずとまよ)「またね幻」の歌詞の意味を考察します。
2ndミニアルバム「今は今で誓いは笑みで」(2019年6月)の収録曲。
ACAねさんが作詞・作曲した「またね幻」の歌詞をチェックしましょう。

またね幻 歌詞考察!
失恋後に幻が見える?
見たくもないよ
またね幻 / 作詞・作曲:ACAね
並ぶ残像 青く光るから目を塞いだ
心と体 行き違いで
何にも受け止めきれなかった
「約束は もういい」と嘆く
溢れる前に雲を見ていた
君のその癖は いつからだろう
報われない遡り 終えたいだけなのに
「またね幻」というタイトルなので、「見たくもない残像」は「幻=君=元カレ」。
ちなみに語り手は一人称が「僕」の「ボクっ娘」です。
「心」つまり精神的には「見たくない」と思っているのに、「体」つまり物理的には「見えてしまう」という「行き違い」が起きています。
「青く光る」のは「残像」ですが、「涙」も重なるでしょう。
「思い出したくもないのに、元カレの姿が脳裏に浮かんで亡霊みたいに光り、涙が出そうになったから目を塞いだ(ふさいだ)」という情景が描かれています。
失恋後も元カレのことが忘れられず、心身のバランスを崩しているようです。
交際時に「ずっと一緒にいよう」などと「約束」していたのかもしれません。
その「約束」を果たすかのように、別れた後も「残像」として現れるのなら、「もうやめてほしい」と悲しんでいます。
元カレには「溢れる(あふれる)前に雲を見る癖(くせ)」があったようです。
悲しみの涙がこぼれそうになったとき、その手前で上を向くと泣かずに済むという話でしょうか。
語り手も、涙がこぼれる前に目を閉じるか手で覆うかして、とにかく泣かない(涙が溢れない)ようにしています。
「報われない遡り(さかのぼり)」とは、「恋人関係に戻ることはないのに、過去を回想してしまうこと」でしょう。
元カレを思い出し、似た「癖」を意識したところでヨリは戻らないので、どうにか失恋後の痛みを引きずることをやめたいと願っています。
項垂(うなだ)れたいよ
またね幻 / 作詞・作曲:ACAね
隠す意味ないほど
誰でもいいよ 壊す勇気も知らないで
明らめたくて 名前を呼んでみたけど
わかってる わかってる
まだ成れていない それだけ
「明らめたい」は「諦めたい」、「成れていない」は「慣れていない」の当て字でしょう。
それぞれ「明らかにする」と「成る」という意味を含ませたいために、わざわざ当て字にしているのではないかと考えられます。
失恋後に思いっきり泣くと、どうにかすっきりして次に進めるはず。
しかし、まわりの目を気にして涙を我慢している状態なので、本当は誰の目もはばからず落ち込みたいという話のようです。
実像ではないとわかりながら、「元カレの幻」に呼びかけるなど、混乱した様子が描かれています。
いつか 叶えられるまで 辿り着けないよ
またね幻 / 作詞・作曲:ACAね
ふと よぎるたび 歌にしまうんだよ
涙にもなれない憂だけで 遠く願うんだ
ちぐはぐで飛び込んで いけるとこまで
近づけるほど 夢で会えるかな
探さなくていい 探さないでよ
今は 忘れさせてよ
1番のサビです。
ひとくちに失恋ソングといってもさまざまな段階があり、「またね幻」では「涙にもなれない憂(うれい)=悲しみ」に沈む時期がクローズアップされています。
「叶えたい」のは「元カレを忘れ、失恋の悲しみを乗り越えること」でしょう。
しかし「現実には会えないから、夢で会いたい」と願ったり、そのくせ「夢では自分を探さないでほしい」と拒否したり、矛盾した感情が渦巻いています。
どれほど「忘れたい」と願っても、頻繁に元カレを思い出してしまうというか、むしろ一瞬も考えずにはいられないのかもしれません。
そんな失恋後に思いっきり泣くことができるようになるまでの時期が「今」なのでしょう。
薄っぺらい歌?
綺麗事な涌かさで括るけど
またね幻 / 作詞・作曲:ACAね
遠回る言葉じゃ時間がないから
柄にないこと 言わせてよ
想い続ける脆さを込めた
君のためにって 僕のためで
薄っぺらい歌
「湧かさ」も「湧く」という意味を含ませたいための「若さ」の当て字でしょう。
若者に「元恋人への未練を残した状態は危ない」ことを伝えるために、「幻が見える」といったストレートな表現をしているけれど、本当は自分のために曲を作っているので「薄っぺらい歌」だと自虐モードに入っています。
いつか 叶えられる果て 辿り着けないよ
またね幻 / 作詞・作曲:ACAね
ふと よぎるたび 歌にしまうんだよ
涙にもなれない憂だけで 遠く願うんだ
ちぐはぐで飛び込んで いけるとこまで
近づけるほど 夢で会えるかな
探さなくていい 探さないでよ
いつか 忘れさせてよ
2番のサビです。
1番のサビでは「今は」だったところが「いつか」に変わりました。
どうしても「今は」まだ元カレのことを思い出してしまうけれど、「いつか」は思い出さなくなるようにしたいと切実に願っています。
最後に溢れたのは?
君のかかえる全てを 僕にしまってよ
またね幻 / 作詞・作曲:ACAね
運も時空も もう要らないんだよ
空気みたいな色をしようと 僕にはわかった
気づいたときには 幻なんだよ
それでも ずっと ここにいるんだよ
信じているよ 信じさせてよ
歌うたびに逢えるの
1番で描かれた「元恋人の幻が見える物語」は「君=リスナー」のためでもあり、ACAねさん自身のためでもある警告だと2番で明かされました。
ACAねさんにとっては、リスナーのために曲を書いたと思っても「気づいたときにはリスナーは幻になっている=リスナーではなくなっている」のかもしれません。
それでもACAねさんは「歌うたびにリスナーに逢える」と感じているようです。
何故だろう 見えないものばかり
またね幻 / 作詞・作曲:ACAね
僕らは信じてしまうけど
君からもらった いくつもの
幻想が 運命が 刹那声が
言葉にならない僕を 生かしてくれてた
嘘みたいに 溢れてくよ 見つけたよ
「元カレの幻」にとらわれている人もいれば、「幻のようなリスナー像」を追求するアーティストもいます。
そもそも音楽も「見えないもの」ですね。
「幻想」や「運命」や「刹那声(せつなごえ)=一瞬の声」にも形はありませんが、ACAねさんは「君=リスナー」から受け取った「見えないもの」によって「生かされている」と感謝しています。
最後にACAねさんの目から「溢れた」のは「悲しみの涙」ではなく、「嬉し涙」ではないでしょうか。

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さいごに
「失恋後、元恋人に未練が残ったまま幻が見える」のは、精神的にかなり危険な状態です。
若者への警告とはいえ、歌詞のテーマとして取り上げるには表面的にならざるを得ないというACAねさんの自戒の言葉も重みがあります。
「またね幻」を聴いて、どうにか「ネガティブな幻」を「ポジティブな形のないもの」に変換できるといいですね。
それでも「ネガティブな幻」が消えない場合は、専門機関に相談しましょう。