セカオワことSEKAI NO OWARI「正夢」の歌詞の意味を考察します。
正夢 歌詞考察
君は悲しい夢を見る
悲しい夢を見たんだね 君の心に空いた
出典:正夢 / 作詞・作曲:Nakajin
穴を僕の投げた「おはよう」が通り抜けていった
君が心の奥に抱く癒える事のない傷は
夢の中でさえ生々しく痛みを放つんだね
Nakajinさんの作詞・作曲・ボーカル曲「正夢」。
登場人物は語り手の「僕」と「君」、2人は交際中の恋人同士でしょうか。
朝に「僕」が「おはよう」と挨拶すると、「君」の返事はなかった、つまり無視されたようです。
ところが「僕」は驚く様子もなく、「君」に対して腹を立てるどころか、「悲しい夢を～」などと「君」に寄り添う姿勢を見せています。
つまり「おはよう」の返事がないことは初めてではなく、「君」が抱えている「傷」のせいだと「僕」は知っていることになるでしょう。
どうやら「君」は何らかの「傷」のせいで、何度も「悲しい夢」を見て、朝、途方に暮れることがあるようです。
まだ外は暗い 妙に目も冴えてしまったから
出典:正夢 / 作詞・作曲:Nakajin
2人で朝陽を待とうか
「まだ朝陽は昇っていないので、外は暗い」という話ですが、「まだ君の心が暗いので、明るくなるのを待とう」という意味もかかっているでしょう。
「君」がどのような悩みを抱えているのかはわかりませんが、一緒に寄り添おうとする「僕」の優しさが伝わってきます。
正夢にならないように
出典:正夢 / 作詞・作曲:Nakajin
どうか僕に話して 傷がぶり返さぬように
「ヒトに話すと正夢にならない」
そんなの迷信だって嘲笑って聞いてたんだけど
曲名の「正夢」が出てきました。
「実際に見た夢を誰かに話すと正夢にならない」という「迷信」があるようです。
たしかに科学的な根拠はない「迷信」と思われますが、それでも「悲しい夢」の内容を誰かに話す、内に留めるのではなく外に吐き出す、ネガティブな感情をシェアすることによって、心が整理されて落ち着く可能性はあるかもしれません。
誰にも話せない悩みもあるものですが、親しい人や信頼できる人であれば打ち明けたほうが「傷を癒す」方向につながるとも考えられるでしょう。
寂しさを離してほしい
だいぶ明るくなってきた コーヒーでも淹れようか
出典:正夢 / 作詞・作曲:Nakajin
今日は君の真似をしてミルク多めに注いだ
こんな風にして苦味がスッと薄まるような
言葉を魔法みたいに掛ける事ができたなら
時間が経過して「外がだいぶ明るくなってきた」という展開ですが、「君の心もだいぶ明るくなってきた」のではないでしょうか。
たとえ「正夢」の話が「迷信」だとしても、その「迷信」に乗っかったことにして「僕に話して」という心遣いがありがたく、「君」の気持ちも安らいだはず。
「魔法みたいな言葉」も実際にはありませんが、「コーヒーの苦みを薄めるミルク」を「心の痛みを薄める言葉」になぞらえて「多めに注ぐ」ところがファンタジックです。
君が笑顔を取り戻してくれないと
出典:正夢 / 作詞・作曲:Nakajin
僕もちゃんと笑えないんだ
誰かに対する思いやりは、必ずしも相手のためになるとは限りません。
良かれと思ってしたこと、言ったことが、逆に相手を不快にしたり、負担になったりするケースもあります。
「自分のためにもなることだから、誰かのために尽力する」という姿勢であれば、相手も重く受け止めずに済むのではないでしょうか。
「僕が笑えるように、君が笑顔になってほしい」という話であれば、「君」にも「僕のために笑顔を取り戻そう」という感情が芽生えそうです。
正夢にならないように
出典:正夢 / 作詞・作曲:Nakajin
こびりついた寂しさを 離して欲しいけど
同じ痛みを知らない僕に
その傷を癒やす事はできないのかな
1番の「正夢にならないように、僕に話して」という提案が、2番では「寂しさを離して」という願いに変わりました。
「悲しい夢の内容を僕に話すことによって、寂しさを離す」という発想です。
「過去の辛い出来事が何度も夢に出てくるから、再び起きるかもしれない」というのが「正夢になる」という話でしょう。
「この痛みは経験した自分にしかわからない」ので「話しても仕方がない」と考えることもできますが、どうなるでしょうか。
正夢になるように話さない？
「私たちは同じ道を辿ってきた訳じゃない。
出典:正夢 / 作詞・作曲:Nakajin
違って当たり前だし、同じ傷なんてないよ。
だからこそ私たちは惹かれ合ったんでしょう？」
このパートは「君」が「話した」言葉でしょう。
「悲しい夢」や「傷」の内容を語ったのかどうかについては描かれていませんが、「同じ痛みを知らなければ、傷を癒やせない？」という「僕」の質問に対するポジティブな答えと解釈できます。
「自分にしかわからない痛みだから、誰にも話さない」と殻に閉じこもることはなく、「おはよう」の返事ができない状態からは脱したようです。
とにかく「君」は「話せる」ようになりました。
泣きながら目覚める夜が
出典:正夢 / 作詞・作曲:Nakajin
この先もきっとあるだろうけど
その時はまた今日みたいに
話して朝陽を待とう
正夢にならないように
「君」は「僕」の「おはよう」を無視して途方に暮れていただけでなく、「泣いていた」ことが明らかになりました。
しかも「目覚めたのは朝早くというより夜」だったようです。
「睡眠中の夢にうなされて、泣きながら夜に起きる」ことが繰り返しあるのは深刻な状況と思われますが、これからも「僕」は「君」に寄り添っていくのでしょう。
「話せば正夢にならない」という言葉が「魔法」のように響きます。
僕も今日夢を見たんだ
出典:正夢 / 作詞・作曲:Nakajin
無邪気な笑顔の君を
でも今日は話さないでおくよ
正夢になりますように
最終的に「正夢になるように話さない」というオチにたどり着きました。
「君」が見るのは「悲しい夢」ですが、「僕」が見るのは「笑顔の君の夢」という点も「同じ」ではありませんが、「違って当たり前」という話になるでしょう。
もちろん「正夢になる、ならない」のいずれにしても「迷信」ですが、どうにか願いが叶うといいですね。
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さいごに
「僕と君」のカップルの歌物語として綴られていましたが、「セカオワとリスナー」の関係性に置き替えることも可能でしょう。
リスナーのなかにも夜眠れなくなるほど悲しい思いを抱えている人がいるかもしれませんが、「できれば魔法のような言葉で癒したい」というのがセカオワの願いかもしれません。
もちろん「迷信」や「魔法」はファンタジーなので、本当に深刻な状態であれば専門機関に相談するべきですが、そのうえで音楽によって癒されることもあるのではないでしょうか。
