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丸ノ内サディスティック【椎名林檎】の歌詞を考察!椎名林檎の真骨頂ソングの意味とは?

椎名林檎の初アルバム『無罪モラトリアム』に収録され、シングルカットこそされていないものの、椎名林檎を語る上では欠かせない楽曲『丸ノ内サディスティック』。通称「」(マルサ)。

椎名林檎が率いるバンド・東京事変でも演奏されており、さらにトリビュートアルバムでは椎名の親友でもある宇多田ヒカルにもカバーされた、言わずと知れた名曲です。

『丸ノ内サディスティック』とうタイトルは、当時の営団地下鉄(現在の東京メトロ丸ノ内線)に由来し、楽曲内にもその駅名が多数登場します。

御茶ノ水、銀座、後楽園、池袋。当時”新宿系”と言われていた椎名林檎にしては、新宿以外の場が登場する珍しさも魅力の一つかもしれません。

『丸ノ内サディスティック』の登場人物は、音楽で生きてゆきたいと願う女性のくすぶりと高鳴りがテーマと言っても良いでしょう。

そのモデルは「椎名林檎自身?」と言われていますが、公式に肯定も否定もされていないのだとか。

また特殊な音楽用語が多数登場するほか、椎名林檎らしい独特で妖艶な言葉遣いも魅力

でも、ちょっと分からない歌詞もありますよね。

そんなJ-POP史に残る名曲『丸ノ内サディスティック』の歌詞の意味を考察していきます!

『丸の内サディスティック』歌詞考察

ミュージシャンを夢見る女性

報酬は入社後並行線で
東京は愛せど何も無い

リッケン620頂戴
19万も持って居ない 御茶の水

カツカツとしたヒールのような音で刻まれるリズムで始まる冒頭。

そこに重なるハーモニカの音色が独特の気だるさを演出しています。

主人公はミュージシャンを目指している女性。

音楽事務所と契約しても給料があがることもなく、願った現実が叶っていない悲哀も感じられます。

厳しさが敷き詰められた東京は、夢見る「音楽」に最も近くて好きだけれど、主人公は東京から愛されておらず未だ厳しい現実を憂いているように読み取れます。

そんな主人公は、楽器の街、御茶ノ水にやってきます。そこで見つけたのが”リッケン620 (シックスオー) ”

「リッケン620」とは、リッケンバッカーというアメリカの楽器メーカー、その中の「620」のギターのことです。

そのギターは19万円という高価格。

そんな大金を持っていない主人公は落胆し、音楽への憧憬を深めざるを得なくなります。

とろけるほどに音楽が好き

マーシャルの匂いで飛んじゃって大変さ
毎晩絶頂に達して居るだけ
ラット1つを商売道具にしているさ
そしたらベンジーが肺に映ってトリップ

「マーシャル」とはギターアンプのことです。

その匂いを嗅いだだけで意識が飛んでしまうほど、音楽をこよなく愛している主人公。

毎晩音楽に酔いしれて、とろけるような快感を味わっているのだと思います。

また、「ラット」とはギターのエフェクター「RAT」のこと

実はこのRATを用いていたのは、椎名林檎が尊敬してやまない「BLANKEY JET CITY」の「ベンジー」こと浅井健一。このことも『丸ノ内サディスティック』が椎名林檎自身のことを歌っているのだと言われるゆえんです。

実はRATを使っていたのはアメリカのミュージシャン、Nirvanaのカート・コバーンもでした。

このカート・コバーンは生前、躁うつ病を持つ人物だったようで、ここでは

・肺=High
・映って=鬱

と言葉が掛け合わされているのだそう。

体中を音楽が駆け巡り、トリップ状態の主人公像が浮かび、さらに、椎名林檎の作詞センスがぎらぎらに光っています。

警官ごっことは?

最近は銀座で警官ごっこ
国境は越えても盛者必衰(じょうしゃひっすい)

領収書を書いて頂戴
税理士なんて就いて居ない 後楽園

”最近は銀座で警官ごっこ”

この「警官ごっこ」とは、ローリングストーンズの『Cops and Rubbers』という楽曲からの引用です。

まだ売れないミュージシャンとして暇を持て余す主人公が、海外の楽曲を聴いているのでしょうか?

どれだけ売れている海外アーティストも「結局人生は無常である」と歌っていることに、哀しくも励まされている主人公。

銀座という華やかな街もいずれ廃れてゆくように、人間もいつかは朽ち果てることを思っているようです。

それなのに音楽をするには、お金が必要であるという現実。

しかし、鳴かず飛ばずの主人公には税理士なんているわけがありません。

音楽にサディスティックなまでの愛情を

将来僧に成って結婚して欲しい
毎晩寝具で遊戯するだけ
ピザ屋の彼女になってみたい
そしたらベンジー、あたしをグレッチで殴(ぶ)って

『丸ノ内サディスティック』は仮歌詞の段階では英語で書かれた楽曲でした。

”将来僧になって結婚して欲しい”はもともと「So I am looking for〜」という歌詞が当てられていました。

しかし「僧侶」という高尚な存在に対して「結婚してほしい」と言ってしまう歌詞からは、椎名林檎らしい狂気じみたほどの愛情があふれているように思います。

「ピザ屋の彼女」とは、浅井健一がボーカルを務めていたBLANKEY JET CITYの『ピンクの若いブタ』という楽曲から引用されています。

「グレッチ」も浅井健一愛用のギターのこと。それで「殴ってほしい」というマゾヒズムは、椎名林檎の楽曲の真骨頂でもあります。

音楽への高鳴る愛情と溺れるほどの欲望が感じられます。

未熟な自分を持て余す

青 噛んで熟(い)って頂戴
終電で帰るってば 池袋

ここは「青姦でイッてちょうだい」と掛けられていると言われています。

しかし

・「青」は未熟性
・「噛んで」は「殴ってほしい」と同義
・「熟って」は成熟

を意味しているとも言えます。

主人公はミュージシャン活動の中で、自身の未熟性や「売れない」という現実に自暴自棄になっている反面、音楽への心酔が止められません。

そんな葛藤も感じられる部分です。

”終電で帰るってば池袋”

この歌詞からは、どことなく都会の騒がしさに流されてしまい、誰かと体の関係を持ってしまったり、お酒におぼれてしまったり、そんな虚しさも込められているように感じます。

ミュージシャンとしても、人間としても、成熟を求める主人公の甘く強い切望がここにはあります。

音楽に殴られ続けながら強くなる

再びマーシャルのに匂いで飛んでしまうほどに音楽への憧れを強める主人公。

ベンジーへの飽くなき憧憬に胸を焦がして、今夜もギターを掻き鳴らすのでしょう。

もしこれが本当に、デビュー間もない頃の椎名林檎がモデルの楽曲ならば、このような「くすぶり」こそが彼女を成功に導いたことに感慨深くなってしまいます。

おわりに

いかがでしたか?

独特の固有名詞で綴られる『丸ノ内サディスティック』。

何かが始まりすぐに過ぎ去ってゆく東京の中で、決して消えなかった主人公の音楽への思い。

葛藤やくすぶりをもおしゃれに楽曲化させたのは椎名林檎の偉業と言っても過言ではないでしょう。

椎名林檎初心者の方はもちろん、多くの方に聞いてほしい楽曲です!

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