今回は、人気ボカロP・ピノキオピーさんの新曲「魔法少女とチョコレゐト」の歌詞を考察していきたいと思います。
2月25日にリリースされた本楽曲。
ピノキオピーさんは、2011年に「腐れ外道とチョコレート」という似たタイトルの楽曲も発表されています。
この2曲に何か関係性があるのでしょうか?
早速考察していきましょう!

魔法少女とチョコレゐト 考察

この楽曲は、タイトルの通り【魔法少女】を主人公として描かれています。
まずはじめに出てくるのは、あまり見かけることのないRの反転文字。
「Я(ヤー)」とは、キリル文字の一つで、主にロシア語で「私」という意味を持っています。
「らりぱっぱらぱっぱっぱらっぱ」とは、魔法少女の魔法感?を演出しているのでしょうか?
「純粋が仇になる世界」とは、主人公の魔法少女が生活するアニメの世界を指していると思われます。
現実世界でもそうですが、悲しいことに正直者が馬鹿をみることが多い世界なのでしょう。
救いのない世界で、誰かを守ろうと奮闘する主人公。
週1回放送されるアニメの世界で「また来週も戦えるかな」とつぶやいています。

「可愛い衣装〜立ち向かって」は、魔法少女の仕事が描かれています。
キラキラとした魔法を使って邪悪からみんなを守る主人公。
「それを匿名はディスった」
この歌詞は、SNSが普及した現代社会のことを指しているのでしょう。
SNSは便利な半面、相手の顔が見えないことで、対面では言えないような心無い言葉を簡単に発信できるようになりました。
名前も明かさず、批判する人々。
SNSのあり方に疑問を投げかけているようですね。

続けて批判の内容が歌われます。
有名税という言葉もよく聞きますが、有名になればなるほど人々からの反応や、アンチと呼ばれる批判者たちも増えていきます。
〇〇の内容は分かりませんが、アンチが思う「〇〇であって欲しい」という願いが表れているのでしょう。
大勢から何度もディスられ続ける主人公。
一つ一つは小さなよくある言葉でも、何度も目に入るうちに徐々に心を蝕んでいきます。
魔法のステッキが錆びつく、という表現は、自分の心が荒んでいくということを暗示しているように感じます。

「正直もうやめたい」と本音をこぼす主人公。
守ってきたはずの人からも見えない攻撃をされる毎日に辟易していることがわかります。
まさに「誰が敵か味方かわかんない」状態ですね。
「「陰険」で 「強欲」で 「滑稽」で 「外道」で」
匿名でディスってくる卑怯な人々を批判しています。
日々のそうしたストレスのせいでチョコみたいに溶けていく魔法。
溶けてなくなる魔法とは、自分自身にかけた「魔法少女として人々を守る」という魔法を指しているのかもしれません。

冒頭と同じ歌詞ですが、純粋が仇になるという歌詞は、主人公自身に向けた言葉なのかもしれませんね。
ただ純粋に魔法少女として、邪悪な脅威から人々を守ってきた主人公。
しかし、いつしかその純粋な行いは、味方であったはずの守った人々からの批判で攻撃されます。
魔法少女をやめてしまいたいという主人公の気持ちもわかります。
自分を批判しない、自分の「好きな人だけ守っていたい」という主人公の本音が歌われています。

守ってきたはずの人々からの裏切りに打ちのめされた主人公。
魔法少女として必死に戦ってきた私の頑張りは何だったのだと、憤慨している様子が伝わります。
「魔力が煮え立つ」は普通の人間に直すと腸が煮えくり返るという意味でしょうか?
不満を詰め込み、ヤケクソで調合したポーション(魔法薬)の瓶が割れていまいました。
何をやってもうまくいかない様子が浮かんできます。

この部分の歌詞は、主人公からアンチに対するメッセージが歌われています。
偉そうに批判してくるお前らこそ〇〇なんでしょ?性根が〇〇なんでしょ?とディスり返していますね。
溢れ出る怒りに任せ、自分の脳内で想像を広げる主人公。
主人公の脳内で何が起こっているのか、〇〇の中を考えるのは怖すぎます笑。
しかし、実際にやり返すのはナンセンス(無意味)。
やり返したとしても、問題が解決するわけではないし、状況が良くなるわけではないからです。
心無い言葉に傷ついてもスルーが一番。
光を失っていくブローチは、そのまま主人公の心を映し出していますね。

「腐る」のは、主人公の心でしょう。
ズタボロの心で戦う主人公。
アニメの視聴者は、そんな裏側を知らずに、キラキラとした姿を期待します。
マイナスな感情を表に出すことなく、魔法少女として今日も戦う主人公。
嘘で塗り固められた姿は、まるでチョコでコーティングされているようです。

主人公の裏側を知らないみんなは、表に見えるチョコの味に夢中になっています。
「正直もうやめたい」
やめたいやめたいと連呼しますが、心のなかでは「やめないで」という言葉を期待しているのではないかと自問します。

だんだんと心が蝕まれていった主人公は、ファンの善意や心配している声さえも、耳を塞いでシャットアウトしています。
〇〇には、いろいろな言葉が当てはまりますね。

壊れかけた主人公は、ある一つの結論を導き出します。
その結論とは「魔法で最低な人を消そう」
守る価値のない人間など、自分の魔法で消し去ってしまえば良いのだ、という過激な答えに行き着いたのですね。
主人公の心労を考えると、仕方のないことなのかもしれません。
最後には「自分ごと消えちゃって さよなら」
主人公が、そんなことを考える自分自身を嫌っていることがわかります。
主人公と同じように、SNSでの心無い言葉に傷ついている人々は多くいるはずです。
魔法少女のように、キラキラした一面だけを見せて、裏では抱えきれない辛さに打ちひしがれているのです。
現代社会の問題について魔法少女というポップな題材で表現した素敵な楽曲でした!

1ヶ月無料で音楽聴き放題!
通常880円/月のAmazonMusicUnlimitedが今なら1ヶ月で体験可能!
この機会に聴き放題サービスをお試ししてみよう!
いつでも解約OK!
さいごに
いかがでしたか?
現代の問題について力強いメッセージを投げかけるピノキオピーさん。
多くの人が抱えている悩みを代弁したような曲が、ピノキオピーさんの魅力のひとつなのかもしれません。
今後「腐れ外道とチョコレート」の歌詞についても考察していきたいと思います。