今回は2017年9月6日にリリースされた「幻」の歌詞考察をしていきます。
「幻」は、ヴォーカル・ギターの椎木知仁さんが作詞作曲を手掛けました。
では早速歌詞の考察を始めていきましょう!

幻 歌詞考察
リアルな夢

歌詞の中の登場人物は主人公の女性と「あなた」の二人です。
主人公は深夜に目が覚め、泣いてしまいます。おそらくとてもリアルで幸せな「あなたの夢」を見たからです。
好きな人のとてもリアルで素敵な夢を見て目覚めた時、”続きが見たい”と思ったり、内容を覚えていたら反芻して余韻に浸ることは誰しもあるのではないでしょうか。
主人公が見た夢は「優しい夢」で「心まで溶けていく」という甘く幸せそうなものです。
「その熱が残るような」とあり、かなりリアルな夢だったと推測されます。
泣いたことに関しては、「なぜか」とあることから、自分でも予想しえなかったということでしょう。
主人公が思っている以上に「あなた」のことを好きなのではないか、と思います。


ここでは先ず「あなた」との思い出が描かれています。
「あなた」に対して抱いた感情、もしくは実際に「あなたに」向けて言った言葉の数々かもしれません。
「怒って」欲しい、「振り向いて」欲しい、「嘘」を付く以外の方法で「傷付けて」欲しい、と主人公は「あなた」に対して思っていた様です。
そして、主人公とあなたが一緒に眠っていたことも思い出となっています。以上の事が全て「幻」、つまり現実のものではなくなったと吐露しています。
ここでタイトルでもある「幻」という言葉が出てきました。
広辞苑によると、幻とは”実在しないのにその姿が実在するように見えるもの。幻影。はかないもの、きわめて手に入れにくいもののたとえ。”と定義されています。
どんなに心地よい夢を見て、目覚めて直ぐに覚えていても、時間の経過と共に記憶も薄れていってしまいます。
主人公の見た夢はどんなにリアルでも現実にはない、非常に儚いものなのです。
そして主人公は恐らく別れた時の事を思い出しているのでしょう。「もしあの時泣いていたらどうしてた?」とあります。過去の「あなた」とのやり取りを後悔している様に感じられる箇所です。
夢と「あなた」との思い出を反芻していたら朝を迎えてしまっています。深夜に目覚めそのまま夜が明けてしまう程、長時間に渡り現実にはもういない「あなた」のことを自然と考えてしまっていたのです。
ここでは主人公の「あなた」に対する執着が見て取れます。
後悔と美化


ここでは主人公の「あなた」に対する想いが溢れてそこかしこにこぼれているのが印象的です。
兎に角、「あなた」の夢を見てから、思い出と夢がない交ぜになった状態で「あなた」の事と二人の関係性について思いを巡らせています。
思い出も夢の中でも「あなた」は同じように笑ったり、話したりしているのです。
しかし、良い思い出/夢ばかりではなく「最後には取り乱して」いたとあります。
それを受けて、現実で二人が別れた時に発した言葉、もしくは主人公の思いが提示されています。
「どうしたら良かったの」か、何故「あなた」は何も「いわないの」か、と疑問を投げかけます。
更に、理解できずにいて「ごめんね」と「あなた」に謝り、「最後ぐらいちゃんとしたかった」と後悔の言葉がたたみ掛けられます。
「あなた」と別れた主人公は一人で寝ているのですが、もう現実ではなくなっている「幻」の「あなた」の痕跡がそこにはある様です。
現実と夢・幻、相手を責めたり謝罪したりと、様々な感情ががごちゃまぜの心情と一人寝の寂しい主人公の姿が非常にリアリティを伴って描かれています。

美しい思い出は現実でも夢の中でもそのまま美しいものです。しかし、「悲しみ」や「疎ましさ」を伴った思い出さえも夢では美化されてしまっている様子が伺えます。
そして、やはり別れたことに対する後悔の念は引きずっている様子も描かれています。
現実と夢の狭間

ここでは、主人公が「あなた」と別れた日から時が止まっているかのような状態が描かれています。
以前はイキイキと咲いていたであろうベランダの花は枯れてしまい、日めくりと思われるカレンダーも別れた日のままです。
その日は指輪をしていたのでしょうか。それすら「あなた」に気付いてもらえなかったことを思い出し、主人公は目を閉じます。

夢の中では「あなた」はとても優しく後悔して言いたいことも言えなかったと吐露しています。
いないはずの「あなた」の幻影をただただ主人公は追いかけている様です。
「幻」でもいいから「あなた」と一緒にいたいという様な切実さが伝わってきます。

主人公は目を瞑りそのまま夢の続きを見ていたのでしょう。
少し希望が見えるような言葉が連なっています。
二人でいると以前に戻っている様に感じ、よりを戻したいという思いを主人公から言われた「あなた」は笑顔です。
しかし、これは残念ながら現実ではなく「また夢」のお話なのです。
夢であることに気付いた主人公の絶望感や寂しさが、「また夢だ」というフレーズで伝わってくるラストとなっています。

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さいごに
本楽曲「幻」はとても現実味のある失恋ソングで、共感できる人も少なくないのではないでしょうか?
現実には自分の元にはいない人との対話をあれこれ想像してしまったり、実際にその人が夢に出てきて、そのリアルな感覚にドキドキしたり回想したりといったことはありがちなことでしょう。
ただ、この歌詞の主人公は「あなた」への執着がみられ、別れた事に対しての未練や後悔といったものが色濃く感じられます。
現実の「あなた」を手に入れることが出来なくなった今となっては、幻の「あなた」を追いかけずにはいられない主人公。
そんな主人公にとって現実の「あなた」との恋愛は非常に尊いもので、何ものにも代えがたいものだったと想像できます。
本楽曲「幻」は、失恋した女性の複雑な心情をリアルに表現しており、惹きつけられるものがあります。
今後もMy Hair is Badの楽曲に注目していきたいですね!