今回は、米津玄師さんの新曲「M八七(エム ハチジュウナナ)」の歌詞を考察して生きたいと思います。
「M八七」は、5月13日に公開される映画『シン・ウルトラマン』の主題歌として書き下ろされました。
映画制作陣の「今の音楽業界をあらゆる世代を含めてけん引する存在であり、かつ、その楽曲の持つ世界観に底知れない力のある米津玄師にお願いしたい」という意見から今回のオファーにつながったそうです。
楽曲コメントと合わせてみていきましょう。
楽曲コメント
米津玄師さんのコメントをご紹介します。
主題歌のお話を頂いた瞬間は「何かの間違いでは」と思いました。
シン・ゴジラを劇場で何度も見ていた頃や、シン・ウルトラマンが制作発表された頃、まさか自分が関わることになるとは夢にも思っておらず、青天の霹靂の一言に尽きます。
超然としたウルトラマンの姿を眺めながら曲を作りました。
米津さんが作るウルトラマンの姿はどんなものなのでしょうか?
曲のリリースが楽しみですね。

M八七 歌詞考察

この曲は主人公の僕と、それを見守る第三者(米津さん本人?)の視点を繰り返しながら描かれていると感じました。
まず冒頭で描かれるのは主人公・僕の心情です。
「遥か空の星」は映画と結びつけて考えるとM78星雲の星星ですが、ここでは僕の心の中にある理想の姿、希望を暗示していると捉えて解釈します。
遥か遠くに見える希望の光。
ただ輝くのではなく「ひどく輝いて見えた」という描写から、僕がその光に大きな可能性を感じている様子が分かります。
光を追いかける僕が震えていることからも、僕があまりに大きい力を持った光に対して畏怖のような感情を抱いているように思います。
時が経ち、追いかけていた光から、強さ・パワーを手にすることが出来た主人公。
割れた鏡を通して弱々しく光を追いかけていた「いつかの自分」を見つめる様子が浮かんできます。
割れた鏡は元に戻ることはありません。
このことから”戻れない過去”を表しているのではないかと考えました。
空に浮かんだ光を追いかけてとてつもないパワーを手に入れた僕でしたが、”大いなる力には大いなる責任が伴う”という言葉もあるように、逃れられない使命も背負うことになりました。
もう何も持っていなかったあの頃の自分には戻れない、このまま使命を全うするしかないのだという強い決意を感じさせます。
ウルトラマンという力を手にして地球を守るという使命を受けたストーリーとも通じる部分がありますね。

ここからは米津さんの目線で描かれていると仮定して読み解いていきます。
君=主人公を指しています。
風に吹かれて舞い上がる帽子を見上げる描写は割れた鏡を見た時のように、もう戻れない懐かしい日々を思い浮かべている様子が浮かんできますね。
様々な困難が待ち受ける、長いようで短い旅を続ける主人公の運命に寄り添っているように感じました。
そして主人公に大事な想いを伝える米津さん。
「君が望むなら それは強く応えてくれるのだ」
「それ」とは、平和な日常と引き換えに手に入れた大いなる力を指しています。。
これからどんな困難が待ち受けていようとも恐れず立ち向かっていけ、その力を持っているのだから。
ただ、力を手にしたからといって「強くなりたかった 何もかもに憧れていた」あの時の痛みを忘れてはいけない、痛み、弱さを知っているものこそ本当に強い人なのだからというメッセージが込められているのではないでしょうか?

再び主人公の目線に戻ります。
目の前で今まさに枯れようとしている花。
この花は、主人公にとっての大切な人を暗示していますね。
尽きかけている生命の力を振り絞って「姿見えなくとも 遥か先で見守っている」とメッセージを残します。
自分が消えてしまってもあなたは一人ぼっちではない、皆が見守っているんだという温かい想いが歌われています。
生命を掛けて伝えるメッセージの重み、繋がれるバトンの重要性がわかる部分ですね。

大切な人をなくし、喪失感で打ちひしがれている主人公の様子が米津さんの目線で歌われます。
「削れていく心根」という歌詞から主人公の心が荒んで自暴自棄になりかけている様子が浮かんできました。
しかしそこで終わりではありません。
「物語の始まりは微かな寂しさ」
ヒーローは悲しみ・寂しさを乗り越えることで、新たな物語に進むことが出来るのです。
この考えはウルトラマンに限らず、全ての物語、多くの人の人生にも当てはまりますね。
悲しい出来事があり絶望に打ちひしがれている人も、どうか立ち上がって欲しい、物語は微かな寂しさから始まるのだから、という米津さんからのメッセージのように感じました。
「君の手が触れた」のは、この歌を歌っている米津さん自身でしょうか?
引き合う孤独の力とは、多くの人が感じている孤独感を指していると思われいます。
孤独を感じている人が互いに引かれ合う力は、他の誰にも邪魔できるものではありません。
自分の命が果てるまで、とことん付き合い続けるという強い意志が感じられました。

冒頭の輝く星が再び登場します。
最初と違うのは星が木の葉に遮られている部分。
主人公である僕はひどく輝く光を見て、震えながら追いかけたことで平穏な暮らしと引き換えに大きな力を得ました。
このことから追いかけると大いなる力を手にできる星の光は、見たものを魅了し虜にする危険さも持っているのではないかと仮定しました。
光=人間誰しもが心の奥底に持っている欲望と解釈することも出来るのではないでしょうか?
既に力を手に入れている僕は優しい目で光を見つめ、未来に想いを馳せます。
そして再び手を取り合ってゆっくりと進んでいくのです。
「何も知らずに彼方のほうへ」という歌詞から、人間の存在の小ささ、光の全能感が感じられますね。

再び繰り返される米津さんからのメッセージ。
どんなに苦しくても悲しくても、あの時感じた痛みを忘れるな。
前半で歌われた痛みは力を手にする前の自分を指していましたが、ここでは大切な人を失ったという痛みも含まれているように感じました。
生きている以上、苦しいときや悲しいときが訪れる。
だからこそ、そこから新たな物語が始まるのだ。
その時の痛みを忘れることなく、己の力を過信することなく、真っすぐ進んで言って欲しい。
曲全体を通して、そんな願いが込められているように感じました。

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さいごに
いかがでしたか?
映画の要素を含みながらも、米津さんらしいメッセージのこもった素敵な楽曲でした。
映画館で聴くのが楽しみです!