今回は2022年にデビューを果たした歌手Natumiさんが歌う切なくも力強いラブバラード「ラストノート」の歌詞について考察してみたいと思います。
Natumiさんとは
幼少期より、生まれ育った広島にて表舞台で活動されていましたが2020年上京。
2022年夢を叶え、アニメ「境界線機」第二部のエンディングテーマ「pARTs」でCDデビューを果たす事になりました。
繊細で透き通った歌声に、私はこの先大きく活躍されるという強い予感を感じています。
Natumiという名前には「Naturalな自分で」という意味も込められており、アニメヲタクな一面も公表しています。
楽曲 ラストノート
ドラマ「アトムの童」の挿入歌として発表され2022年11月11日から配信が始まっています。
「アトムの童」とは2022年10月16日~12月11日までTBS系「日曜劇場」で放送されました。
主演に山崎賢人さんを迎え若く才能溢れたゲーム開発者が苦悩しながらもゲーム業界に挑むストーリーとなっていてNatumiさんも毎週ハラハラしながら見ていたそうです。
Natumiさんは、ドラマ「アトムの童」と楽曲「ラストノート」の共通点として「傷付いた部分も力に変え、未来に向かって一歩進むところ」だと挙げていらっしゃいます。
作品も歌詞も大切に気持ちを込めて、見ている方に気持ちを届けたいとコメントされていて、表現する事を非常に丁寧に考える方だという印象を受けました!
またご両親が日曜劇場の大ファンで、Natumiさんは自身が楽曲を歌う事で恩返しできたと思うと、ご両親を大切にしている一面も見る事が出来ます。
ラストノート 歌詞考察
さよならには
あまりにもまだ 早すぎたんだ
くすんだ水の底
わずか光る破片を掬うたび
胸を刺しては消える
君が残したその香り
溢れ出す
あの日の ラストノート
出典:ラストノート / 作詞:東乃カノ 作曲:サクマリョウ
「くすんだ水」で失意の中にいる事、「わずかに光る破片」で楽しかった思い出を表現し、思い出は心を刺していくと別れた事に想いを馳せる所から楽曲は始まります。
楽曲の題にもなっている「ラストノート」とは直訳すると最後のノート。
ノートには「記録」「書き留める事」と言った意味がありますので「(君の)最後の情報」と考える事ができます。
また、「ラストノート」には香水を付けた後、2~3時間後の香りという意味も存在します。
香水の中にある成分が飛び、最後まで残った香りの成分とその人の持つ元々の匂いと混ざるので「香水を付けている人を表す香り」と言われる事もあります。
おそらく女性の方や香水に詳しい方は後者を思い浮かべるのではないでしょうか。
君は香水を付けていたのでしょうか。
ふとした瞬間、香りを思い出す事はよくある事。香りは沢山の思い出を呼び起こし、君との最後の思い出も思い出したのかなと思います。
したがってここで使われた「ラストノート」とは最後の記録の意味ではないかと考えます。
瞬くように移ろう季節に
振り落とされないことだけ気にして
君は遥か日常を泳ぐ
知らない表情して前だけを向いて
あぁそれなら僕は
掛け違えたボタンのままでいいからさ
君の余韻をそっと拾い集めていたい
出典:ラストノート / 作詞:東乃カノ 作曲:サクマリョウ
時間の流れは速く、瞬きをする様に流れていきます。
仕事も学業も、ファッション業界も世の中のイベントも、目まぐるしく変わっていく季節に合わせて乗り遅れないようにと、誰もが必死になる社会。
沢山の情報を処理しこなしていく君の表情(かお)は主人公の見た事ない表情だったのでしょう。
時間に追われ、日常を過ごす事に必死になるのが正解ならば、僕は何かを間違えたままでもいいと考えます。
がむしゃらの日々を過ごすよりも、君との想い出をそっと想い、その想い出を繋げていける余裕が欲しいと歌っているのではないでしょうか。
さよならにはあまりにもまだ 早すぎたんだ
くすんだ水の底 わずか光る破片を
掬うたび
胸を刺しては消える 君が残したその香り
なんて鮮やかだろう ラストノート
出典:ラストノート / 作詞:東乃カノ 作曲:サクマリョウ
別れたのは早すぎたのではないかと、過去を悔やみます。
別れを選ぶ前にもっと、出来る事があったのではないか?と、後で後悔する事もありますよね。
悲しい現実の中、やっと思い出せた楽しかった思い出も胸を刺して痛みに変ってしまう。
人は匂いが記憶に残りやすいと言われています。
思い出と共に蘇るのは君の付けていた香水の香り。
特に付けたばかりの香りではなく一番香る機会の多かったラストノートが脳裏に焼き付いていて拭えないのではないでしょうか。
ありふれている 幸せの一片
ピースに当てはまらない二人だったから
行く宛てを失くした もしもの話
今でも大事に仕舞っているけど
あぁ手のひらの上色褪せてく
フィルムに気付かないふり
もう終わりにしよう
また君と向き合うために
出典:ラストノート / 作詞:東乃カノ 作曲:サクマリョウ
「幸せ」の定義は人それぞれだと言われますが、それでも世の中には物差しのような「幸せの定義」は、散らばったパズルのピースの様にあちらこちらに溢れています。
その一つ一つの一片(ピース)のどれにも当てはまらない価値観を持っていた二人だったけど、それでも、このまま一緒にいたらもしかしたら「結婚」という一般的には「幸せのピース」である未来を考えた事もあるのかもしれません。
それはもう叶う事も口にする事も無く、そっと心の奥底に隠しているけれど、と歌っています。
少しずつ鮮明さが薄れていく思い出。
霞んでいく様を見てみぬふりしていたけれど、もう思い出にすがるのはやめようと僕は立ち上がります。
君とまた向かい合う為に、気持ちに区切りを付け前に歩き出す時が来たのだと気付いたのではないでしょうか。
思い出とは呼べないほどの痛みの中で
君の幸せ願えずにいる僕だけど
素っ気なく流れていく毎日に
溺れそうなときは いつも遠い背中想う
君の向こう側にある日々に
まだ僕は行けそうにないんだ
帰り道もわからないのに
もう一度と今日も夢見てしまうよ 君を
出典:ラストノート / 作詞:東乃カノ 作曲:サクマリョウ
思い出すだけで胸が痛くなる君と過ごした日々は思い出と呼ぶには辛すぎて、心に余裕が無くなっていた僕は、君の幸せすら願えずにいたのかもしれません。
淡々と流れる日々に自分を見失いそうになった時、いつも浮かんでくるのは今は、何処か別の場所で頑張っている君の後ろ姿。
「君の向こう側にある日々」とは、君を越えて進んでいった先にある日々。
つまり「君」が居ない日々の事かなと考えました。
「帰り道もわからない」というのは、君の事を思い出さなくなって、君が居ない事に慣れてしまったら、もう「君」を知っていた僕に戻れないのではないか、という不安と寂しさではないでしょうか。
だから、今日も君ともう一度日々を過ごす事が出来ればと願ってしまうのです。
忘れるには あまりにもまだ愛しい記憶が
押し寄せては返し心埋め尽くしてく
願うんだ
僕の選んだ道がやがて君に続くように
追いかける あの日のラストノート
さよならからまた何度でも始めればいい
青すぎた月日を連れて 明日へ向かう
もう恋と呼べることはなくても
形を変えていつの日か君に会いに行くよ
きっと
抱き締めるあの日の ラストノート
出典:ラストノート / 作詞:東乃カノ 作曲:サクマリョウ
忘れなければならない、忘れなければ前に進めないと頭で分かっていても、思い出す思い出は一つ一つが鮮明で愛おしくて、波の様に押し寄せ、波が引く様に心に傷跡を残すけれど、手放せるものではないと僕は思います。
僕が選んだこの道の先には、もしかしたら君にまた巡り合える運命が転がっているかもしれないと、僕は歩き始めます。
ふと、香った君のラストノートと最後の笑顔や声・言葉等の「情報」を道しるべにして。
大人になり切れなかった僕の後悔も決して忘れず見つめ直し、それも糧にして前に進むと僕は思います。
全て無かった事には出来ないのなら、「さよなら」と別々に歩いた瞬間からまた始めたいと歌っています。
もしもまた二人離れる事になったら、自分を成長させその分岐点から歩み直せばいいのです。
二人を表す関係が「恋」では無くなっても必ず君にまた会い会いに行くと誓いますがこちらも二通りの意味が考えられますね。
恋が終わって二人の関係が愛になっている可能性。
そして、恋が終わり良き友人として関係が続いている可能性。
どんな形でも君の事を大切にしたいという大きく前向きな気持ちが伝わってきます。
ラストノートとは最後まで残る香水の香りであり、その人を表す香り。
君との思い出も最後まで僕の中に残り続け、君との思い出があるからこそ「僕」であるという意味だと考察する事が出来るのではないでしょうか。
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さいごに
いかがだったでしょうか。
2022年デビューし透き通った声と豊かな表現力が印象的なNatumiさんが歌う「ラストノート」の歌詞を考察してみました。
心地よい流れるような歌声にぴったりの切ないバラード、そして最後の力強い一歩は聴く人を魅了する楽曲となっているのではないでしょうか。
Natumiさんも、これから様々な事に挑戦していく事でしょう。
目が離せないシンガーとして活躍を期待しています!