Official髭男dism(ヒゲダン)「LADY」の歌詞の意味を考察します。
全4曲のデジタルEP「LADY」(2017年10月)のタイトル曲で、タイトル曲としてはバンド初のバラードになりました。
藤原聡さんが作詞・作曲した「LADY」の歌詞を紐解きましょう。
LADY 歌詞考察!
独占欲が強い幼い愛
実際は性別にかかわらず、人それぞれと思われますが、男性のなかには「初めて」という言葉に弱い人もいるようです。
ところがある程度年齢を重ねた大人になると、交際相手がお互いに初恋同士という機会は少なくなります。
それでも「僕ら」すなわち「僕と彼女」は元カレや元カノの存在が気になる、独占欲が強いタイプ。
あるいは肉体的には大人なのに、精神年齢は幼いままなのかもしれません。
「記憶を紙に見立てて、マジックで上書きし合う」という行動をとっています。
具体的には「彼女が元カレと出かけた思い出の場所を選んでデートする」などでしょうか。
そのような「上書き」をしたからといって「初めて」にはなりません。
しかし独占欲が強いあまり、「上書き」することによって昔の「記憶」は消去される、という2人だけの思い込みルールを作り上げてしまったようです。
「君の初めての彼氏が僕だったら良かったのに」というのが2人の共通の願いです。
「僕の初めての彼女も、おそらく君ではない」ことについては気にならないのでしょうか。
しかも、実際は「どれほど上書きしたところで初恋相手にはなれない」ことをきちんと自覚しています。
2人とも正確な事実認識や「年甲斐もない」という冷静な判断はできているはずなのに、「上書きごっこ」をやめられません。
そのうえ、この独占欲のかたまりのような交際こそが愛だと思い込んで喜んでいるところが「痛くて怖い」ですね。
ただ、藤原さん自身の実話も少しは混ざっているそうなので、成り行きを見守ることにしましょう。
1番のサビです。
「僕の愛し方は幼い、馬鹿みたい、面倒くさい」と自覚したうえで、「君」のことを「世界で~LADY」と思うのであれば、恋愛のかたちは人それぞれという話になります。
離れたときもあった?
これらは「僕」が「君」にかけたなぐさめの言葉ですが、まったくなぐさめになっていません。
むしろ、いつまで経っても「僕」が「君」の過去にヤキモチを妬いていることが強調され、逆効果です。
まったくなぐさめになっていない、なぐさめの言葉を「気の利いた事」だと思い込んでいるところもズレています。
気の利かない、ズレたやり方だとしても、これまで「僕」が「君」をなぐさめようとしていたのは愛情の表れです。
しかし「僕」自身が「君」をなぐさめることにも疲れ果ててしまいました。
そのせいで「僕らが小さくなった」のではなく「そもそも僕の愛し方が小さかった」ことも藤原さん自身はわかっていて、ホラーになりそうな恋愛をコメディタッチで描いているのでしょう。
「痛くて」の後、1番では「怖くて、嬉しくて」と続きましたが、2番では「憎くて、情けなくて」に変わっています。
「僕」は「君」のことを変わらず愛しているものの、その愛し方が個性的というか強すぎるというか歪んでいるので、消せない過去を恨んだり、自己嫌悪に陥ったりしているのでしょう。
歪んだ愛は裏返って「憎しみ」に変わりがちですが、「憎しみ」の対象が「君」ではなく、「上書きごっこしたおかげで君への愛が消えないこと」なのはせめてもの救いです。
1番のサビでは「ためらってすれ違っても愛しいのは」だったところが、2番のサビでは「意地張って~寂しいのは」に変わりました。
独占欲が強い「僕」に対して、「上書きごっこ」に付き合うほど「僕」のことが好きな「君」なので、たとえ「別れる」と宣言して距離をとったところでヨリは戻りますね。
「幼い、馬鹿みたい、面倒くさい」のは「君」というより「僕」のほうだということも、本当はお互いにわかりつつ、「君」が「僕」を立てているのではないでしょうか。
初めての結末が明かされる
結局、「僕」は念願の「初めて」を手に入れることができました。
もちろん「君の初恋」という話ではなく、「僕が溺れるほどの想いを抱いた」のは「君が初めてだった」というオチです。
むしろ「君」が「僕の初めての本気の愛」を手に入れたような気もしますが、いずれにせよホラーに走らず、ハッピーエンドになって何よりですね。
1番と2番のサビが繰り返された後のラスト。
要するに、精神的に幼かった「僕」を「君」が上手に導いたという話ではないでしょうか。
あれほど「君の初めて」を望んでいた「僕」が「自分の初めて」でどうにか落ち着いたのは、「君」が「世界で~LADY」だったからです。
「愛しくて、憎くて」という狂気に変化するまえに「本物の愛」を築くことができて本当に良かったですね。
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さいごに
「LADY」には藤原さんの実話も含まれているとのことですが、どの部分がリアルなのかはわかりません。
「上書きごっこ」に付き合ってくれる女性はまずいないと考えたほうが無難です。
強すぎる独占欲は自我であって、相手を思いやる「本物の愛」ではないので、少しでも自覚がある人は「LADY」を聴いて見習いましょう。