2017年に発表されたBUMP OF CHIKEN の『記念撮影』。
日清カップヌードルCM「HUNGRY DAYS アオハルかよ。」にも起用された耳に残る鮮やかな旋律が心地の良い楽曲です。
これから歌詞を考察していきますが、登場する「コーラ」「ブレーキ」「レシート」などから、何の変哲もないが、いつか必ず終わってしまう学生時代をイメージさせる『記念撮影』。
しかし、聴き込めば聴き込むほどに、人生のターニングポイントにぴったりな歌詞でもあるのです。
過ぎてゆく日々を前にした「僕」と「君」の刹那の中に浮かび上がってきた心情とは何なのか。
考察していきたいと思います。
『記念撮影』歌詞考察
モラトリアムな時間を過ごして
あてもない時間を過ごしているような主人公。
「目的」「理由」といった明確な何かをあてにしているわけではないことが想像できます。
ある種の「モラトリアムな時間」を持て余しているかのような、かったるさも感じられます。
これから来る未来に不安を覚えているのでしょうか?
大切な一瞬を映して
ここで、主人公のとなりに、友達らしき人物がやってきたのが分かります。
「ブレーキ」という単語から、自転車に乗った友達が「何してんの?」と声を掛けけきたような明るさが感じられます。
”好きなだけ喋って 好きなだけ黙って”
こんな歌詞からは、ふたりが気の置けない友達同士であることが分かります。
そしてふたりとも、漠然とした不安=”曖昧なメロディー”を語り合っているのではないでしょうか?
ふたりの心の中に渦巻く不安を描写した歌詞なのに、なぜかふたりにとって大事な瞬間を過ごしているのが感じられる一節です。
君がいたから、わかったこと
”やりたいことがない わけじゃない”
これからの進路について頭を抱えている主人公たち。
「やりたいことが現実にできることなのか?」
そんな不安を覚えている人には刺さる歌詞ではないでしょうか。
しかし、そんな不安を払拭してくれるのは、となりにいる「君」の存在です。
自分一人では気付けないことなのに、友達と一緒だと心の中がはっきりとわかる瞬間はないでしょうか。
ここの歌詞では、お互いがお互いの不安を拭い、大丈夫だと確固たる心を信じている強い心情が読み取れます。
人生は似た出来事の繰り返し
昨日のことを思い出してみてください。
今日とあまり変わらない日を送っている人は多いと思います。
人生は、いつも似たような出来事の繰り返し。その事実に辟易している主人公。
そんな退屈な日々の中でも、未来のことを考えてゆく憂鬱さを感じ取れる歌詞です。
”見落としたり 見落としたふりしたり”
大事なテスト、進路相談、就活。
これからの人生を決める大事な「何か」から、必死に目を背けたくなる心痛い気持ちが染み渡っています。
面倒な本音とは?
これからを決めてゆく大事な瞬間を目の前にした主人公と、君。
”冗談と沈黙の奥の何か”
この歌詞からは普段のお互いの会話の中で、お互いが言葉にしていない「何か」が見え隠れしています。
楽しい会話をしている時に「お前、将来どうするの?」なんて言っても白けてしまう。
沈黙している時に「将来、何になりたいの?」なんて言ったら気恥ずかしい。
とても大事なことに限って、言葉にできない歯がゆさ、面倒くささがここには込められているように感じられます。
記念撮影のシャッターがおりる
”固まって待ったシャッター”
ここで、タイトルの「記念撮影」を彷彿させる言葉が登場します。
楽しくて終わってほしくない青春の一時を固めてしまうように、そのカメラのシャッターを切ります。
しかしシャッターを切ってしまった瞬間から、未来はずんずんと進んでいきます。
”手のひらの上の動かない景色の中から 僕らが僕らを見ている”
この歌詞からは、青春時代を過ごしていた「僕ら」を、未来を歩む僕らが見ているのが分かります。
美しい瞬間を記念に切り取って、一歩面倒な未来に進んでゆく「僕ら」の時計の針が動いていく。
それはとても切なくて、酷で、悲しいことかもしれません。
でも、記念撮影した一瞬があれば、いつでもその瞬間に戻れる。
そのような希望も感じられます。
未来の世界にやってきてしまった
最初に出てくるのと似ている歌詞。
しかし”覚えて慣れて” ”一人でなぞった”、この部分が異なっています。
すなわち、主人公はモラトリアムの時間を終え、新しい未来の世界へ足を踏み込んだのでしょう。
でもそこには「君」はおらず、一人で頑張っている姿が想像できます。
上京したり、知らない土地へ引っ越したり。
あの時、主人公が望んでいなかったような未来の世界なのかもしれません。
記念撮影の日から今日まで
”レンズの向こうの世界へ投げたんだ”
これは記念撮影した瞬間に、主人公が写真に託した思いのことでしょう。
言葉にできなかった未来への不安、どうしようもできない暗澹たる気持ち。
「君」と一緒に感じていた様々な気持ちを、解き放つように写真の向こうへ投げ込んだのでしょう。
そして、未来の世界に立った今。
主人公はもしかしたら、想像通りの寂寞とした未来を歩んでいるのかもしれません。
しかし、その未来があの「記念撮影」の日から地続きであることを思うと、そんなに「捨てたもんじゃない」と心強く思えるのでしょう。
分からないままで大丈夫
”迷子のままでも大丈夫”
これは、青春時代に主人公が放った言葉と同じです。大人になった今でも同じ言葉を放っています。
あの時描いていた未来は、やっぱり想像通りキラキラしていないものだったのかもしれません。
しかし、「君」と一緒に笑ったあの一瞬があったからこそ、「大丈夫」と思えているのでしょう。
過去と未来は隔たっておらず、同じ時間線上にあります。
だからこそ一回でも大切な人と「大丈夫」と言い合った瞬間があれば、未来だって「大丈夫」なのです。
理屈を超えた美しい「大丈夫」が、最後に綴られます。
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おわりに
『記念撮影』の歌詞考察、いかがでしたか?
どうしたら良いのかわからない学生時代にぴったりな青春ソング。
主人公のような気持ちを抱いている人はぜひ一聴いてみてください!