今回は2019年6月26日にリリースされた4枚目のアルバム「boys」に収録された「化粧」の歌詞考察をしていきます。
「化粧」は、ヴォーカル・ギターの椎木知仁さんが作詞作曲を手掛けました。
では早速歌詞の考察を始めていきましょう!

化粧 歌詞考察
危うい繋がり

冒頭での登場人物は「二人」、つまり主人公とその恋人と推測されます。
「湿ってたバスタオル」「二人が着ていた 寝巻き」などのフレーズから、性的な関係を持っているのが伺えます。
使った後のバスタオルは「床に落ちたまま」や、寝巻も「くしゃくしゃに 残ったまま」といった描写は非常にリアリティがあります。

ここでは二人が普通の恋人同士ではないことがわかります。
登場人物の二人に加え「あの子」というもう一人の女性の存在が明らかにされています。
ここで漸く主人公が、いわゆる”三角関係”のただ中にいる事がわかります。
そして残念なことに、主人公の恋人は「あの子のこと」を「まだ好き」な様です。
主人公の恋人は先ず「あの子」と付き合っていて、その後で主人公と付き合い始めたものの、実はまだ「あの子」とも続いている、ということでしょう。
主人公はいわゆる「本命」ではなく「セカンド」という立場の様です。
恋人を繋ぎとめたいという願いがありますが難しい状況です。
ここでタイトル「化粧」に関連のある言葉「口紅」「赤」が出てきます。”運命の赤い糸”になぞらえて「口紅で書いた 赤い糸」というフレーズが提示されています。
しかし、そんなものでは恋人を繋ぎとめられないという虚しさや悲しさが伝わってきます。
このことから、主人公と恋人の関係性が非常に危ういものであることがわかります。
精一杯の強がり

主人公は恋人を繋がっていたいという心情とは裏腹に「もう行かなきゃ。」と言って目に留まった関係のない車を指し「迎えに来てくれたの」と笑って嘘をつきます。
主人公は悲しいのに笑い、恋人と離れたくないのに嘘をついて逃げるように別れ、自分の気持ちを偽り、わざと大丈夫なフリをしてみせます。
しかし、恋人と別れた後、「人混み」に紛れ「泣き崩れて」しまいます。そして「早く迎えに来てよ」という本音を吐露しています。
恋人には精一杯の強がりを見せ、二人でいる時はいかに主人公が自分の気持ちを胡麻化しているかが見て取れます。
そして主人公は一人になって漸く本当の自分に戻るのですが、切なさや心の痛みが伝わってくる部分です。

ここでも主人公の偽りの姿が提示されています。
「飲めないお酒」を無理やり飲み、疲れているのに平気な「フリ」をしたりしています。
「一秒でも 隣にいたいだけ」というのが主人公の望んでいることであり、本音です。
また、恋人と付き合うことは「過ち」だと認識していますが、主人公はなかなかやめることは出来ないでいます。
恋人は「優しい」人の様ですが彼の方から主人公を手放そうとはせず、ズルさが感じられます。
恋人の優しさは主人公にとって非常に残酷であるのがわかる箇所です。
嘘と後悔

主人公は「過ち」をやめようとしてもズルズルと関係を引き伸ばしにしてきました。関係を断ち切ろうと決意しても「抱き締められたら」決意も揺らぎ関係を続けてしまっていました。
「嘘」という言葉が出てきますが、やはりこの二人の関係は”まやかし”であることは間違いないですし、主人公も二人の関係性や恋人の「嘘」に気付いています。
最後に「今までありがとね」と、恋人に向かって感謝の気持ちを表しています。恐らく未練はあるものの、恋人を手放す決意が見て取れるフレーズです。

別れる前に主人公がキスをした名残である”赤い口紅”が恋人の唇にあります。
そして、その付いた口紅を「あの子」の元に行く前には「落として」と気遣います。この健気な気遣いから主人公の諦めの心情が感じられます。
口紅をしてキスをした後、主人公の唇の赤い色は「薄れ」ますが、その時に漸く自分の正直な気持ちと後悔に気付きます。
それは「もっと素直に」そして「素顔になれたら よかった」という本音です。
主人公は、もし「素直」になって「素顔」でいたら、結末は変わっていたかもしれない、という後悔の念を抱いているのではないでしょうか。

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さいごに
化粧というものは「素顔」を覆い隠し「嘘」の顔を作り上げる道具です。
化粧という漢字を見れば一目瞭然ですが、まさに「化ける」為のアイテムなのです。
主人公は恋人と付き合ってはいましたが「セカンド」という立場の、「偽り」の付き合いでした。
そして、恋人と少しでも長く一緒にいたいがために、また繋ぎ留めたいがために、自分の気持ちを偽り嘘を付いたり、大丈夫な演技をしてみせていました。
本楽曲タイトル「化粧」は、そんな”まがい物”の二人の関係性や主人公の嘘の気持ちや言動全ての象徴と読み取れます。
化けの皮はいつかは剥がれるものですが、まさにその様な結末を迎えてしまった主人公の悲しさや虚しさが伝わってくる楽曲となっています。
本楽曲「化粧」の秀逸な歌詞を手掛けた椎木知仁さん率いるMy Hair is Badの今後の曲にも注目したいですね!