今回は、藤井風さんの「風よ」の歌詞を考察していきます!
藤井風さんは岡山県浅口郡里庄町出身のシンガーソングライター。
12歳からピアノ演奏などの動画をYouTubeでアップし始め、2020年1月「何なんw」のMV公開によりデビューしました。
特徴はクラシック、ジャズ、R&B、ヒップホップ、ポップミュージック、歌謡曲、演歌などをクロスオーバーした多様な音楽性。
「風よ」は2020年5月にリリースされた1stアルバム「HELP EVER HURT NEVER」の収録曲。
全11曲のうち9曲目で、「Hey Mr.Wind」という英題がつけられています。
作詞・作曲は藤井風さん自身、プロデュース・編曲は Yaffle(ヤッフル)さんです。
哀愁ただようピアノの音色が特徴的な昭和歌謡。
一体、歌詞はどのような意味なのでしょうか?さっそく見ていきましょう!

風よ 歌詞考察
「風」の意味

藤井風さん自身によるピアノだけでも、夕暮れの哀愁ただよう町が目に浮かぶほど、クールなモダンジャズっぽいイントロ。
そこへ優しいボーカルが重なり、1番Aメロが始まります。
描かれているのは、日本の美意識ともいわれる「わび、さび、空虚さ」が移ろう様子。
つらい、苦しい、悲しい、さびしいなどが入り混じった「やるせない感情」をどこかへ運んでいってくれるのは「風」や「雲」であると表現しています。
どちらも気象を表す言葉で、実際に「風」が運ぶのは空気、「雲」が運ぶのは水滴や氷の粒です。
つまり「風や雲が感情を運ぶ」というのは想像力豊かで詩的な表現だとわかります。
「風」や「雲」は何の比喩なのか、どういう意味なのか、探っていきましょう。

ベースやパーカッションも加わる1番Bメロです。
ボーカルのメロディ(旋律)そのものは1番Aメロとほとんど同じですが、最後だけ変わっています。
歌詞の内容で変化したポイントは、「現在のネガティブな感情」だけでなく「未来のポジティブな感情」まで運ぶところ。
「風」が「雲」に乗ったあと「どこへたどり着こうとしているのか?」という場所も示されています。
ただし、この「到着点」も具体的ではないので想像を膨らませる必要があるでしょう。
もしかしたら「風」は藤井風さん、「雲」は兄の藤井空さん、「到着点」は「あるがままの自然」かもしれません。
ちなみに兄弟2人によるYouTubeチャンネル「solakaze」では、村下孝蔵さん「初恋」などの昭和歌謡をカバーしています。
居場所を探している

昭和歌謡全開の1番Cメロ(サビ)です。
等身大の藤井風さん自身みたいな主人公が「風」に運ばれ、今はここにいると「現在地」を確認しています。
目標とする「到着点」にはまだたどり着いていないのでしょう。
しかも「現在地」はどのような場所なのか、わからなくなっています。
「出発点」から遠く離れたものの、「到着点」に近づいたのか、まったく別の場所をさまよっているのか、判断がつきません。
これは「自分の居場所」を探している状態でしょう。
昭和歌謡などをルーツとして音楽作りを始めたけれど、「これでいいのか?」と自問自答しているのかもしれません。
そうすると、さまざまな感情が入り混じった自分を運ぶ「風」は、藤井風さん自身ではなく、別の誰かを表していると推察できます。
「風」が象徴する存在

ボーカルのメロディ自体は昭和歌謡っぽいものの、サウンドや曲の構成は洋楽っぽいでしょう。
とくに曲の構成は1番、2番、サビとはっきり分かれておらず、まさに「風」のようにつながっています。
わかりにくいかもしれませんが、このアコースティックギターも加わるパートが2番Aメロです。
藤井風さんによると、「風」は神様を表しているとのこと。
居場所がわからなくなったとき、神様に道筋を示してほしいとお願いする祈りの歌です。
自身の解説動画で「何なんw」は「ハイヤーセルフを探そうとする歌」と公言されているとおり、「風よ」でもスピリチュアルな内面が描かれています。

1番Bメロは1番Aメロの発展形でしたが、2番Dメロはこれまでのメロディとは異なる「落ちサビ」です。
神様のような「風」と一体化して、目標とする高い「到着点」にたどり着きたいけれど、もがいてボロボロになる様子が描かれています。
藤井風さんにとって音楽作りはもちろん、人間として精神性を高めることも大切なのでしょう。
このあと1番Cメロ(サビ)と2番Aメロが繰り返されます。
どれほど困難な人生だとしても、「あるがままの自分」にたどり着けるよう祈り続けたいものですね。

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さいごに
コロナ禍で世界中が混乱し、誰もが居場所を失ったような気分に沈み込んでいるかもしれせん。
何が正解なのか、すぐにはわからなくても、長い目で見たときに「あるべきだと思える状態」に落ち着くといいですね。
切ない気分に寄り添いながら、明るい方向へ優しく導いてくれる「風よ」。
個人的な問題で進むべき道がわからなくなったときも、この曲を聴けばきっと癒されることでしょう。
アルバム「HELP EVER HURT NEVER」全体をとおして聴くのもおすすめです。