今回は2005年11月23日にリリースされた11枚目のシングル「カルマ」の歌詞考察をしていきます。
ヴォーカル・ギターの藤原基央さんが作詞作曲を手掛けた「カルマ」は、ゲームソフト及び同作品のTVアニメ版『テイルズ オブ ジ アビス』の主題歌です。
では早速歌詞の考察を始めていきましょう!

カルマ 歌詞考察
『テイルズ オブ ジ アビス』の世界
まずはゲームソフト『テイルズ オブ ジ アビス』のストーリーを通して、その世界観をご紹介しましょう。
2千年前の惑星オールドラントでは『星の記憶』を有する第七音素(セブンスフォニム)を巡り戦争状態にありました。
長期間の戦により惑星も人々も荒廃しました。更に地殻変動によって毒を含んだ”障気”が発生しますが、天才譜術士ユリア・ジュエが予言(スコア)(=星を詠み取った記憶)により惑星は滅亡の危機から逃れました。
これがきっかけでユリアの教えを護るローレライ教団の予言(スコア)に世界は支配されていく、という物語です。
次に前述の世界観を踏まえ、TVアニメ版のストーリーを見ていきましょう。
誘拐され7年間軟禁状態のファブレ侯爵家の息子・ルークは、ローレライ教団の主席総長・ヴァンを狙い屋敷に忍び込んだ教団兵の少女ティアと共に“超振動”により敵国に飛ばされてしまいます。
誘拐以前の記憶を喪失しているルークにとっては外の世界は初めて。ティアに助けられ故郷へ戻る途中で敵国兵に捕らえられますが、ローレライ教団最高指導者・イオンと出会います。
しかしイオンは襲撃され、ルークは惑星の命運がかかった謀略に巻き込まれていく、という物語となっています。
本物と偽物

Wikipediaによれば、ゲーム『テイルズ オブ ジ アビス』の公称ジャンル名が「生まれた意味を知るRPG」とのことです。
この「生まれた意味を知る」が歌詞においてもテーマとなっているのではないかと考えられます。
これを踏まえて、「ガラス玉」は人間を表していると仮定できるかと思います。
一人の人間が生まれ、その後にすぐさまもう一人の人間が生まれます。
「陽だまりに」「ひとつだけ残っている」とあるので、一人にだけ光が当たっていて、もう一人は日陰にいるということになります。
ゲーム及びアニメでは本物とレプリカ(クローン人間)が登場します。
主人公ルークはローレライ教団のアッシュのレプリカですが、ガラス玉はほかならぬルークとアッシュの関係性を表していると解釈できるでしょう。

長きに渡りルークは自らがアッシュのレプリカであるという事実を知らず本物として生きていました。また誘拐前の記憶がない状態でした。
ルークは自らの存在意義、更に記憶がないという事さえも疑わずにはいられない状態にあり、衝撃、疑問、不安等を抱え精神的に厳しい状況であることが見て取れます。

ここでこの歌詞やゲーム・アニメのテーマとなる「生まれた意味を知る」というフレーズが出てきます。
そして登場人物「僕ら」が出てきます。
物語の途中でルークとアッシュの二人は出会います。
二人は本物とレプリカなので、その正反対の性格はさておき、そっくりです。
作中でルークは自分はレプリカで自身が作られた理由を知ることとなります。
レプリカであるルークは”何故自分は生まれてきたのだろうか”と自らに問わずにはいられなかったでしょう。
そしてまた生きている限り、”本物のルーク”という日の当たる場所取りをすることになります。その場所は一人分なので二人はその場所を巡り対峙する訳です。

ここではルークというレプリカが作られ本物であるアッシュが日陰に追いやられたことを意味しているのではないかと思います。
また、二人が出会い、どちらが本物か勝負しルークが勝利したことを示唆しているとも考えられます。

ここでは同じ目的を持った二人が出会い、その目的を果たすことが表現されています。
ルークとアッシュが出会い、対峙したものの、ローレライを解放してオールドラントを危機から救うという目的を共有しています。
合わせ鏡の二人

本物と偽物、とは言え瓜二つの二人は、まるで合わせ鏡の様です。そしてここで漸く本楽曲タイトルである「カルマ」という言葉が出てきます。
「カルマ」とは一体どんな意味なのでしょうか?
広辞苑によると、”業(ごう)と同義の仏教用語。行為。行動。身(身体)・口(言語)・意(心)の三つの行為(三業)。また、その行為が未来の苦楽の結果を導くはたらき。”と定義されています。
つまり、善行であれ悪行であれ、”過去に行ったことは必ず自分に返ってくる”という意味合いです。戒め的に使われますので、誰でも一度位はこれに似たような言葉を耳にしたことがあるかと思います。
二人はそれぞれに良いことも悪いこともしてきていますが、お互いがお互いの持つ「カルマ」を合わせ鏡を見ている状態で手に取る様にわかる、という感じではないでしょうか。

ここで漸く二人は「一人分」の場所に分け合って一緒にいます。
どちらかを日陰に追いやることなく二人で一緒に光に当たっている状態です。
ルークとアッシュは本物と偽物ではあるけれども、お互いを否定し合うことなく認め合ったということでしょう。

二人は別々の場所にいても、心では通じ合っています。また同じ目的を持っていてそれは最終的に実現される、ということです。
また「一人分」の日の当たる場所を分け合い一緒にいた様に、二人の心もお互いに寄り添っている状態だと言えるでしょう。

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さいごに
「生まれた意味を知る」という哲学的で深いテーマと『テイルズ オブ ジ アビス』の世界観をギュッと凝縮させ楽曲に込められている様に感じました。
「カルマ」はゲームやアニメの世界とリンクし、波乱万丈なひとつの物語を観ている様な楽曲となっており、作詞作曲を手掛けた藤原さんの強い拘りを感じます。
そんな藤原さん率いるBUMP OF CHICKENの今後の楽曲にも是非注目したいですね!