大切な人とのお別れ。そんな悲しみに満ち溢れた心を癒してくれるのがスキマスイッチ『奏』です。
『奏』はスキマスイッチが2004年に発表したデビュー2枚目のシングル。17年経った今でも多くのリスナーは勿論、他アーティストにも愛されカバーされ続けている名曲です。
2019年には、Youtube再生一億回を突破しました。
『奏』というタイトルは、ボーカルの大橋卓弥が「将来自分に子供が生まれたら男でも女でも『奏(かなで)』とつけよう」と決めていることを、ポロッと口に出したことに由来。
ひょんなことから決まったタイトルですが、永久に音楽史にその名を残すことになりました。
『奏』のテーマは「出会いと別れ」。
スキマスイッチのふたりは、男性が女性を置いて行ってしまうシチュエーションの楽曲が世に多いことから、今回は”女性が男性のもとを離れてゆく”という設定で歌詞を書いたと言います。
しかしその歌詞は、老若男女に通ずる美しい悲しみに聞こえざるを得ません。
離れゆく人への寂しさ、愛する気持ち、応援したいという心情。多様な感情が交錯しています。
一体『奏』にはどんな意味が込められているのか、考察していきます!

『奏』歌詞考察!
改札を隔てて別れてしまう世界

とある駅の改札口での別れのシーンから始まる『奏』。
駅とはある意味「旅立ち」のメタファーにもなっており、「君」は 「僕」のもとを去ってゆくことが分かります。
スキマスイッチの設定から、ふたりは恋人関係にあるという考察が最有力。
しかし「お別れ」とは誰の人生にも必ず登場する出来事。リスナーの捉え方に委ねられるでしょう。
大事な「君」が旅立ってゆくのを「応援したい」「また会いたい」と願い、明るく装いますが、なかなかうまく笑顔を作れないもどかしい感情が伝わってくる冒頭です。
君の歩む道が穏やかであるように

「君が大人になっていくその季節」とは、「君」が歩んでゆくこれからの人生を示しています。
しかし、そこに「僕」が登場することは、どうやら無さそうです。
「さよなら」などの”お別れ”を表す言葉では悲しすぎる。
応援や愛情、悲しみや後悔。一言では形容できない複雑に絡まった感情に押しつぶされそうになる「僕」。
何か「君」の一歩を、さらに豊かに美しくするような言葉を探しています。無償の愛を感じます。
「悲しい歌」というたとえが、スキマスイッチらしくて秀逸な表現ですね。
重ねた日々は、使命を超越する

今までは「僕」が「君」を引っ張っていたのでしょうか。
ふたりが仲睦まじく紡いできた日々が目に浮かびます。
「僕」はそんな風に、「君」を支えるのを使命とすら思っていました。
つまり、生きる目的に近い意味を持っていたのです。
しかし、お別れを迎えた今。その使命は果たされてしまいました。
そこで「僕」は直感します。
ふたり重ねてきた日々こそが、今後のふたり自身の糧になってゆくのだと。
お別れは瞬間的で、胸を引き裂かれるほどに苦しくても、長期的に見ればふたりで歩んできた時間こそが真価を持っているということに気付かされます。
移り行く時間の中で変化しても

「君」が大人になってゆく間に、「僕」も変化してゆきます。
このお別れをいつか懐かしく思う日も訪れるかもしれません。
しかし、ふたりで歩んできた過去はもう変えられないもの。
その時間こそが、どんなに離れていても、会えなくなっても、ふたりの絆になっているのです。
これから訪れる別々の未来を、過去が凌いでいく様が描かれています。
お別れのベルが鳴るとき

本当にお別れの時がやってきます。
「僕」は「さよならに代わる言葉」をとうとう発します。
「君がどこに行ったって僕の声で守るよ」—。
本当はどこにも行って欲しくないのが本音でしょう。
にもかかわらず、「僕」は「君」を全力で応援し、幸ある未来を願います。
そんな優しい願いの方が勝っているのは、ふたりの絆のなせる業です。
「鳴り響くベル」が、「もうそろそろだよ!」と別れのすべてを物語っているようで、その表現力の高さには唸るほどです。
とめどなくあふれる思いを声に乗せて

最後の歌詞は、僕の独白体です。
「君」は「僕」の視界に見えるものすべてを美しく変化させてくれ、「僕」の人生を大きく変えてくれた人。
設定は恋人関係かもしれませんが、そのような運命は家族や友達、多様な関係の中にも生じるものですよね。
一緒にいられることが全てではありません。
その人を想い、幸せを願う。そんな関係であれば離れていても人は繋がっていけるものなのでしょう。

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おわりに
いかがでしたか?
お別れをここまで美しく描いた稀有な楽曲『奏』。
大切な人とのお別れを優しく彩ってくれる『奏』を、ぜひ自身の体験に重ねて聴いてみてください!