優里さん「花鳥風月」の歌詞の意味を考察します。
1stアルバム「壱」(2022年1月)の3曲目。
優里さんが作詞・作曲した「花鳥風月」の歌詞の意味を紐解きましょう。

花鳥風月 歌詞考察
俺はあんたとは違う?
人をかき分け前に進み
出典:花鳥風月 / 作詞・作曲:優里
奪い合うのに疲れる日々
椅子取りゲーム残されてる
席は少ないぜ
曲名の「花鳥風月」は「風流な自然の風景」のことで、「麻雀」や「花札」を連想できるかもしれませんが、「椅子取りゲーム」とは関連性はなさそうです。
語り手の「俺」は優里さん自身でしょうか。
競争の激しい音楽業界で、人気アーティストとして売れ続けることができるのは限られた存在だけともいえるでしょう。
売上などさまざまなランキングの上位に名を連ねるためには、誰かを追い抜かなければいけません。
優里さん自身がシンガーソングライターとしてしのぎを削っている様子が描かれているようでもあり、リスナーそれぞれの人生を重ねることも可能でしょう。
甘ったれてるそのまにまに
出典:花鳥風月 / 作詞・作曲:優里
奪われていくもの横目に
俺はあんたと同じように
生きていけやしないぜ
他人と比較して戦ってばかりいると「疲れる」はずですが、そうした弱音を吐くことは「甘ったれている」と自分を戒めています。
そのあいだに「席が奪われる」ことになりますが、その様子を目の当たりにしても、「俺」は「あんた」とは別の生き方を選ぶという話でしょう。
おそらく「あんた」は弱音を吐き、追い抜かれる様子を黙って見ているしかないと諦めていると考えられます。
「俺」はそれでも諦めないという展開になるのでしょうか。
嗚呼…
出典:花鳥風月 / 作詞・作曲:優里
息苦しいよな 呼吸を我慢して
嗚呼…
せめて叫ばせて このままじゃいられない
ただ「俺」も「あんた」と同じように、「息が詰まるような日々」を生き抜いています。
「あんた」とは違うと強がってみても、本当は「俺」も大変で、「あんた」の気持ちがわかるというか、決して突き放していないどころか、むしろ「あんた」に寄り添っていることが伝わってくるでしょう。
その結果、「呼吸を我慢」するのではなく、「叫ぶ」という解決方法を見出しました。
優里さんにとっては「叫ぶ=歌う」なのではないでしょうか。
リスナーもカラオケでストレスを発散することができるのは「叫ぶ=歌う」行為を実行しているからかもしれません。
共に叫べよ
選んできた自分で
出典:花鳥風月 / 作詞・作曲:優里
1番のサビです。
考え方や生き方が違っても、それぞれのやり方で「共に叫ぼう」と呼びかけています。
極端な話、主張は真逆でも構わないのかもしれません。
いずれにしても、協調性を重んじながら生きていると表に出さない、飲み込む言葉がたまるものです。
「感情的に暴言を吐く」のは他人も自分も傷つけることになるのでやめたほうがいいものの、ストレス発散のために「叫ぶ=歌う」のは有効な方法ともいえるでしょう。
君の腹の底に眠るお前?
自分がないと嘆く君も
出典:花鳥風月 / 作詞・作曲:優里
取捨選択選んでるだろう
積み重ねて作れる自分
好きに選べばいいぜ
「俺」が語りかけている相手が「あんた」から「君」に変わりましたが、対象は二人称のリスナーのままでしょう。
どうやら、ラジオ番組などのお悩み相談のコーナーのようなイメージになってきました。
優里さん自身のような「俺」は、「自分がない」と困っているリスナーでも「選ぶ」ことは常にしているはずで、その一つひとつが「自分」を形作っているはずだから「好きに選べばいい」と回答しています。
これが1番のサビの「選んできた自分」につながるのかと腑に落ちたリスナーも多いのではないでしょうか。
嗚呼…
出典:花鳥風月 / 作詞・作曲:優里
あざとく賢く風穴空けてやれ
嗚呼…
腹の底眠る お前を聞かしゃいいぜ
さらに「俺」が語りかけている相手が「お前」に変わりましたが、こちらもリスナーをあらわしているでしょう。
あるいは「自分がないと嘆く君の、腹の底に眠るお前」という流れになるので、表向きの「君」ではなく、本音の「お前」で「叫べばいい」ということかもしれません。
要するに「君の腹の底には、あざとく賢いお前が眠っているはずだ」ということです。
このように二人称を意図的に変えているとすると、「あんたの腹の底には、あざとく賢いお前は眠っていない」可能性もあります。
この後、1番のサビが繰り返されるので、それぞれの「選んできた自分像」が広がるのではないでしょうか。
花 鳥 風 月 ただ自分らしく生きて
出典:花鳥風月 / 作詞・作曲:優里
評価も批判もなにひとつお前を貶めない
命の価値を預けてやるな
つま先から頭の先
それ以上それ以下でもない
曲名の「花鳥風月」の読み方は「かちょうふうげつ」ですが、歌詞では「はな、とり、かぜ、つき」と歌っています。
これが「あんた、君、お前」と二人称を変えていた理由のようです。
つまり、自然の風景にそれぞれの美しさがあるように、人間にもそれぞれの個性があるから「自分らしく生きよう」ということ。
自然の風景に人間をなぞらえています。
要するに、他人から何を言われようが、自ら「貶(おとし)める=軽蔑する」必要はなく、「ありのままの自分」でいればいいという話でしょう。
たしかに他人の「評価や批判」が気になっているうちは「自分の命の価値を他人に預ける」ことになっているとも考えられます。
逆に、「自己評価が高すぎる」と調子に乗る可能性が出てくるので、あくまでも「等身大の自分」を見つめることが大切でしょう。
嗚呼…
出典:花鳥風月 / 作詞・作曲:優里
誰にも譲れない 好きに選べばいいぜ
音楽業界に限らず、森羅万象のような人間それぞれに「譲れない席」があるから「好きに選べばいい」という結末でした。
ラストに1番のサビが繰り返されます。
誰もが「選んでいる」ことを自覚しながら「叫ぶ」と美しい歌になるのではないでしょうか。

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さいごに
優里さんは後に9thデジタルシングル「うぉ」(2022年5月)もリリースしているので、「自分らしく叫ぶ」ことがテーマのようですね。