セカオワことSEKAI NO OWARI「illusion」の歌詞の意味を考察します。

illusion 歌詞考察
自分が見ている世界がすべてではない
命の並んだ午前零時のスーパーマーケット
出典:illusion / 作詞:深瀬慧 作曲:藤崎彩織・深瀬慧
これから食べる命を選ぶんだ
TVで放送されている爆弾が降る民族紛争は
音声も映像も調整された戦争
「幻想、錯覚、誤解」といった意味の曲名がつけられた「illusion」。
1985年生まれのFukaseさんが「自分より若い世代に向けて綴った論文」のような歌詞になっています。
1番のAメロでは「食べる命、爆弾、民族紛争、戦争」というシリアスな言葉が並んでいるので、ドキッとさせられた人もいるでしょう。
「命の大切さ」は世界的な共通認識のはずですが、人間を含む生き物は「命」をいただきながら生きています。
誰しも平和を願っているはずなのに、「戦争」や「紛争」は絶えません。
「命」にかかわる根源的な話でさえ矛盾があるというか、「命を大切にしなさいと言うけれど、人間が命を食べるのはいいの?」とか「世界平和が正しいのに、どうして戦争や紛争はなくならないの?」といった子どもの質問に、大人はとまどうことでしょう。
とくに日本で暮らす若い世代は、実際に「戦争」や「紛争」を体験することは少なく、「TV」などの「音声や映像」によって世界のどこかで起きている現状を知ることになりがちです。
そうした「TV放送による戦争や紛争は、音声も映像も調整されている」とFukaseさんは指摘しています。
機械仕掛けの「僕らの真実」はいつか
出典:illusion / 作詞:深瀬慧 作曲:藤崎彩織・深瀬慧
貴方の心を壊してしまうだろう
1番のBメロです。
「真実」を報道する「TV番組」は、ニュースとして伝わりやすいように「音声」を「調整」したり、「映像」にテロップを入れたりするので、さまざまな「機械的な処理」は施されているといえるでしょう。
大惨事ほど繰り返し報道されるため、「TV」をつけっぱなしにしていると「心が壊れる」可能性もあります。
SNSやスマホなどによる情報過多も問題になっているように、「紛争や戦争の音声や映像」ばかりを集中的に浴びることに警鐘を鳴らしているのではないでしょうか。
「機械仕掛け」という表現には、アンソニー・バージェスの小説(1962年)を原作としたスタンリー・キューブリック監督の映画「時計じかけのオレンジ」(1971年)へのオマージュも込められているかもしれません。
僕たちが見ている世界は加工、調整、再現、処理された世界
出典:illusion / 作詞:深瀬慧 作曲:藤崎彩織・深瀬慧
だから貴方が見ているその世界だけがすべてではないと
皆だってそう思わないかい?
1番のサビです。
「リアルな体験と映像などの情報では異なる印象を受ける場合もあるので、映像などの情報ばかりを過信しないほうがいい」といったニュアンスでしょうか。
たとえば音楽の場合、実際に足を運んだライブとCD、LP、サブスクなどの音源では臨場感に違いがあるともいえるでしょう。
ただし、即興や新曲の演奏を別にすると、基本的にライブは音源の「再現」であり、音源そのものもライブも「加工、調整、処理」されているとも考えられます。
「どこまでが加工、調整、再現、処理されていない世界か?」という見極めは難しく、一概に「加工~処理された世界」が悪いとも限りません。
大事なのは「自分が見ている世界だけがすべてではない」というところでしょう。
とくに「加工~世界」を意識せず、偏った考え方に陥る危険性について問題提起していると考えられます。
それでも祈りたいこととは?
命を閉じ込めた灼熱の動物ランド
出典:illusion / 作詞:深瀬慧 作曲:藤崎彩織・深瀬慧
僕らはそこでホッキョクグマと出逢えるんだ
僕はコンピューターで無限の宇宙を見て
“もうすべてを知っている”と錯覚するんだ
「命~灼熱の動物ランド」とは「温暖化が進んだ地球」のことでしょうか。
あるいは単に「動物園」をあらわしているのかもしれません。
いずれにしても「ホッキョクグマ」が自生しているのは北極圏などの寒冷地域で、「灼熱」の場所では過ごしにくいはずです。
それでも日本で暮らす「僕ら」が「出逢える」とすると、「動物園、映像、想像」のどれかでしょう。
「TV」に続いて「コンピューター」という言葉が出てきた点を踏まえると、実際には見たことがなくても、インターネットなどを介して「映像」を見たことがあれば「知っていると錯覚(illusion)する」という指摘のようです。
もしかしたら北極圏の温暖化により「ホッキョクグマ」が絶滅の危機に瀕していることを知らずに、単に「かわいい映像」としてファンタジックに捉えるなどの偏った認識を示唆している可能性もあります。
生きていくことがあまりにも便利になったから
出典:illusion / 作詞:深瀬慧 作曲:藤崎彩織・深瀬慧
生きているという実感がなくなっている
僕の知っている「現実」がどうか嘘でありますようにと
神様の「形」の「人形」に祈るんだ
「便利」な世の中になるほど「生きている実感」が薄れるのは皮肉な話ですが、共感する人もいるでしょう。
たとえば「戦争、紛争」や「地球温暖化による北極圏の様子」は「映像で知った現実」かもしれません。
こうした「便利」な方法で認識した世の中の惨状は「加工~処理された世界=錯覚(illusion)」にすぎないから「嘘」だと信じたいという話だったようです。
もちろん残念ながら「嘘」ではないこともわかっているでしょう。
「神様に祈る」のではなく、「形、人形」という言葉が挟まっているところにも「illusion」だとわかりながら願わずにはいられない心情が伝わってきます。
ラストに繰り返される1番のBメロとサビでも若い世代への呼びかけが続き、いろいろ考えさせられるのではないでしょうか。

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さいごに
「平和と戦争」や「地球環境」といった社会問題に切り込みつつ、ファンタジックなセカオワらしい世界観も盛り込まれていました。
情報過多の世の中ですが、どうにか心の健康を保つ方法を見つけたいものですね。