「EN.」はNovelbright(ノベブラ、ノーブラ)が2019年9月にリリースした2ndミニアルバム。
そのタイトルは「アンピリオド」と読む造語で、「アンコール、ピリオドではない、縁」という3つの意味が込められています。
今回紹介するのは「EN.」に収録されている「ふたつの影」。
ボーカルの竹中雄大さんが作詞・作曲し、ギターの山田海斗さんも作曲を担当しました。
「EN.」の3つの意味と関連があるのかどうかも含め、「ふたつの影」の歌詞を考察します。
ふたつの影 歌詞考察
別れた恋人との関係
主人公は誰かのことを考え、眠れない夜を過ごしました。
寝ようとしたのに、誰かのことが気になって仕方がなかったのでしょう。
不安や心配といったネガティブな感情にとらわれ、不眠を繰り返しているようです。
脳裏に浮かんだのは「光り輝く君」ではなく「君の影」なので、2人の関係には何か暗い闇があるのでしょう。
電話がかかってきたときに出られなければ、後でかけ直すのが一般的です。
しかし主人公は「まだ相手から連絡がある」と困っている様子。
かつては頻繁に電話をかけ合っていたものの、現在はそのような間柄ではないとわかります。
「着信があっても無視するべき。連絡を取り合うのはダメ」と思いながら、結局かけ直してしまう主人公。
良くない関係が続いているようです。
2人は元恋人同士なのでしょう。
別れた後も友だちや仕事仲間として連絡を取り合う場合もありますが、2人ともそれほど割り切れているわけではなさそうです。
元カノは主人公のために良かれと思って電話をかけていて、主人公は元カノのことを考えて早めに電話を切り上げます。
共に過去の交際を引きずっていますが、別れた後もお互いの思いやりが上手くかみ合わない状態です。
2人とも未練が残っている
主人公が回想する2人の思い出は、カップルにありがちな日常です。
まわりから「ケンカするほど仲がいい」と言われるような、仲睦まじい関係だったのでしょう。
ただ、別れたのに楽しく付き合っていたときのことを思い出しているので、主人公にも未練が残っていると考えられます。
「別れた元カノからまだ電話がかかってきて困っている」といった単純な話ではなさそうです。
「2人とも好き同士なのに別れなければいけなかった」などの複雑な事情があるのでしょう。
付き合いが長い恋人同士ほど、2人にしか理解できない独自の言い回しが増えるもの。
主人公は元カノとの会話も思い出していて、なかなか忘れられない心情が伝わってきます。
ミニアルバム「EN.」に込められた3つの意味を踏まえると、「交際は終わったのにきちんとピリオドが打てず、まだアンコールのような縁が続いている」と解釈できるかもしれません。
いずれもネガティブな意味になってしまうところが悲しいですね。
2人とも未練を残したままで、今でもお互いに思い合っているのであれば、よりを戻せばいいという発想が出てきます。
ところが復縁できない事情があるようです。
その理由については具体的には描かれていません。
元カノが他の誰かと結婚したのかもしれませんし、もともと既婚者だった可能性も想像できます。
「ふたつの影」の意味
ここでタイトル「ふたつの影」の意味を掘り下げてみましょう。
主人公が眠れずに思い出すのが「君の影」、つまり「元カノのさびしそうな姿」でした。
よりは戻せないのに未練があるから、主人公が思い出す元カノの姿は「光」ではなく「影」なのでしょう。
同じように主人公も元カノに未練があるので、「ふたつの影」とは主人公と元カノの「影がある2人」のことだと考えられます。
物理的な「影」を表している場合、今でも一緒にいれば「2人の影」が重なって「1つの影」になるはずです。
さらに「答えは~」に続く歌詞も意味深でしょう。
主人公にとって、出さなければいけない答えは「元カノときっぱり別れる」という1つだけ。
それでも何の問題もなく元カノと一緒にいられたら、「ふたつの影」ではなく「1つの光」になったかもしれません。
あるいは元カノの心の中には主人公と別の誰か、「ふたつの影」が存在する、とも解釈できます。
もしかしたら主人公に新しい彼女か妻がいる、という逆のパターンも考えられます。
このあたりの複雑な事情は最後まで明かされません。
とにかく「元カノとよりは戻せない」ことだけが、主人公にとってのたった1つの答えです。
「I love you」の夏目漱石による和訳を踏まえると、「好き」と告白したのも、電話をかけてくるのも元カノだったのでしょう。
満月の光に照らされた2人の影こそが「ふたつの影」でした。
こうして未練を吐き出すことで、きっぱり別れるという1つの答えにたどり着いた主人公。
それぞれ前に進み、笑顔が戻るといいですね。
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さいごに
どちらかというとポジティブな楽曲が多いNovelbrightにしては珍しく、「ふたつの影」ではネガティブな内面が描かれていました。
とくに恋愛関係をこじらせがちな人は、ズキンと刺さったのではないでしょうか。
それでも主人公は悪循環から抜け出すために、前向きな決断をしました。
元恋人に未練がある人も、眠れない夜を過ごしている人も、笑顔になれますように。