今回は2006年5月17日にリリースされた6枚目シングル「ふたりごと」の歌詞考察をしていきます。
「ふたりごと」は、ヴォーカル・ギターの野田洋次郎さんが作詞作曲を手掛けました。
ちょっと目を惹くタイトルの本作「ふたりごと」の歌詞を考察してみましょう。

「ふたりごと」 歌詞考察
とても親密な語りかけ

冒頭から登場人物の「お前」に語りかける歌詞が特徴的です。
「何話そうかな」「どうやって」「伝えようかな」等、思ったままに表現しています。
時間がかかるかもしれないけれど、「お前」に何とかして伝えたいという一生懸命さが感じられますね。
そして「お前」に対する褒め言葉がとてもユニークだけどストレートなところが印象的です。
容姿を褒めるのに「神様もきっとびっくり」「今世紀最大の突然変異」と何とも突拍子もないけれども面白くもあり上手い表現が使われています。
ありきたりではない独特な表現で褒められたら女性としては嬉しくないハズはありませんし、主人公がどれだけ「お前」のことを思っているか良くわかる部分と言えるでしょう。

ここでは「お前」のバックグラウンドが描かれています。
最初は仲が良かった「お前」の両親も時間の経過と共に不仲になっていき離別するに至る様が手に取るようにわかります。
「お前」の両親の親密さは「心と心くっつきそうなほど」という歌詞で上手く表現されています。
逆に心が離れていく様は「いつしか目と目もあわさず」、離別は「もう二度と聞こえない「ただいま」」という歌詞で表現されており、情景がまざまざと思い浮かびます。
男女の不仲は、言葉でなく空気で周囲に分かってしまうものです。
身近な子どもは敏感に両親のその様な雰囲気を感じ取ってしまいます。
両親の不穏な雰囲気や、そこから別離に至るまでに被ってしまった傷ついた「お前」の心情がよくわかりますね。

鍵括弧のついた、ドラマや演劇の様な台詞仕立ての歌詞となっています。
子どもの存在は両親の「愛の証」です。
「お前」の存在意義を拒否されているかのような両親の離別は受け入れがたいものです。
「嘘」という言葉がここでは3度使われていますが、子どもである「お前」からすれば「嘘」であって欲しい残酷な事実です。
両親の立場と子どもの立場では、勿論心情は異なるものだと思います。
しかし、離別する両親の間から愛情が消失してしまったということは、即ちその「証」であった「お前」の存在はあやふやなものとなってしまうと言ってもいいでしょう。
更に「時」という言葉が出てきますが、両親と「お前」の家族の幸福な日々を指しており、その楽しかった時間すらも否定されうるものと「お前」は解釈しています。

ここでは登場人物「お前」は「君」という言葉に変わっています。
結婚式での誓いがイメージされる冒頭の「あの日二人交わした約束」ですが、両親の愛を繋ぐ役割を担っているのは「君」であると主人公は言っています。
あくまでも「君」の両親の「愛の証」であり「光」=希望でもある「君」に対する細やかな描写が主人公の目線から描かれています。

ここでの登場人物は引き続き「君」と主人公は「僕」になっています。
ここと前の部分は他とは異なる雰囲気になっているように感じます。「君」のネガティブな感情や悲しさがより際立つようです。
現に、この部分では「君」の悲しいバックグラウンド故の嘆きが描かれています。
身近な人たちの離別により受けた心の傷が、「君」自身の存在理由を脅かし、更には主人公との関係性も率直に受け入れられない状態にしてしまっている様です。
主人公から愛されていても尚「君」の痛々しくも危うい内面が感じ取れます。
君への溢れるメッセージ

ここでの登場人物は「君」からまた「お前」に、「僕」から「俺」に変わっています。
前出の「光」を受けて、ここでも主人公は「君」を光輝く対象として見ています。
空けた場所まで同じ「ピアス」は「お前のだけやけに光って」いるように感じる主人公は、自身に「いつか輝くかな」と問いかけています。
またここでは悲しいバックグラウンドがある「お前」ですが、恐らくポジティブでチャーミングな人物であることが伺えます。
「お前みたいに世界を愛せるかな」「お前が見てた世界見てみたいの」と主人公が語りかけてしまう程、とても魅力的なのでしょうね。

ここでは、只々純粋で「お前」への一途な思いが溢れたプロポーズととれる言葉がずらりと並んでいます。
年齢を重ねても変わらず一緒に寝たり、手を繋いだりすることは素敵なことですが、実際に変わらない恋人や夫婦はどれ位いるのでしょうか?
それほど変わらず愛し続けることは難しい、と人は歳を取るにつれ、また、経験を積むにつれ思ってしまう傾向にあるかと思います。
長い時間恋人や夫婦として過ごしていれば色々あるもの。それでも尚一緒に仲良く居続けることは尊いことなのです。
あまりにも純粋すぎる歌詞で、確かに「夢」みたいな印象はあります。しかし、その「夢」すらも「醒めなければいい」「醒めるから夢」と明言しており、主人公の「お前」への一途な愛情が伝わってきますね。

ここでは主人公が「お前」とずっと一緒にいたいという強い願望が読み取れます。
「君」=「恋」、「僕」=「愛」ということで、二つ併せれば「君と僕」の「恋愛」ということになります。
「奇跡」のような二人の出会いが永遠に続くことを願う主人公の気持ちが伝わってきます。

ここでは「君」の不安な心情が「六星占術」という占いを用いて描かれています。
主人公と「君」の相性の悪さや星が定めた不運な時期などを気に病んでいるようです。
しかし、主人公はそんなネガティブ・モードな「君」に不確かなもの(=占い)と断ち切らせ安心させる様に語りかけ続けているのです。
感謝と奇跡

このラストでは、主人公は二人の出会いは「奇跡」だと言っています。
またこの「奇跡」を信じ感謝しています。
そんな主人公に「奇跡だから 美しい」「素敵なんだ」と応えています。
「君」の過去の不幸や抱える不安は最終的に払拭されているようですね。

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さいごに
「ふたりごと」というタイトルは複数の歌詞考察によれば「ひとりごと」から派生して決まった様です。
作中登場するのは主人公と「君(お前)」の二人だけ。そこで交わされるやりとりということですから「ふたりごと」という訳です。
「君」への愛が溢れ出てとまらない感じと曲調が上手く融合した、ストレートなラブソングとなった本楽曲。RADWIMPSの今後の作品にも是非注目していきたいですね。