菅田将暉さんのデジタルシングル「星を仰ぐ」(2021年2月)の歌詞の意味を考察します。
竹内涼真さん主演のドラマ「きみセカ」こと「君と世界が終わる日に」Season1(2021年1月~3月)の主題歌として書き下ろされました。
Mega Shinnosukeさんが作詞・作曲した「星を仰ぐ」の歌詞の意味を見ていきましょう。
ドラマの概要
「きみセカ」こと「君と世界が終わる日に」は、ラブスーリーやミステリーの要素も加わったゾンビアクションドラマです。
自動車整備工の青年・間宮響(竹内涼真さん)は、研修医の恋人・小笠原来美(中条あやみ)にプロポーズする予定だった日に、トンネル崩落事故に巻き込まれ閉じ込められてしまいます。
数日後にトンネルから脱出すると、生き血を求めて人間に噛みつく化け物・ゴーレムがはびこり、街が荒廃していました。
噛みつかれるとウイルスに感染してゴーレム化するという絶望的な状況のなか、響(ひびき)は再び恋人の来美(くるみ)に会えることを願います。

星を仰ぐ 歌詞考察
ドラマの主人公の心情が重なる
見兼ねた僕の街
出典:星を仰ぐ / 作詞・作曲:Mega Shinnosuke
よくある言葉じゃ浮かれない
沈んだ心 なだめる
君に甘え過ぎてダメだな
「星を仰ぐ」はドラマの主人公・響に寄り添い、支えるような男性目線の楽曲になっています。
冒頭の「見兼ねた」は慣用句の「見るに見兼ねた」として用いられることが多く、「安心して見ていられない」という意味です。
事故でトンネルに閉じ込められた後、必死で脱出したら、「見慣れた街」が「見るも無残な街」へと一変していたときの響の心情と重なります。
現実にはあり得ない「ゾンビに占拠され荒廃した街」を目の当たりにしたら「言葉」を失うというか、誰からどのような「言葉」をかけられても「浮かれた気分(楽しい気分)」にはならないでしょう。
この絶望的な極限状態のなか、どうにか「心」を落ち着かせるために思い描くのは、離れ離れになった恋人・来美(君)のようです。
澄んでる君の瞳に
出典:星を仰ぐ / 作詞・作曲:Mega Shinnosuke
写った僕を咎めたい
何かを欲しくなるほど
間違い、彷徨い、崩れてしまうな
「君の瞳(め)に僕が写る」ということは、2人が向かい合っている状態です。
また「咎(とが)める」は「(過ちなどを)責める、非難する」という意味なので、「君に会うことを想像してしまう(君に会うことを願う)自分自身を責めたい」といったニュアンスでしょう。
ドラマではゾンビに噛まれたら自分もゾンビ化する状況なので、「何か」を望むことは命取りになりかねません。
なるべくニュートラルでフラットな無の境地でいて、臨機応変に対応する必要がありますが、どうしても「君」のことを考えてしまうようです。
疲れた地球を背に 今宵は月が笑う
出典:星を仰ぐ / 作詞・作曲:Mega Shinnosuke
考えず、夢中を生きた
無垢じゃ、辛いよ
「地球が疲れる、地球を背にする、月が笑う」と擬人化混じりのスケールの大きな表現が並んでいますが、ドラマの内容を踏まえるとしっくりくるのではないでしょうか。
どうにか「無の境地(考えず、無垢)」に徹しなければいけないことが「辛い」と弱音を吐いています。
一般的な「夢中に生きる」ではなく「夢中を生きる」となっているところにも、「破滅的な終末世界を生き抜く」様子が感じられます。
星が降る夜をただ仰ぐ
出典:星を仰ぐ / 作詞・作曲:Mega Shinnosuke
いつかの傷と寄り添ってきたけど
限りあるものに焦がれた
夜のままで居れたら
君と居れたら
曲名の「星を仰ぐ」が歌詞にも出てきました。
「星」に「君」を投影し、「夜」に「星」を見上げ、「君と一緒に居たい」と願っています。
その思いは届くのでしょうか。
星を仰ぐ意味
ふいに握られた手
出典:星を仰ぐ / 作詞・作曲:Mega Shinnosuke
夜風の中でも暖かい
日めくり、抗い、迷ってた
「何が大切なのか分かるかい?」
「僕」は誰かに「手を握られ」、質問されました。
これは「僕」が「君」と再会できたという話ではないでしょう。
いったい何が起きたのでしょうか。
尋ねた 偉大な夜に
出典:星を仰ぐ / 作詞・作曲:Mega Shinnosuke
乱れた 息を整えて 考えた
理想ってなんだ 君と居たいよ
どうやら「夜のままで居たい、君と居たい」と「星」に願ったので、「夜」が語りかけてきたという流れのようです。
ドラマではさまざまな人間模様が描かれていて、本当に「大切なこと」や「理想」とは何なのか、深く考えさせられます。
それでも「僕」は「君と居たい」ようです。
愛せない過去も今を創る
出典:星を仰ぐ / 作詞・作曲:Mega Shinnosuke
いつかの傷も僕を救ったかも
限りあるものに焦がれた
夜の先へ ゆけたら
全体的に詩的で抽象的な表現になっているので、ドラマの内容はもちろん、リスナー自身の人生を重ねることも可能でしょう。
「限りあるもの」はたとえば「命に限りがある人間」が当てはまります。
亡くなった人や離れ離れになった人に思いを馳せつつ、「過去」の失敗や挫折などの「傷=夜」を乗り越えることができますようにと祈っているようです。
「愛してる」すらもまだ言えず
出典:星を仰ぐ / 作詞・作曲:Mega Shinnosuke
僕はさ、君に何をあげられるだろうか
いつも何かが星に変わる
君もそうかな
響が来美にプロポーズするはずだった当日にトンネル崩落事故に遭い、世界が一変したドラマの内容と重なります。
リスナー自身、「夜」に悩み、「星」を見上げて何かを願うこともあるでしょう。
「星に変わる何か」には「願い、祈り、希望」のほか、「愛する人、亡くなった人、離れ離れになった人」などが当てはまるのではないでしょうか。
星が降る夜をただ仰ぐ
出典:星を仰ぐ / 作詞・作曲:Mega Shinnosuke
いつかの傷も今宵の君も
限りあるものが星になってゆくまで居れたら
君と居れたら
「傷」と「君」という「限りあるもの」が「星に変わる」ことを願う、という結末でした。
ドラマではゾンビのゴーレムが「生ける屍(しかばね)」という設定になっていて、現実的な「生と死」を超越した世界観が描かれています。
そのため「居る」には「一緒にいる、生きる」だけでなく「人間でいる」ことも含まれるでしょう。
「人間がゾンビに変わる」のではなく、「星に変わる」ことを願っているとも考えられます。
さまざまな意味で「君と居る」ことができるといいですね。

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さいごに
ドラマは過酷なサバイバルものなので、その対極ともいえる詩的なラブソングに救われた人も多いのではないでしょうか。