indigo la Endのメジャー8th(通算10th)デジタルシングル「ほころびごっこ」(2018年10月)の歌詞の意味を考察します。
千原ジュニアさん主演の映画「ごっこ」(2018年10月)の主題歌として書き下ろされました。
川谷絵音さんが作詞・作曲した「ほころびごっこ」をチェックしましょう。
映画「ごっこ」の概要
小路啓之さんの漫画を原作とした、熊澤尚人さん監督・脚本による実写映画。
アラフォーの引きこもりニート城宮(千原ジュニアさん)が絶望した挙句、向かいの家のアザだらけの5歳児(平尾菜々花さん)を誘拐し、パパやんとヨヨ子という親子のような「ごっこ生活」を送る物語です。
紆余曲折を経て、「ごっこ」が「本物」になる家族愛が描かれています。
ほころびごっこ 歌詞考察!
愛し合ったのは父親と娘?
サビの前半が冒頭にくる「頭サビ」から始まります。
全体的に映画のモチーフがふんだんに出てくる、映画の内容に寄り添った歌詞です。
つまり「僕」はパパやん、「あなた」はヨヨ子、「愛し合う」とは本物の家族のように気持ちが通じ合うことを表しているでしょう。
ヨヨ子の体にアザがあったとはいえ、そもそもパパやんの誘拐によって始まった疑似家族なので、本物の親子のような絆が築けるのは「まさか」の出来事です。
ニートだったパパやんにしてみたら、5歳の少女に真っ直ぐな目で見つめられても「本当に自分が父親でいいの?」と信じられない気分なのでしょう。
パパやんは自分の「人生」を終えようとしたことがきっかけでヨヨ子を誘拐するに至り、生き長らえました。
「パパやん」と呼んだのはヨヨ子で、「ヨヨ子」と名付けたのはパパやんです。
血縁関係も戸籍上の関係もないまま、突然「親子ごっこ」が始まったのでとまどっている様子が伝わってきます。
ヨヨ子が好きなテレビ番組の「ヒーローショー」に行くシーンを彷彿とさせる歌詞です。
虐待されているかもしれないヨヨ子を誘拐したことやその後の紆余曲折も、「救い方」としては間違っています。
それでも「ヨヨ子を救うヒーロー(本物の父親)になる」という、顔がほころぶような幸せな「結末」を望んでいるパパやん。
いったいどうなるのでしょうか。
冒頭の前半に、「バイバイ」からの後半が加わったサビです。
映画では、「救い方」は間違っているものの、引きこもりだったパパやんが家族愛に目覚めるという成長物語が描かれています。
それはヨヨ子(あなた)と関わることで起きた変化です。
父親として娘に「ありがとう」や「ごめんなさい」といった礼儀を教えるエピソードを踏まえたうえで、それでも父親のほうから別れを告げたり、謝ったりしなければいけない場面も出てきます。
あるいはヨヨ子の母親も「想像」できるでしょう。
結末はどうなった?
じゃんけんしてグーで勝つと3歩(3文字)、チョキやパーで勝つと6歩(6文字)進める「グリコ遊び」も、エアガンの弾丸「BB弾」も、映画に登場するモチーフです。
そのうち「グリコ遊び」はパパやんがヨヨ子に教える印象が強いものの、「BB弾を拾う」ことに関してはヨヨ子の得意分野であり、そのおかげでパパやんが救われます。
お互いにお互いの「ヒーロー」になりたいと思う、支え合う関係性だからこそ「本物」になっていったのではないでしょうか。
唐突に「コーヒーカップ」が出てくるのは、おそらく遊園地のアトラクションをイメージしているのでしょう。
「周り続ける縁が広がる」ことで、パパやんとヨヨ子の「距離」が遠のく場面が連想できます。
それは「コーヒー」の味にたとえるなら、確かに「酸味が刺激的」なシーンです。
具体的には描かれていませんが、離れ離れになっても構わないほどの何かが起きたと匂わせることにはつながっています。
「伏線回収」とばかりに、作詞・作曲した川谷絵音さん自身の制作意図が吐露されています。
そもそもパパやんはヨヨ子を誘拐していて、さらなる紆余曲折もあるので、「コーヒー」にたとえるなら「後味が苦い」展開です。
その「苦み」を和らげる楽曲になっていてほしい、ということ。
パパやんはヨヨ子と離れ離れになって「損な環境」に陥るものの、それでも「救われる望み」はあるのかどうかと含みを持たせています。
「どんな」からの後半が加わったサビです。
パパやんが引きこもりのニートだったとき、まわりの子供たちから「BB弾」を投げつけられていたというエピソードもありました。
そこへ「BB弾を拾う」ことが得意なヨヨ子が現れ、パパやんは「救われた」という流れです。
パパやんもヨヨ子の「ヒーロー」になりたかったので、これからもお互いに「愛情を拾い合う」関係が続くのでしょうか。
映画の予告映像でも「本物へ」と紹介されていますが、どうなると「本物」なのか、何が「真実」なのかという具体的な内容はもちろん明かされていません。
そのため「歌詞」も「愛情ごっこ」のままで終わるという結末でした。
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さいごに
今回は映画になぞらえ、父親と娘の家族愛として考察しましたが、映画から離れ、男女の恋愛として捉えた場合、「ずっと真似事(ほころびごっこ)かもしれない」という爆弾がサラッと最後に投下されるあたり、indigo la Endらしい毒が効いているとも言えそうです。