緑黄色社会(リョクシャカ)の5thシングル「陽はまた昇るから」(2022年4月)の歌詞の意味を考察します。
映画「クレヨンしんちゃん もののけニンジャ珍風伝」(2022年4月)の主題歌として書き下ろされました。
小林壱誓さんが作詞、穴見真吾さんが作曲した「陽はまた昇るから」の歌詞の意味を見ていきましょう。
映画の概要
臼井儀人さんの漫画を原作としたアニメ映画「クレヨンしんちゃん」シリーズの第30作目「もののけニンジャ珍風伝」。
野原家にしんのすけ(5歳)の本当の母親だという忍者(くノ一)屁祖隠(へそがくれ)ちよめと珍蔵(5歳)がやってきて、しんのすけが忍者の里で地球を守る役目を担うことになる、忍者アクション超大作です。

陽はまた昇るから 歌詞考察
語り手は母親?
陽はまた昇るから
悲しくなれる
出典:陽はまた昇るから / 作詞:小林壱誓 作曲:穴見真吾
それはイイことなんだよ
悲しむ人の気持ちを
守れる人になるから
映画では、医院長の説明により、主人公しんのすけの誕生時に病院で取り違えのミスが起きていたことが発覚し、本当の母親だと名乗る女性が現れます。
これまでしんのすけを育ててきた「野原みさえ」とくノ一の「屁祖隠ちよめ」のどちらが本当の母親なのかという問題が発生するので、母親が子どもに語りかけるような歌詞になっています。
また、屁祖隠家には「地球を守る」役目があり、同じ日に生まれた珍蔵の代わりにしんのすけが巻き込まれる展開も示唆されているようです。
寂しくなれる
出典:陽はまた昇るから / 作詞:小林壱誓 作曲:穴見真吾
それもイイことなんだよ
誰かが居た温もりに
生きられるから
ちよめを連れ戻しにきた忍者集団によって、しんのすけは「忍者の里」へと連れ去られるため、本来の家族は離れ離れになります。
この出来事によってお互いに孤独を感じるようになるものの、「家族の温もり」に気づくことができるところは「イイこと」だと前向きに捉えようとしているようです。
思い出を思い出すとき
出典:陽はまた昇るから / 作詞:小林壱誓 作曲:穴見真吾
同じ気持ちになれるのかな
転んで開いた両手には
泥んこだらけの宝石だ
その輝きを忘れないように
失敗して「転ぶ」ことがあっても、「挫折の経験から学べること(つかめる宝物)」はあるはずなので、それを「宝石」になぞらえているのでしょう
忍者の屁祖隠家が「地球を守る」ために「もののけの術」を使って「地球のへそ」をふさぐのは「超純金の栓」という映画の内容も連想できるのではないでしょうか。
時計がチクタク
出典:陽はまた昇るから / 作詞:小林壱誓 作曲:穴見真吾
24回刻んでるあいだに
一瞬の冒険を
その胸に刻んでいけ
1番のサビ前半です。
1日24時間をだらだらと過ごすより、「一瞬」の今を「冒険」感覚で充実させようという意味でしょうか。
あるいは、しんのすけが「冒険」する姿を目に焼きつけようとリスナーに呼びかけているのかもしれません。
晴れのち雨のち腫れのち七色
びしょ濡れでも笑えるさ
焼き付けるんだ
受け止めるんだ
乗り越えるんだ陽はまた昇るから
出典:陽はまた昇るから / 作詞:小林壱誓 作曲:穴見真吾
1番のサビ後半です。
「転んで体が腫(は)れることがあっても、雨のような涙を流した後には七色の虹が架かる」という話でしょう。
その結果、曲名の「陽はまた昇るから」につながります。
夢を見よう
大人になれる
出典:陽はまた昇るから / 作詞:小林壱誓 作曲:穴見真吾
それはイイことなんだよ
まだまだ分からなくてもいい
それでも伝えておくぜ
母親や父親がしんのすけに語りかけているようでもあり、「大人」のリョクシャカのメンバーからの若者へのメッセージとも受け取れるでしょう。
しんのすけのような子どものままでいたい「大人」にも刺さるかもしれません。
優しくなれる
出典:陽はまた昇るから / 作詞:小林壱誓 作曲:穴見真吾
それもイイことなんだよ
説明なんて野暮だね
ララララ ラララ
「説明は野暮」とのことで、歌詞のない鼻歌になりました。
誰かに「優しくする」ことが照れ臭い思春期のリスナーも、リョクシャカおよび長屋晴子さんに「イイこと」だと歌われると「優しくなれる」かもしれませんね。
助けのついてる自転車も
出典:陽はまた昇るから / 作詞:小林壱誓 作曲:穴見真吾
おろしたばっかのクレヨンも
がむしゃらに走らせてみて
思うまま
「クレヨンしんちゃん」に絡めて「クレヨン」が出てきました。
基本的には「補助輪のついた自転車」に乗ったり、「クレヨン」でお絵描きをしたりする、5歳のしんのすけに語りかけている母親という設定なのでしょう。
時計がシクハク
出典:陽はまた昇るから / 作詞:小林壱誓 作曲:穴見真吾
24回刻んでるあいだに
秒針を追い越して
明日すら描いていけ
2番のサビ前半です。
1番の「チクタク」が「シクハク(四苦八苦:しくはっく)」に変わりました。
「生(しょう)・老(ろう)・病(びょう)・死(し)」と「愛別離苦(あいべつりく)・怨憎会苦(おんぞうえく)・求不得苦(ぐふとくく)・五蘊盛苦(ごうんじょうく)」のことでしょう。
「地球を守る」ことができなければ「明日」は失われるという映画の内容が反映されているようです。
晴れのち雨のち腫れのち七色
一生ぶん寝ても笑えるさ
疲れ切るんだ
それでイイんだ
夢を見るんだ陽はまた昇るから
出典:陽はまた昇るから / 作詞:小林壱誓 作曲:穴見真吾
2番のサビ後半では、「がむしゃらに生きて疲れ切ると寝すぎるかもしれないけれど、夢を見られるから構わない」というメッセージが描かれています。
睡眠中に「夢を見る」だけでなく、日常的に「希望をもつ」ことにもつながりそうです。
震えていても大丈夫
心の声すら聞こえるよ
出典:陽はまた昇るから / 作詞:小林壱誓 作曲:穴見真吾
それでも声が聞きたいんだ
生まれてきたそのときから
地球がみとめた引力だ
その始まりを忘れないように
「しんのすけの出生の真実」が映画のテーマになっているので、その辺りが描かれているのでしょう。
たとえ病院のミスによる取り違えだったとしても、「地球の引力」によって引き寄せられた家族の「声を聞きたい」と願っているようです。
時計がチクタク
出典:陽はまた昇るから / 作詞:小林壱誓 作曲:穴見真吾
24回刻んでるあいだに
最高の冒険を
いま胸に刻んでいけ
ラスサビの前半は1番のサビ前半とほとんど同じですが、「一瞬」が「最高」、「その」が「いま」に変わりました。
「いま」を積み重ねることによって、人生が「最高の冒険」になるという「夢=希望」に満ちあふれています。
晴れのち雨のち腫れのち七色
びしょ濡れでも笑えるさ
震えてるんだ
それでイイんだ
立ち向かうんだ陽はまた昇るから
出典:陽はまた昇るから / 作詞:小林壱誓 作曲:穴見真吾
「転んで泣くことがあっても、笑えるようになるから大丈夫」という励ましの言葉は、「臆病な気持ちを抱えながらでも立ち向かえば、陽はまた昇る」という結末にたどり着きました。
「クレヨンしんちゃん」の「笑い」に勇気づけられる人も多いことでしょう。

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さいごに
おそらく子ども向けの映画の主題歌という点を強く意識して、楽曲が作られたのではないでしょうか。
「涙を流すことがあっても、笑える日がくるから大丈夫」というメッセージがストレートに描かれていました。