King Gnu(キングヌー)「Hitman」の歌詞の意味を考察します。
メジャーデビュー(2nd)アルバム「Sympa」(シンパ、2019年1月)の収録曲で、テニスの大坂なおみ選手が出演するANAのグローバルCMソングに起用されました。
ギター&ボーカルの常田大希(つねた だいき)さんが作詞・作曲した「Hitman」の歌詞をチェックしましょう。

Hitman 歌詞考察!
極上の音楽を放つヒットマン

イントロから、アニメ「BANANA FISH」第2~13話(2018年7月~10月)のED曲「Prayer X」(2018年9月)にも出てくるキラキラした鍵盤が特徴的。
これはmillennium parade(ミレニアムパレード、略称:ミレパ)のメンバーでもあるWONK(ウォンク)の江﨑文武(えざき あやたけ)さんによるピアノです。
ヒットマン(暗殺者)という不穏なタイトルとは対照的に、美しく哀愁ただよう音色が響きます。
さらに「Sunshine」と「Sky high×2、Sunshine×2」×2のコーラス、一瞬のブレイクが入った後、冒頭の歌詞につながります。
井口理(いぐち さとる)さんの美声が切ないAメロ。
大人になり、子供の頃に思い描いたキラキラした未来や夢とは異なる現状を憂いています。

「東京クルージング」(cruising)というコーラスに続くBメロです。
King Gnuのメンバー4人は東京23区出身ではありません。
出身地は、幼なじみの常田さんと井口さんが長野県伊那市、ドラムの勢喜遊(せき ゆう)さんが徳島県阿南市、ベースの新井和輝(あらい かずき)さんが東京都福生市です。
1stアルバム「Tokyo Rendez-Vous」(2017年10月)や前身バンドSrv.Vinci(サーバ・ヴィンチ)時代から、東京混沌(Tokyo chaotic)をテーマに掲げてきた彼ら。
たくさんの人がそれぞれ問題を抱えながらも、東京という荒海で前向きに生きる混沌とした様子が浮かび上がります。

「It could be sun shining, shining, shining, shine」×2のコーラスに続く、サビです。
すでに国民的バンドとなったKing Gnuですが、これほど優れた音楽家4人がそろっていても売れない下積み時代はありました。
それでも優れた音楽がまともに売れる「未来」を目指して、荒波を航海してきた強みがあります。
そんな「今なら」音楽を愛する「あなたの心の奥底」に届く楽曲(弾)を届けることができる、というKing Gnu(僕ら)の決意表明のようです。
「ヒットマン」とは「弾を撃つ人」のことですが、「極上の音楽を心の奥底に響かせる人」や「ヒットを放つ音楽家」という意味で用いられているでしょう。
笑顔の仮面を取るとどうなる?

「Sky high, sunshine」のコーラス、キラキラの鍵盤、新井さんのベースソロ、勢喜さんのタイトなドラムなどの間奏に続く、2番のAメロです。
描かれているのは、King Gnuが音楽を届けたいリスナー(あなた)に向けてのメッセージでしょう。
日常的な誰かとの「会話」やまわりの人たちの些細な行動(仕草)にも愛情(温もり)はこもっているのに、気づかず絶望しているのではないかと心配してくれているようです。

「東京クロッシング」(crossing)というコーラスに続くBメロ。
とくに東京のようなたくさんの人が行き交う(交差する)都会では、本心(別の顔)を表に出さず、なるべく問題が起きないようにやり過ごす場面が多いものです。
それでも怖がらずに、悲しいなら悲しい表情を浮かべればいい(笑顔の仮面を取れ)と寄り添ってくれています。

「It could be~」のコーラスに続く、2番のサビです。
リスナー(あなた)とKing Gnuで「喜怒哀楽の感情を共有しながら、笑うことさえできればそれでいい」という熱い思いが表現されています。
このメッセージこそKing Gnuが「あなた」に届けたい「温もり」であり、極上の音楽という名の愛情ではないでしょうか。
「行ったり来たり」というのは同じ場所を右往左往する堂々巡りのことですが、印象的なコーラスや鍵盤のフレーズ、サビなどが繰り返されるサウンド面についても言及しているようです。
King Gnuにとっては、バンド活動がなかなか進展しないように思えた時期もあったはず。
リスナーにとってもそれぞれの日常が重なることでしょう。
この後、1番のサビ「今なら~」が繰り返されます。

曲調が変わり、King Gnuのメンバーもリスナーと同じように、絶望しながらも強がって生きているという心情が吐露されます。
これが「笑顔の仮面を取った」状態ですね。
King Gnuの音楽がなかなかリスナーに届かない時期もあったのは、「霧」がかかっていたから。
それでも極上の音楽を愛するリスナーがいるはずだと「狙いを定めて」、暗い状況(曇り空)を打破した(撃ち抜いた)という意味でしょう。
あるいは暗い気持ちを抱えるリスナーに、極上の音楽という「温もり」を届けたい(撃ち抜きたい)という心意気も伝わってきます。
「Prayer X」と同じく、「一体全体」という言葉が使われていることで、アニメ「BANANA FISH」で描かれたアメリカの銃社会も連想できるのではないでしょうか。
常田さんの強烈なギターソロが撃ち抜かれた後、「今なら~」のサビが繰り返されることで、同じことを繰り返しながらもたどり着いたKing Gnuの現状が強調されます。

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さいごに
キラキラした鍵盤やコーラスワークと弾を撃つようなギターソロの対比が印象的な「Hitman」。
スラップの効いたベース、緩急のリズムが心地いいドラムなど、聴きどころ満載なので、King Gnuの音楽愛をじっくり堪能できるしょう。