ずっと真夜中でいいのに。(ずとまよ)「ハゼ馳せる果てるまで」(2019年10月)の歌詞の意味を考察します。
1stアルバム「潜潜話」(ひそひそばなし、2019年10月)の収録曲。
ACAねさんが作詞・作曲、ぬゆりさんが編曲・プロデュースした「ハゼ馳せる果てるまで」の歌詞を紐解きましょう。

ハゼ馳せる果てるまで 歌詞考察!
タイトルの意味

基本的にラブソングですが、学校の勉強になぞらえた言葉が並び、冒頭の歌詞は全体を要約した内容になっています。
主人公は「君」から何らかの「解答」を得ましたが、「単純に問題を解決しただけ」の「曖昧」なものなので、どのような手段を使ってでも「遠ざかる」ということ。
どのような「解答」なのか、何から「遠ざかる」のか、あるいは「表と裏」や「練習を繰り返す」といった表現については追々回収される伏線なので、続きを見ていきましょう。

「君」の「解答」が「会いたい」という言葉だったことが判明します。
どうやら主人公は誰かから「会いたい」と言われることに慣れていない様子。
めったに言われる機会がない、限られた(有限の)言葉なので、実は嘘や冗談だったなどと「壊れる」ことがないように、本当かどうか「確かめてしまう」のでしょう。
ほとんど愛の告白に近い言葉ですが、あまりにも「模範解答」すぎて、本当に心がこもっているのかどうか、疑心暗鬼になる「癖」があるようです。
そのような「癖」のある自分自身を嫌うことなく、素直に受け止めたいと願いつつ、ネガティブな考えばかりが渦巻く、悪循環の「スパイラル」にハマっています。

ネガティブ思考の連鎖により、「君」に構っていられなくなるという本末転倒の流れに突入しました。
主人公には何度も手を洗ってしまうなどの潔癖症の傾向もあるのでしょうか。
「会いたい」と告白されて付き合うような青春(春)や潔癖症(消毒)から「遠ざかりたい、終わらせたい」と逃げ腰になっています。
これほど悩む状況になったのは、すべて「会いたい」という「簡単な正解をばら撒かれた」せい。
本来は「人工知能」となるところが「人口知能」と間違っているのは、「間違ったAI=愛」を表しているのかもしれません。
心がこもらない間違った愛の告白なら、混乱するだけだから言わないでほしいという話でしょう。

1番のサビでは、「泳ぐ」という言葉からタイトルが連想できます。
そのうち「ハゼ」とは、ドンコ、カワアナゴ、ムツゴロウなどハゼ亜目の魚の総称で、種類にもよりますが、水底に貼りついたり、汽水域や泥沼底に生息したり、干潟を這ったりするのが特徴的。
「爆ぜる(はじける)、Haze(ヘイズ、もや、かすみ)」などのダブルミーニングかもしれないと想像するのもおもしろいでしょう。
「馳せる」とは「速く走る・走らせる、駆ける」ことで、「思いを馳せる、名を馳せる」など「遠くを思いやる、広く知らせる」といった意味もあります。
つまり「ハゼ馳せる果てるまで=ハゼが走り切るまで」といったニュアンスです。
人間なら歩いたり走ったりすればいいので「泳ぐ必要」はないし、「会いたい」と言われただけなら「傷」つけられたわけでもありません。
それなのに落ち込んだり、「息継ぎ」したりする様子が「ハゼ」のようだという話でしょう。
恋が始まる前から本末転倒のような沈み方をする主人公みたいなリスナーに対して、そのネガティブな「スパイラル」(もや)を吹き飛ばせる(消し切れる、爆ぜる)なら「先に溺れてみせる」というACAねさんのメッセージのようです。
さらに「君」に対しても、「明日には忘れる」ほど心がこもっていないなら、「会いたい=おいで」という愛の告白のような価値のある(価値が根付いた)言葉を軽々しく口にしてはいけないと「綺麗事」を言っています。
本当はハゼ状態を脱したい

「他人の欠点ばかりに目を向け、孤独に浸ったり自己嫌悪に陥ったり、泣き笑いを繰り返し、三途の川を想像するのはなぜ?」といったニュアンスでしょう。
三国時代の英雄、魏(ぎ)の創始者「曹操」(そうそう)は、「葬送」の当て字でしょうか。
「人口知能」と共に、冒頭の「表と裏を使い切る」具体例と考えられます。

「痛いの~行け」は「君」が言った言葉で、落ち込む主人公をなぐさめたのでしょう。
しかし主人公は「君」の優しい言葉さえ「ずるい」と拒否反応を示しています。
なぜなら「君」には主人公が「生きる意味」になるほどの思いはないとわかっているから。
前向きに生きる「可能性」を軽々しく投下されるくらいなら、落ち込んだままでいたいようです。


1番のサビが繰り返された後の2番のサビでは「忘れてしまう」が「逃れてしまう」に変わりました。


「罰」は「×」の当て字で、「本当は×が〇だったとしても」という意味でしょう。
全体的に「恋愛から遠ざかる練習を繰り返す」内容でした。
「君」は心から主人公に「会いたい」と思い、優しい言葉をかけたのかもしれません。
これが「本当は×が〇」だということ。
泥沼の底に生息する「ハゼ」のように落ち込みがちでも、本当は心のこもった愛の告白を信じたい(異なる自分を愛したい)という結末でした。

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さいごに
最後まで主人公の考えすぎなのか、「君」の告白が心のこもらないものだったのかはわかりませんでした。
いずれにしてもACAねさんがとことんハゼ状態を描いてくれたので、前向きに生きる気分になったのではないでしょうか。