今回は人気シンガーソングライター・あいみょんさんが6月8日にリリースする新曲「初恋が泣いている」の歌詞を考察していきたいと思います。
本楽曲は4月18日から放送されているドラマ『恋なんて、本気でやってどうするの?』の主題歌として起用されています。
ドラマの内容、楽曲コメントも合わせてみていきましょう!
ドラマ『恋なんて、本気でやってどうするの?』
主演・広瀬アリスさんがSixTONESの松村北斗さんと繰り広げる本気の恋を描いたドラマ。
西野七瀬さん、藤木直人さん、飯豊まりえさん、岡山天音さんも出演しており、恋愛に本気に慣れない男女6人の群像ラブストーリーです。
洋食器デザイナーとして働く・純(広瀬アリス)は恋愛に興味がなく、仕事に打ち込む日々を送っていた。
ある日、女友達とレストランを訪れた純は、そこで働くギャルソン・柊磨(松村北斗)にときめく友達をよそに、柊磨には目もくれない。
だが、柊磨のある一言に思わずドキッとする。
初回では、広瀬アリスさんの号泣シーンに大きな反響が寄せられていました。
これからどんな物語が広がっていくのか、ドラマの続きが気になりますね!
楽曲コメント
あいみょんさんの楽曲コメントをご紹介します。
リビングの椅子に腰掛けて、ベランダの方を見ると、ベランダの塀と空しか見えないんですが、それでも何故か私は、塀と空しか見えないベランダの方をぼーっと眺めるのが好きです。
良いことも悪いことも、いつもベランダから入ってくる気がしているからだと思います。
この曲は、初恋、または恋に取り憑かれている主人公の話になっています。
恋というものを私の中で擬人化させてみながら作りました。
その時もベランダを見てたと思います。
そんな曲の中の主人公とドラマの中で描かれる様々な恋愛模様とがどう合わさるのか、私も楽しみです。宜しくお願いしますー!
『コントが始まる』の「愛を知るまでは」や、『婚姻届に判を捺しただけですが』の「ハート」など、多くのドラマの主題歌を手がけてきたあいみょんさんが送る「恋を擬人化させて作った曲」
どんな曲になっているのか、歌詞の公開が楽しみです!

初恋が泣いている 歌詞考察

あいみょんさんの楽曲コメントにもあるように曲のポイントは”恋の擬人化”と”ベランダ”です。
この考察では、主人公・私と擬人化された私の恋を登場人物として読み解いていきます。
冒頭で歌われるのはベランダの外から私を睨んでいる恋の姿。
「痺れをきかして睨んでる」の「きかして」は、幅をきかす、睨みをきかせるなどの”利かす”です。
通常であれば痺れは切らすものですが、ここでは睨んでると掛けて使っているのでしょう。
電柱にぶら下がっている恋が、私に対して苛立ちを感じている様子が伝わります。
「そんなもんか?」という恋のセリフから、私の初恋が終わってしまったことが伺えます。
初恋の人に別れを告げられ、部屋でふさぎ込んでいる私に対して、そんなもんか?お前の恋はそれで終わってしまうのか?と煽っているようにも聞こえますね。
そんな恋に対して「あれは幻か?」と自分自身に問いかけている私の姿が浮かんできます。

夜になると、寝ている私の耳にベランダからなにやら呪文が聞こえてきます。
「過ちとかそんなのを混ぜた 後悔を歌にしたような呪文」
失敗してしまった初恋に対する後悔が私の頭から離れず、頭に回る歌のように繰り返されていることが分かりますね。
また「夜になれば」という歌詞は、冒頭のシーンからの時間経過を表現していると考えられます。
つまり冒頭のシーンで描かれているのは振られたことに対してただ悲しんでいた私。
すこし時間が経って落ち着いて振り返ると「自分にも悪い部分があったのかも・どうにか別れずにいる道はなかったのか?」と後悔している私の姿が描かれているのです。
失恋した後の気持ちがしっかりと表現されたみょんさんらしい素敵な歌詞ですね。

ここでタイトルの「初恋が泣いている」が登場します。
これまでは「そんなもんか?」と威嚇してきたり、後悔の呪文を唱えてきた恋ですが、実はその恋自身も主人公と同じように悲しんでいたのです。
失恋を認めたくない気持ち、後悔や悲しみの気持ちという相反する二つの感情が、恋を擬人化することで的確に表現されていますね。
私、そして恋の気持ちを代弁するように空から降ってくる大粒の雨。
相手に別れを切り出されて終わってしまった初恋の切なさが伝わってきますね。

「小さい頃からのママの言いつけ」からは、前作「双葉」の歌詞が思い起こされます。
双葉について、余命の短い母が子供に宛てた手紙のようだと解釈しました。
その双葉の歌詞を少しご紹介します。
君も大人になったら 恋をするんだよ
運命の人に出会うまでは 傷が絶えないかもだけど
悲しみなんかは 気づけば雨になる
心耕し 花が咲くまで 可愛く揺れなよ 双葉
誰しも恋をするけれど、運命の人に巡り合うまでは悲しい別れや挫折も経験するだろう。
今回の曲と双葉の世界線は異なりますが、どちらもあいみょんさんの恋愛に対する想いが歌われているのではないでしょうか?
しかし、まだ未熟な私は「あれは本当なのか?」と疑いの目で捉えています。
これからたくさん傷ついていく中で、運命の人に出会ったとき、ママの言っていたこと初めて理解できるのでしょう。
そして自分がママになって自分の子供に伝えていく、生命のサイクルが描かれているように感じました。

運命の人に出会うまでは傷が絶えないというママの言いつけは、初恋が失敗に終わったことで理解できましたが、だからといって心の傷が治るわけではありません。
再び現れる、冒頭の歌詞で私を悩ませたブラックな恋、この部分では悪魔と表現されていますね。
いつになれば失恋という呪縛から解放されるのだろう、ずっとこのまま抜け出せないのではという私の不安な気持ちが伝わってきます。
“良いことも悪いことも、いつもベランダから入ってくる気がしている”という楽曲コメント。
擬人化された恋は時に私を攻撃し、時に寄り添ってくるという二面性を持っていますが、どちらの場合もベランダからやってきます。
部屋のドアとは違いダイレクトに外の世界と通じているベランダは、何かが転がり込んでくるような不思議な気持ちにさせてくれますね。

私は付き合っていた初恋の人に別れを切り出されるなど少しも考えていなかったのでしょう。
突然私を襲った悲劇から立ち直れていないことが分かります。
相手のことを好きであればあるほど別れのダメージは大きく、すぐに切り替えられるものではありませんよね。
失恋を引きずって心が不安定になっている私の姿が描かれています。

歌詞を見ずに聞くと「愛してる」が繰り返されているように聞こえますが実は「?」がついていて、私と恋の掛け合いになっています。
自分と同じく泣いている初恋に対して「愛してる?」と尋ねる私。
それに対して「愛してる」と答え、「愛してる?」と問い直す初恋。
これまでは強がって、私と対立することもあった恋と和解し、お互いに支え合っている様子が描かれます。
主人公である私が失恋という感情に素直に向き合うことが出来たのでしょう。
ラストの歌詞へ続きます。

これまでの歌詞の中でも初恋は泣いていました。
冒頭からの初恋との関係性を見直してみましょう。
始めはベランダの更に外、電柱にぶら下がって私を威嚇してきた初恋。
夜になるとベランダに降り立ち、悪魔のように後悔の呪文を唱え続けてきた初恋。
曲のサビでは「思っているよりも近く」で、私の心情を代弁するかのように泣いていました。
そしてラスト「初恋が泣いている 思ってるよりももっと近くで」
思っているよりももっと近くで泣いている初恋。
こうして見ると、始めはベランダの外にいた初恋が段々主人公に近づいて来ていることが分かりますね。
私と初恋が近づく=”私が自分の気持ちに対して素直になる・失恋を受け入れようとしている”ということを表しているように感じました。
「もしもこの世からあの子が消えるなら それもいいかもな」
すこし物騒な歌詞ですが忘れられない初恋の思い出を消すには、相手ごとこの世から消し去ってしまうのが一番なのではないでしょうか?
それで長く続いた呪縛からも解放され、また新たな恋に踏み出すことが出来る。
私が初恋の悲しい思い出から立ち直ろうとする過程が、擬人化した恋との距離感で表現された素敵な楽曲でした。

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さいごに
いかがでしたか?
ドラマの内容ともぴったりな曲でしたね。
CDのリリースが楽しみです!