2016年11月16日にシングルリリースされたback numberの「ハッピーエンド」。
同年、12月17日に公開された映画「ぼくは明日、昨日のきみとデートする」の主題歌として使われた作品です。
さて、「ハッピーエンド」というタイトルですが、この楽曲が大変感慨深い歌詞であり、多くの共感を得た楽曲でした。
今回は、back numberの「ハッピーエンド」について詳しく考察してきたいと思います。

ハッピーエンド 歌詞考察
別れ話にとまどう「私」

まず歌いだしの部分で「喉の奥につっかえていて」とありますが、さよならを伝えられないという感情があるのがわかります。
相手の事が好きという感情があり、もはやそればかりの感情しかなく、さよならが言えずにいるようです。
そして何とか絞り出した言葉が「ありがとう」。
つまり、さよならを言わないといけない場面でありながらも、相手の事が好きだから嘘をついてしまっている。
あなたが好きな自分からは、ありがとうや嘘の優しさしか出せない。
という恋人から別れ話を切り出された、別れたくないという「私」目線の曲である事が伺えます。

この曲のサビになる部分ですが「青いまま枯れていく」という大変美しい歌詞。
「青い状態」と「枯れる」という対義語のような言葉をあえて組み合わされています。
その後の歌詞の通り、あなたを好きなままで消える。
歌い出しでも触れているように、「青いまま」つまり、まだあなたが好きな自分の状態である事。
そして「枯れてゆく」。
恋が終わろうとしている様を表現しています。
さらに、あなたが好きだという自分の感情を押さえつけるように「一緒に握りつぶしたの大丈夫大丈夫」と、恋人に対して好きだという想いから自分の気持ちを後回しにしています。
さらに恋人に対する優しさともとれる「私」の感情がより表現されています。

押さえつけていた感情を少しだけ口走るように相手に伝えようとします。
でも最後は「嘘だよごめんね」と言ってごまかすのも恋人に対する好きだという感情からの優しさが滲み出ています。
別れたくない想いは優しさへ

別れ話をしているのになぜか思い出すことは嬉しかった時の事ばかり。
好きだという感情は良い思い出しか思い出すことが出来ません。
じゃあ、あの時と今の自分は何が違うのか。
「今の私」つまり相手が変わったのではなく、自分に責任があるのではと考えてしまっています。

しばらく離れていたのか、別れが迫っていた感覚があったのか、もしくは遠距離恋愛だったのかもしれません。
でも「私」は恋人の事を最後まで信じていた。
「ここにいるのに」とは最後までお互いの事が好きだという事を信じていたのでしょう。

やはり最後まで信じていたのに別れがくる。
つまり「青いまま」に、別れがくる「枯れてゆく」のです。
最後まで好きだった、最後まで信じていた、その感情は行き場をなくして自分の中で消し去るしかありません。
本当は覚えていて欲しいのに、また「嘘だよ」と「元気でいてね」とあなたが好きだから優しくしてしまいます。

泣かないのはあなたが好きな私の優しさなのに、それにほっとしているなんて暢気だと思いながらも、そこも「大好き」と、健気な想いは尽きません。

やはり思い出すのは、あなたが居てくれて嬉しかった事、言ってくれて嬉しかった事ばかり。
あなたのおかげで「見える全部聞こえる全て色付けたくせに」と、あなたのお陰でどれだけ変われたのかを訴えます。
別れの状況になればなるほど良い思い出ばかりが溢れてきています。

やはりサビになる部分が核心的な部分であり、好きなままで終わってしまう恋。
「握りつぶしたの」という言葉のように、自分の感情は後回し。
でもあなたに対しては「大丈夫 大丈夫」と、最後まであなたが好きな自分の優しさ。
好きだけど自分の感情は後回し、そしてあなたへは優しさしか言葉にできない。
「私」のあなたの事が好きという感情が再確認されます。
別れの決意

最後にももう一度、自分の感情を伝えるセリフ。
「離さないで」と言いながらも今度は「元気でいてね」ではなく「さよなら」と。
歌い出しの所で、喉の奥につっかえてしまっていた言葉が最後の言葉にされています。

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まとめ
いかがだったでしょうか。
この「ハッピーエンド」という楽曲のいわば主人公となる「私」は、恋人の事が好きで別れたくないという想いが大変強く伝わってきます。
ただ「私」は恋人の事が好きであるが故に、優しさを見せてしまいます。
強がったり、嘘をついたり、そして最後にはその優しさから別れる事に否定できず「さよなら」となります。
この主人公の「私」は果たして本当にタイトルの通り「ハッピーエンド」だったのでしょうか。
思い出すことはハッピーな事ばかり、しかし現実に別れが迫っている事への悲しみは大きく、決して「ハッピーエンド」とはいきません。
もしかするとこの「ハッピーエンド」とは、「ハッピー」と「エンド」は別々の言葉として捉え、”終わりが幸せ”になるのではなく、”幸せの終わり”であるという意味なのでしょうか。
それとも、あなたの事が好きが故に優しさから、あなたにとって「ハッピーエンド」にしてあげているのかもしれません。
いずれにせよ、この曲の主人公である「私」の、健気でもあり好きという強い感情が、自分を弱くさせている。
そんな感情をうまく表現されている素晴らくもあり、多くの共感を得られる楽曲と言えるでしょう。