ずっと真夜中でいいのに。が2023年6月7日にリリースした3rdフルアルバム「沈香学」の一曲目に収録されている楽曲「花一匁」。
言葉の響きのとおり童謡の「はないちもんめ」とリンクする箇所もあるというこの楽曲にはどんなメッセージがこめられているのでしょうか。
早速考察してみたいと思います。
ずっと真夜中でいいのに。とは
2018年6月4日よりYou Tubで活動開始し同じ年の10月には早くもメジャーデビューを果たしています。
「ずとまよ」の愛称で親しまれ、ボーカル・作詞・作曲を担当しているACAねさんを唯一の正式メンバーとしているバンド。
本名や年齢など素性はほとんど非公開で活動し、ライブでも顔は見えにくい演出になっていますしメディアの露出も控えられていて音声や文字のみで対応となっています。
しかしながら、ずとまよの人気はすでに若い方中心に確立されているようで、2023年9月~12月まで3カ月におよぶ全国25か所・全33公演の大規模ツアーが発表されています。
秋から年末にかけて大きな楽しみとなるのではないでしょうか!
「ずっと真夜中でいいのに。」由来
今回考察する「花一匁」は「ずっと真夜中でいいのに」というフレーズで楽曲が始まります。
実は「ずっと真夜中でいいのに。」という名前の由来はACAねさんが何かに没頭していると大概夜中か朝になっている事から「ずっと真夜中でいいのに」と思った事が名前の由来だそうです。
確かに作業に没頭して気付いたら空が明るくなっていた、なんて事もありますね……若い頃は!笑。
楽曲 花一匁
楽曲名は「はないちもんめ」と読み、2023年6月7日に発売の3rdフルアルバム「沈香学」に収録されている楽曲です。
ちなみに2023年6月4日は、ずとまよ5周年という節目の日であり楽曲が「ずっと真夜中でいいのに」で始まる事にファンの方も色々と思う事がありそうですね!

花一匁 歌詞考察
ずっと真夜中でいいのにって溢した午前5時。
目に見えてんのは 波形だけです 腐れたデモベース
偶然⇔必然の工作 朝靄は4シーズン
痛み止め用の曲 作っときたいルーティンから もう抜け出せない
出典:花一匁 / 作詞・作曲:ACAね
辞めたい辞められない 苦しいほど
ご機嫌なんて伺って ばかじゃない?
僕が作るものは 既にあるものじゃーーん
気付けばカーテンの向こうがうっすら明るくなってきて「朝」を感じる午前5時。
主人公は「朝なんて来なくていいのに」と心の声を零してしまいます。
波形やデモベースで主人公は夜通しパソコンに向い作業をしてたのではと連想できますね。
偶然とは何の因果関係もない事、必然とは必ずそうなる事、この言葉は対義語だと考える人もそうでないと考える人もいます。そんなアンバランスな二つの事象。
そして朝靄は4シーズンで、1日の始まり・朝が来ることは4シーズン、つまり一年中、半永久的に繰り返される事であると言っている事がわかります。
嫌でも朝は来る。居心地のいい夜にも終わりが来てしまう、そんな時に落ち着ける鎮痛剤の様に落ち着ける歌を作っておきたいなぁ、と主人公は考えます。
パソコンに黙々と向かい続けるACAねさんのようでもありますね。
そして、この夜型の生活も主人公にとっては「ルーティン」になっているのではないでしょうか。
本当は朝起きて夜寝る生活の方が良いのは主人公も分かっているのでしょう。
しかし、外が明るくなってから寝て世界が寝静まった頃に集中して作業する、という生活リズㇺが主人公の生きるリズムになっているのです。
他者のご機嫌を伺ってきた主人公。
「ばかじゃない?」とは過去の自分に向けた言葉でしょう。
しかし、今の自分も何かを創り出そうともがいてみるも、既に誰かが創ったものである気がして落ち着かないのではと感じました。
ACAねさんが表現する側だからこそ抱く悩みや葛藤ではないでしょうか。
何か出来そうな夜更かし
出典:花一匁 / 作詞・作曲:ACAね
成仏させたし
特別なキャラに期待はしないで
Tシャツも しわくちゃ
淡い残り香の攻撃に やられないように
意味が欲しいよ 花一匁
手に入らないこと わかってても
柄にないことばかり たらたら溢して
こんな僕をまた 笑ってくれたらいいのに
今日は何かできると意気込んでPCに向かった主人公。
成仏させたとはやるべきことは終わらせたという事ではないでしょうか。
それでも特別な人間だなんて思わないで欲しい、Tシャツだってしわくちゃで何も大した事ないのだと主人公は謙遜しているのでしょうか。
プレッシャー故の謙遜というよりも、表現者がカリスマ的で神の様な存在に仕立て上げられ、失敗も何もかも許されないような絶対的な生き物にされてしまう事が嫌だという意味の様に感じました。
淡い残り香の攻撃とは思い出したくない過去だと考えられます。
子供の頃、意味も分からず歌っていた花一匁。
大人になって知っていく現実の様に、過去の思い出に意味を持たせて欲しいと歌っているのではないでしょうか。
そもそも、そんな事に意味なんてないのにと僕を笑ってくれていいのにと、主人公が零す相手はきっと思い出の中の「自分」
飛んでっちゃった 弱音が飛び散った
出典:花一匁 / 作詞・作曲:ACAね
君の白い袖を 汚したのは僕だよ
なんで謝った?
あの時から舞台に 立てないままだったんだ
飛んでっちゃった弱音とは今まで隠し続けた弱音が何かの拍子に零れてしまった事を意味しているのではと考えました。
飛び散ったと言っているので広範囲に広まってしまったと考えられます。
人づてに噂として広まっていったというよりも現代はSNSに零してしまった弱音が意図せず拡散されて結果的に広まってしまったという方が多いかもしれません。
そんな風に広まってしまった自分の「弱音」。噂よりも明確に広まっていく現実を視覚的に捉えられるのが現代の良い所でもあり、窮屈な所でもありますね。
拡散されていく数字に過去の自分が謝っている様に感じた主人公。
あの時から動けないままだった自分に気付くのです。
ルーティンから もう抜け出せない
出典:花一匁 / 作詞・作曲:ACAね
辞めたい辞められない 愛想笑顔
ご機嫌なんて伺って ばかじゃない?
僕が歌うものは 既にあるものじゃーーーん
自分に嘘をついて、何とも思っていないのに愛想笑いしてしまう自分。
それは辞めたくても辞められないルーティン。
他人の機嫌ばかり伺うなんてばかみたい、と自嘲しています。
そんな僕が歌うものは、誰かの歌い方に似ている気がする・・・
ここでは「歌う」とありますが、ACAねさん自身にとって歌が生きる意味だと考えると自分の人生自体が誰かの真似をしているだけではないのか、という悩みの様にも感じられますね!
何か出来そうな夜更かし
出典:花一匁 / 作詞・作曲:ACAね
成仏させた詩
特別なキャラに期待はしないで
Tシャツも しわくちゃ
淡い残り香の攻撃に やられないように
意味が欲しいよ 花一匁
手に入らないこと わかってても
柄にないことばかり たらたら溢して
こんな僕をまた 笑ってくれたらいいのに
先ほど出てきたフレーズの繰り返しに感じますが、「成仏させたし」が「成仏させた詩」になっています。
耳で聞いただけでは気付けない違いが面白いですね。
「詩」とは言葉という事であり何か出来そうな夜中に言葉や言いたい事を封印してしまう主人公の姿を感じました。
花一匁とは童謡「はないちもんめ」からきていると考えられますがこの歌の解釈には諸説と賛否が多数あり詳しくは割愛させていただきますが、「匁」とは昔の銀の単位。
つまり安く売り買いされている花の歌という解釈が一説にあり、過去の出来事に意味が欲しい、意味がないのならば主人公が歩んできた今までの人生の価値が下がってしまう(安い人生になる)、という意味ではないかと考えました。
勿論そんな事に意味の無い事は主人公も分かっているのだと思います。
パジャマ姿で 始まった共感会議
出典:花一匁 / 作詞・作曲:ACAね
髪振り乱して 半乾き水しぶき
明日は早起き ゴミ出しプラの日
うるさいアラームをセットしてgn…
漸くパジャマに着替えた主人公。
髪振り乱して 半乾き水しぶきでシャワーに入った後の主人公を表しているのではと考えました。
明日はプラごみの日だから早起きしなくてはならない主人公。
プラごみって回収日が少ない地域が多いのではないでしょうか。
だから必ず起きなければならない為に、音量大きめでアラームをセットする主人公。
日常の一コマが描かれています。
笑われたって凹むけど
出典:花一匁 / 作詞・作曲:ACAね
媚び売れないけど
特別な未来を 期待はしない死
Tシャツも しわくちゃ
淡い残り香 胸に刻め 流さないように
負けて嬉しい 花一匁
寂しさに強い処方箋 欲しいよ
柄にないことばかり たらたら溢して
早起きの夜も 頑張りすぎは良くないので
健康でいられますように
自分の存在を笑われたら凹むのに、相手に媚びへつらう事も出来ない主人公。
不器用に生きているのが伝わります。
しかし、特別な未来を望んでいるわけではないからそんな自分の生き方でも構わないのではと少し前向きに考えているではと感じました。
「期待はしない死」という表現にも関わらず、マイナスなイメージがないのはACAねさんの死に対する言葉からではないかと思います。
死に対し私自身も含め漠然と恐怖心を抱いている方の方が多いでしょう。
しかしACAねさんは「死」がある事によってちゃんと終わりがあるから安心すると答えていらっしゃいました。
私にとっては目から鱗の考え方で、少し気が楽になった事を覚えています。
そういう考えが歌詞にも反映されているのではないでしょうか。
それでも寂しいという感情を抱く事はありますし、もしかしたら死への恐怖よりも主人公は寂しいという感情の方が苦手なのかもしれません。
寂しさに強い処方箋、つまり寂しさに打ち勝つ方法があれば教えて欲しいという事でしょうか。
そんな風にいろいろ柄にもない事を零したある真夜中。
この楽曲最後の言葉がもしかしたらACAねさんの一番伝えたいメッセージなのかもしれませんね。
「健康でいられますように」

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さいごに
いかがでしょうか。
今回はずとまよが歌う「花一匁」について歌詞を考察してみました。
夜中の静けさは落ち着く時間帯である主人公。
不器用故に生き辛い事がよく伝わってきます。
ACAねさんが零す等身大の言葉に共感する方も多いのではないでしょうか。
最後に行き着くのが「健康」という終着点だったのも印象深い楽曲でした!
この秋から始まる大規模ツアーを健康に乗り切り、更に活躍される事を願っています!