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今回は2008年9月3日にリリースされた「HANABI」の歌詞考察をしていきます。
山下智久さん主演のフジテレビドラマ『コード・ブルー~ドクターヘリ緊急救命~』主題歌にもなった「HANABI」は、ヴォーカル・ギターの桜井和寿さんが作詞作曲を手掛けました。
では早速歌詞の考察を始めていきましょう!

HANABI 歌詞考察
自らへの問いかけと愚痴

歌詞の中の登場人物は主人公の「僕」とその恋人と思われる「君」の二人です。
冒頭で主人公は自らに今現在「生きているこの世界」には価値があるのかどうか?と問いかけています。
更に、主人公は「すべてが無意味」と感じているようです。最後に「疲れて」いるのではないかとまた自らに問いかけています。
仕事やプライベートで何か良くない事があり、気持ちが沈んでネガティブ思考に陥っているようです。
落ち込む様なことがあり、心の中で自らに愚痴をこぼしたくなる気持ちは共感できますね。

主人公は、何かを「手に入れ」るために別の何か大切なものを「切り捨て」てきたようです。
具体的に何を手に入れ切り捨てたのかは提示されていませんが、普段の生活や仕事で、取捨選択を迫られる場面は多々あると思います。
主人公が切り捨てたものは、ひょっとしたら良心の呵責に苛まれる程のとても重要なものだったのかもしれません。
しかし、何かを得るために犠牲にしてきたモノをひとつひとつ気にして悩んでいてもキリがありません。
また、時間をかけてひとつひとつの事に構っていられる暇もないくらい、日々様々な事が矢継ぎ早に起こっているのです。
せわしないこの現代社会を生きていくので精一杯で、精神的にゆとりがない主人公の現状が垣間見られます。
僕の憂鬱と君の不在

ここでも、また主人公の問いかけが見られます。
「どんな理想」を持ち、「どんな希望」を持てば良いのか?という、時間や心に余裕がなければ思考できないような問いかけが並んでいます。
すんなりと「答え」が出てこない感じの「問いかけ」ですから、忙しい日々を送り時間も心のゆとりもない状態の主人公は、「答え」が出せない宙ぶらりんのままで生活しているのです。

ここで「君」が登場します。
一人自問自答しようと鬱々としている主人公に向けて、「君」は一言「暗い」と笑い飛ばしてくれるのではないか?と想像しています。
主人公の目の前には「君」はいないのです。
もしも笑顔の「君」がいれば、ネガティブな思いもなくなってしまうだろう、と思いを巡らせているようです。
悲しみの中の一縷の希望

このサビ部分で、タイトルにもなっている「花火」という言葉が出てきます。
「花火のような光」は何を表しているでしょうか?
冒頭でその説明が提示されていますが、捕らえられないもののようです。
サビに入る前に主人公が不在である「君」への思いが描かれていましたが、
それを踏まえて考えると、「光」は「君」を表しているのではないかと思います。
しかもその「光」は「花火のように」現れては直ぐに消えてしまう、まるで幻のようなものなのです。如何に「君」を捕らえることが困難なことかがわかりますね。
そして繰り返される「もう一回」と、その後に続く「この手を伸ばしたい」というフレーズがありますが、「君」を捕まえたくても不可能だと理解しているものの、それでも捕まえていたいという主人公の「君」への強い想いが良く表されています。
次に「臆病風」「波風」といった言葉が連なっています。「花火のような光」はそこにはなく、ネガティブな意味合いのこれらの言葉があるのみです。
つまり主人公が住む世界に「君」はいなくて、寂しく悲しい想いで溢れているということでしょう。
そして、再び主人公は自らに「君」のいない世界を「愛せるだろう」か、と問いかけています。
主人公にとって、愛する人がいないことは非常に辛く悲しいことですが、それでも一縷の望みは抱いています。それ故に「もう一回」と繰り返し「君」を求め続けてしまうのです。
悲しみの中にも存在する平等な時間と希望

ここでは、主人公が自分の嫌いな部分について語っています。
「不器用さが嫌い」な理由は「考えすぎで言葉」がでてこないからですが、
もっと嫌いなのは「妙に器用に立ち振舞う」ことなのです。
「器用」と「不器用」という反対語、「嫌い」と「それ以上に嫌い」という比較するフレーズを配置するあたりは絶妙ですね。

ここでは少し前向きな語りかけが連なっています。
時間は誰に対しても等しい、ということや、「未来」という言葉が出てきます。主人公を含め、誰しも「未来」=希望がある、と提示されているのです。
そして主人公は愛する「君」にも希望はあるのか?と問いかけているように感じます。
大切な存在の君

このサビ部分では、主人公は「君」に出会えたことへの感謝の気持ちが語られています。
そして、別れが来るのを理解していても「君に逢いたい」と切望しているのです。「君」という存在自体が主人公にとって、かけがえのないものという事がよくわかる部分ですね。
君への強い想い

ここでは主人公が望んでいる心情が水に例えられて描写されています。
水は滞ってしまうと濁りますが、サラサラと流れて行くと綺麗です。そんな水のような透明で美しい心でありたい、と主人公は願っているのです。

ラストのサビ部分ですが、「君」に会ってその姿を目に「焼き付けたい」と強く願っています。
「もう一回」が何度も繰り返されることにより、主人公にとって「君」は何にも代えがたい大切な人であることが強調されていますね。

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さいごに
本楽曲「HANABI」の歌詞の世界には、儚く切ない雰囲気が漂っています。
美しいけれど現れるのはほんの短い時間で、儚く消えて行ってしまうのが花火です。主人公の元にはもう既にいない「君」も、そんな花火のようなものです。
儚いからこそ美しく尊く感じ、もう一度逢いたいと思ってしまうのでしょう。
愛の美しさと儚さを花火になぞらえた秀逸な歌詞となっています。
本楽曲を手掛けた桜井さん率いるMr. Childrenの今後の楽曲にも注目したいですね!