「紅蓮華」(読み方:ぐれんげ)は2019年4月に配信リリース、同年7月にCDリリースされた、LiSAさんの15枚目のシングルです。
吾峠呼世晴(ごとうげ こよはる)さん原作のテレビアニメ「鬼滅の刃」(きめつのやいば)の第1期(2019年4~9月)オープニングテーマとして大ヒットしました。
YouTubeチャンネル「THE FIRST TAKE」や「NHK紅白歌合戦」でも披露され、2人の鬼ダンサー(金ノ舞)が踊り、LiSAさんが歌うMVもかっこいいと評判です。
LiSAさんが作詞、草野華余子さんが作曲、江口亮さんが編曲した「紅蓮華」の歌詞の意味を考察します。
紅蓮華 歌詞考察
「紅蓮華」の意味
LiSAさん自身の思いと、「鬼滅の刃」に寄り添ったメッセージの両方が込められた「紅蓮華」。
とくに冒頭の歌詞は、30代になったばかりのLiSAさんが方向性について悩んでいた頃、女優の天海祐希さんから言われた言葉に影響を受け生まれたそうです。
1番の歌詞は「鬼滅の刃」の主人公である炭売りの少年・炭治郎(たんじろう)の目線で描かれています。
時は大正時代、家族が鬼に食べられて亡くなり、炭治郎の心はこわばりました。
その惨劇が「泥だらけ~」の部分に相当するでしょう。
しかし妹の禰?豆子(ねずこ)は鬼と化しながらも生き残ったので、炭治郎は「禰?豆子を人間に戻したい」と願います。
これが「掴みたい」夢。
夢を叶えたい一心で、炭治郎は鬼を撲滅する組織「鬼殺隊」に入り、剣士(最高位は柱)として奮闘します。
人を食べる鬼は日光が弱点なので、姿を現すのは「夜」です。
鬼の「匂い」をかぎつけ、敵意をあらわにするだけでは何も変わりません。
炭治郎は「自分が強くなるしかない」と決意し、「全集中の呼吸」など、鬼を倒すための呼吸法を身につけ、日光を蓄えた「日輪刀」を振るいます。
この「鬼滅の刃」をつかむことが、禰?豆子に対する夢をつかむことにもつながるでしょう。
ちなみに英語の部分は「夜~」の後が「I’ll spend all day all night」(和訳:昼も夜も)、「空~」の後が「Staring into the sky」(空を見つめて過ごすだろう)と聞こえます。
冒頭の歌詞が繰り返された後に続く、1番のサビです。
「強くなれる理由」は「誰かのため」だったことがわかります。
フルサイズでは「ありがとう 悲しみよ」ですが、テレビサイズでは「何度でも 立ち上がれ」と歌詞が変更されました。
前者は経験を積み重ねたLiSAさんと成長後の炭治郎目線、後者は初期の炭治郎目線です。
出くわした直後の悲しみに感謝の念を抱かせるのは残酷すぎる、というLiSAさんの配慮が身に染みます。
「紅蓮の華」や「紅蓮華」は「赤い蓮(ハス)の花」という意味で、花言葉は「愛情」。
仏教では、蓮の花そのものは智慧(気づき)や慈悲(思いやり)の象徴です。
ただし「紅蓮華」となると、仏教用語「八寒地獄」の7番目「鉢特摩」(はどま)の通称「紅蓮地獄」が連想されます。
寒さで皮膚がめくれて流血する様子が「紅蓮華」に似ているので「紅蓮地獄」と呼ぶそうです。
「紅蓮華」の曲自体にも「傷だらけになっても誰かを守り、夢を叶えよう」という、「赤い蓮の花」と「紅蓮地獄」の2つの意味が重ねられています。
炭治郎と善逸、それぞれの目線
同じ最終選別(入隊試験)に合格した、同期の鬼殺隊剣士は炭治郎を含めて5人。
そのうちの1人・善逸(ぜんいつ)は、禰?豆子のことが大好きな臆病者です。
炭治郎は嗅覚(匂い)が優れていますが、善逸は聴覚(音)が優れていて、「雷の呼吸」を操ります。
この点を踏まえると、2番の前半部分は善逸目線で描かれているとわかるでしょう。
鬼と化しても我慢して人を食べない禰?豆子が存在するように、「善悪」の判断は難しいもの。
それでも持ち前の優しさで「偽善」を見抜き、臆病ながらも挑戦し続けることが大切ですね。
2番のサビは炭治郎目線で描かれています。
炭治郎は6人兄弟の長男、妹の禰?豆子は長女。
家族が鬼に襲われたとき、炭治郎だけが炭売りの仕事で出かけていました。
両親と4人の弟妹を失うという傷を抱えながらも、炭治郎は困難に打ち勝つと誓います。
禰?豆子のように鬼と化す原因は、人を食べる鬼の血が体内に入ること。
炭治郎は対抗するかのように、自らの体に流れる、失った家族の血をたぎらせます。
これこそ2つの意味を持つ「紅蓮華」を咲かせている状態でしょう。
結末はどうなる?
「鬼滅の刃」と「紅蓮華」の大ヒットの理由は勧善懲悪ではなく、二面性が描かれているところなのではないでしょうか?
禰?豆子が鬼になったせいもありますが、鬼に対しても慈悲深い炭治郎と善逸。
敵の立場さえ思いやる優しさは、どのような結末を迎えるのでしょうか。
最後に1番のサビが繰り返されます。
炭治郎にもいつか、負ける悲しみに感謝できる日がきますように。
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さいごに
「紅蓮華」はカラオケ、歌ってみた・踊ってみた動画、荒牧陽子さんなどのものまね、渡辺直美さんのパフォーマンスでも大人気です。
ポルノグラフィティのボーカル岡野昭仁さん、まふまふさん、広瀬香美さん、土屋アンナさんなどによるカバーもたくさんあります。
本家LiSAさんのバージョンと聴き比べるのも楽しいでしょう。