米津玄師さん「ごめんね」の歌詞の意味を考察します。
両A面シングル「Flamingo/TEENAGE RIOT」(2018年10月)のカップリング曲。
米津玄師さんが作詞・作曲・編曲した「ごめんね」の歌詞を紐解きましょう。
UNDERTALEの概要
シングルリリース記念の特別ウェブラジオ「F / T RADIO」(25:40~)で米津さん自身が語っているとおり、トビー・フォックス氏が開発したドット絵のインディーゲーム「UNDERTALE」(アンダーテール)に触発されて、勝手に作ったイメージソングみたいなものが「ごめんね」です。
米津さんに似た、混沌としたものを宿したあるキャラクターを思いながら作ったとのこと。
プレイヤーが操作する主人公はニンゲンの子どもで、地底世界に落ち、さまざまなモンスターと出会います。
中立のNルート、平和主義のPルート、虐殺のGルートなどがあり、どのルートのどのキャラクターなのかはプレイしたことがある人なら思い当たる歌詞になっています。

ごめんね 歌詞考察!
あのルートのあの場面?

ネタバレ厳禁とのことなので具体的には考察できませんが、「UNDERTALE」のあるキャラクター目線の歌詞になっています。
そのキャラクターが別のキャラクターに語りかけているところです。
名前を明かせないので、登場人物は歌物語の語り手と「君」のまま進めていきましょう。
語り手には「夢」があり、その打ち明け話をするには時間が限られている状況です。
「笑われる」かもしれない、気恥ずかしい「夢」だけれど、どうしても伝えておきたいという強い意志が感じられます。

1番のサビです。
一般的な歌詞として解釈すると、まるでラブソングみたいですね。
「優しい君」に憧れ、「心の底から繋がっていたい」と愛情表現をしているようです。
しかし「UNDERTALE」には、地上のニンゲンと地下のモンスターという対立構造があります。
実は「君」という二人称や「優しさ」、「心の底」から連想できる「タマシイ」、「触れ合う」を発展させた「共感性」にも深い意味が込められています。
わかりやすい言葉ばかりが並んだ、ストレートな愛の告白に見せかけて、「UNDERTALE」の物語を踏まえると、あるルートの複雑な場面が浮かび上がってくる仕組みになっているところがこの歌詞の醍醐味でしょう。
ありがとうと言える喜び

語り手には誰かを「傷つけた」過去がありました。
普通に考えると「傷つけた」相手は「君」になるでしょう。
ただ「UNDERTALE」に思いを巡らせると、果たして本当に「君」だったのか、あるいは「君」だけだったのか、深く考える必要が出てきます。
実際に「傷つけた」ときには涙はこぼれておらず、何かが「わかった」今となっては後悔の念が押し寄せてくるという展開です。
「何もない」という表現にも重要な意味が含まれますが、ネタバレにならないように「何がないのか?」については明かされていません。
「謝りに行く」というのはタイトルの「ごめんね」を象徴する表現で、あのルートのあの場面だとわかる人は涙が止まらないことでしょう。

「君」のそばにいると「強くなれる」とわかっているのに、それでも自分から別れを告げなければいけない状況です。
せっかく「謝って」も「恐ろしい」未来が待ち受けています。
「溢れる光」とは「たくさんのアレ」のことでしょう。
具体的に考察できないのがもどかしいところですが、過去の過ちに気づき、謝罪できるところが幸せのピークで、後は「何もない」ことが「わかっている」のです。
私たちには「何か」があり、「アレ」を奪い合うことはありません。
語り手のような「恐ろしい」展開を避けるためには、誰かを「傷つける」まえに気づくための大切な「何か」を持ち合わせていたいものです。

1番のサビが繰り返された後のラストで、語り手は感謝の言葉まで口にしました。
一般的には、悪いことをした果てに助けてもらったら、「謝る」のも謝意を伝えるのも当たり前の話です。
ところが「UNDERTALE」には自分がしたことに気づくのも、さまざまな感情を表すのも一苦労という仕掛けがあります。
「ごめんね」では語り手のある場面のみが描かれているので思いやりにあふれていますが、そうではないときもあったことは「傷つけた」過去が物語っています。
この先「君」に「見ていて」もらいたい姿は決して「大丈夫」ではないことも、今は自覚しているはずです。
こうした背景があるので、あのキャラクターが「ごめんね」や「ありがとう」と言えるだけで涙が止まらないのではないでしょうか。

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さいごに
「UNDERTALE」を絡めずに考察すると、傷つけた恋人と別れるために過去の所業を謝り、感謝を伝えたうえで「これからは友だちとして見守ってほしい」と頼んでいるようです。
別れを描いたラブソング、シンプルな失恋ソングとしても成立していますが、一切ネタバレせず、抽象的な表現だけで、複雑な「UNDERTALE」の物語の本質を突いているところが真骨頂でしょう。
ポップスターとしての役割を果たしながら、なおかつ自分の好きなことを貫いているところが唯一無二の強みかもしれませんね。