オレスパことオレンジスパイニクラブ「ガマズミ」の歌詞の意味を考察します。
1stアルバム「アンメジャラブル」(2021年10月)収録曲で、9月1日に先行配信されました。
ギター&コーラスの弟スズキナオトさんが作詞・作曲した「ガマズミ」の歌詞を見ていきましょう。
ガマズミ 歌詞考察!
普通の失恋ではない?
オレスパの歌詞は必ずしも1つの解釈に限定されません。
「ガマズミ」は基本的にクズっぽい男の失恋ソングですが、ポジティブにもネガティブにも受け取れる内容になっています。
季節は春。
おそらく主人公は冬に彼女と別れたのでしょう。
付き合っていたときは、彼女の体温で自分の「冷たい手」を温めながら眠っていたと考えられます。
あるいは「彼女の冷たい手が行き場を失った」という解釈も可能です。
いずれにしても主人公はマンションかアパートに住んでいて、階上の生活音に反応し、目覚めの一服。
気だるい雰囲気がただよいます。
味蕾(みらい)とは味を感じる器官のことで、甘味を感じる味蕾は舌の先にありますが、「蜜の味」は「ハチミツの味」というより大人っぽいニュアンスでしょう。
「生活の跡」は「君」が「僕」の部屋で「生活していた痕跡」と思われますが、実は既婚者だった「君」には家庭に縛られる「指輪の跡」があったと想像を飛躍させることもできます。
「君が奪われた」という表現も曖昧です。
不倫、略奪愛、主従関係(主=僕、従=君)、DV、「君が亡くなり、亡くなった原因は僕だった」など、さまざまなストーリーが浮かびます。
1番のサビの前半です。
「僕」はクズっぽい男という設定なので、「優しい人」という呼びかけや優しい歌声がかえって怖い気がします。
「君」の何気ない「言葉」や「本音」に傷つき、「手を汚す」(暴言を吐く、暴力をふるうなど)という「棘」(とげ)があったと仮定すると、どれほど「綺麗でいたい」と思っても本当に「綺麗事」では済みません。
1番のサビの後半です。
「君」は「僕」のことを思いやる「優しい人」だったのに、「僕」は自己中心的だった、ということは「僕」自身、自覚しています。
「君の夢の残骸」という表現も、「棘」のある方向にいろいろと解釈できそうです。
なるべくマイルドに捉えると、「君」は「僕」と結婚する「夢」を見ていたのに、「僕」にはそのつもりがなく、結婚するという夢を「奪われた君」と別れた、といったところでしょうか。
「君」が部屋を出て行ったとき、「僕」は「結婚なんて言い出した君が悪い」と言ったのかもしれません。
2回目の春も僕はひとり
2番では、「君」を失ってからそろそろ2回目の春を迎える「僕」の日常が描かれています。
少なくとも1年以上「僕」は「ひとり」のままで、冬に「冷たい手」を温めながら一緒に眠る、新しい彼女はいないのでしょう。
「歯跡」が「ハート」と読めると話題になっていますが、うっかりついてしまったキスマークではなく、意図的な「歯跡」となると「僕」の闇は相当深いですね。
しかし「僕」がどれほど強く噛んでも「君の首筋のハート」はそのうち消えたはずなので、これが「未来に残せなかった形」なのかもしれません。
あるいは「君」が妊娠したのに、「僕」は出産に同意しなかったという深読みも可能でしょうか。
いずれにしても「味蕾」は「未来」につながる伏線でした。
2番のサビの前半です。
「白線」の部分は、「危なっかしい状態で付き合っていた期間は短かった」という意味でしょうか。
「君」が駅のホームの「白線」を越えたという意味だとすると、悲しすぎますね。
とにかく今はもう「君」の「言葉や本音」を聞くことはできません。
「君」が「僕」を振ったのであれば、「僕」は別れた理由を教えてほしいと思いつつ、今さら理由を聞いてもよりを戻せないと投げやりになっている印象です。
2番のサビの後半です。
「愛していた」が「信じていた」、「僕だけの事を考えてた」が「僕の歩幅を数えていた」に変わっています。
2人が付き合っていたことを「白線を歩く」とたとえているようなので、「2人の未来図を描くのではなく、自分だけの人生設計を考えていた」という意味でしょう。
ガマズミの花言葉は?
タイトルの「ガマズミ」は歌詞には出てきませんが、「君」と暮らした「生活の匂い」の一部とも受け取れそうです。
花言葉は「結合、私を無視しないで、愛は死より強し」など。
独占欲が強く、「君」と別れてから何も「変われない」まま未練たっぷりな「僕」にぴったりですね。
1つ目は「僕の心臓」、2つ目は「君の心臓」という話でしょうか。
深読みすると、1つ目は「君の心臓」、2つ目は「赤ちゃんの心臓」を表しているとも考えられそうです。
1番のサビが繰り返された後のラストです。
「フェンスを越えて飛び降りた」というネガティブな結末と、「部屋を出て前向きに歩き出した」というポジティブな路線のどちらにも解釈できるようになっています。
できれば「僕」には「君」への未練を断ち切ってほしいですね。
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さいごに
倉本雷大監督によるMVと照らし合わせると、歌詞の解釈も深まるのではないでしょうか。