マイヘアことMy Hair is Bad「復讐」の歌詞の意味を考察します。
3rdアルバム「mothers」(2017年11月)の収録曲。
椎木知仁さんが作詞・作曲した 「復讐」 の歌詞を紐解きましょう。
復讐 歌詞考察!
ずっと忘れない
ずっと ずっと忘れないでいるから
出典:復讐 / 作詞・作曲:椎木知仁
はじめは愛し合ったり
いつでも優しかったり
あれこれ嬉しかったり
はじめに戻りたい
って浸ってる場合じゃない
こっから復讐してなんぼ
もう一回! そう言ったんだ!
紅一点! さあもう一点だ!
きっと きっと必ず後悔さしてやる
「復讐」という恐ろしいタイトルどおり、かなり過激な表現が出てくる歌詞になっています。
あくまでも創作物なので、ホラー映画を観るように客観的に考察していきましょう。
「紅一点」という呼びかけがあることから、語り手は付き合っていた女性に振られた男性ではないかと考えられます。
相手の女性が「もう一回」と口にしたことに腹を立てている様子なので、「もう一回やり直そう」と言われたのに、ヨリを戻す機会もなく別れてしまったのではないでしょうか。
付き合い始めの頃はお互いにラブラブ状態だったようですが、次第にケンカをするようになり、しばらく離れていた時期もあったと思われます。
うまくいかない時期があれば、いつかは別れが訪れるかもしれないと想像できそうなものですが、男性にとっては結果的に失恋したことがよっぽどショックだったのでしょう。
人間はネガティブな経験を「忘れる」ことで精神の健康を保つ生き物なので、冒頭でいきなり「ずっと忘れない」と固く誓っているところがもう恐ろしいですね。
さらに「復讐する、後悔させる」と畳みかけています。
春になったら殺っちゃうぞ!
出典:復讐 / 作詞・作曲:椎木知仁
だから顔も体も名前も全部
ずっと覚えてて忘れないでいよう
待ちに待って殴っちゃうぞ! だ
からあれもこれも番号も全部
ずっと覚えてて忘れないでいよう 忘れないよ
神様だってそう言うさ
喪服に着替えて葬祭しよう
線香の匂いが香る
さよなら
精神的に傷つき、ストレスが過剰になったとき、落ち込んで無気力になる場合と怒って攻撃的になる場合がありますが、「復讐」の主人公は完全に後者ですね。
「最初は愛していたのに、もう一度やり直す気もなくなった」という女性の心変わりを責めていますが、「愛が憎しみに反転する」という点においては男性の心境の変化のほうが暴力的。
さらに何度も「忘れない」と繰り返しているところに、怨念じみた執着が感じられます。
本気の恋だった
別れは急に来たり
出典:復讐 / 作詞・作曲:椎木知仁
終わりは悲しかったり
あれからあの涙は
怒りや憎しみに
さあ今こそ天罰を
今日も明日も明後日も来月も
背後に気を付けろよ
刺してやるから
失恋直後は「悲しみ」に沈んでいたものの、しばらく引きずるうちに「恨み」が増していったようです。
「忘れる」努力をせず、何回もネガティブな経験を反芻することで心に闇が巣くってしまったのでしょう。
男性にとっては「急な別れ」だったのかもしれませんが、女性にしてみたら一瞬で愛が冷めたわけではなく、いくつかの段階があったのではないかと推察できます。
たとえば他に気になる男性が現れたとしても、主人公のことを大切に思っていれば浮気はしないでしょう。
逆に、ケンカをして「もう一回やり直そう」と女性から呼びかけても、男性の何らかの問題点は改善されなかったのかもしれません。
男性側の問題は、女性の心の機微に気づけない鈍感さとか、失恋後に「復讐」を誓うほどの狂気にありそうです。
たった一回の一生を
出典:復讐 / 作詞・作曲:椎木知仁
傷付けられて黙ってられるかよ
ほんの一瞬で気が付いた
あの恋は本気だったんだ
ずっと ずっとずっとこのままじゃいられない
男性は「傷つけられた自分」のことしか考えられなくなっています。
そのため「やられたら、やり返す=復讐」につながるという悪循環です。
この自己中心的で思いやりがないところが、男性の問題点だったのかもしれません。
それは「本気の恋」ではなく「ひとりよがりの恋」だったことに、失恋後も気づけていない様子です。
これでは振られても仕方がないばかりか、女性の選択が正しかったと言わざるを得ませんね。
「中途半端な気持ちではなく、一途に好きだった」と主張したい気持ちはわかりますが、恋愛も人間関係であり、お互いの問題点を補い合うことができなければ長続きしないでしょう。
失恋を機に、好きというドキドキ感に酔うような「恋に恋する段階」を経て、相手を思いやる人間愛に気づけるといいのですが、「復讐」をもくろむという逆方向に進んでしまっています。
仏になって許してやる
出典:復讐 / 作詞・作曲:椎木知仁
だから顔も体も名前も全部
ずっと覚えてて忘れないでいろ
最後は水に流してやる
だからあれもこれも番号も全部
ずっと覚えてて忘れないでいろ
それでいいよ
自分にとっては「本気の恋」だったことを認識した途端、ずっと失恋を引きずり、「復讐」を実行するわけにもいかないと気づいたようです。
その結果、女性を「許す」心境に至りました。
ただし「男性を忘れない」という条件つきです。
男性は「女性を忘れられない」ため苦しんだので、女性に「男性を忘れない」という罰のような条件を与えることで「復讐」を果たした気分になり、「水に流す」結果に落ち着いたのでしょう。
実際にはすでに女性と別れていて会うことも話すこともできないはずなので、すべて男性の内面で起きた心境の変化です。
どうにか失恋の痛手から立ち直るために、「ずっと忘れない」という自分の怨念じみた執着心を、女性に肩代わりさせたと思い込む方法を編み出したのでしょう。
仏様だってそう言うさ
出典:復讐 / 作詞・作曲:椎木知仁
ドレスに着替えて晩餐しよう
いつでも次の始まりは
さよならから
何十回! 何百回! 何回だってもう一回!
何千回! 何万回! 何回だってもう一回だろ!
女性と「もう一回」ヨリを戻すことは叶いませんでしたが、新たな相手と「もう一回」恋をしたい気分になりました。
まだ「もう一回」という女性が放った言葉に引っかかっているようですが、どうにか「復讐」を思い留まることができて良かったですね。
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さいごに
誰しも本気で恋した相手に振られると悲しいものですが、さらに怒りに変わるまで忘れられないのはもっと大変なことでしょう。
復讐心が芽生えるほど追い込まれたときは、「ずっと忘れられない」苦しみを誰かに任せたことにしてでも、嫌な思い出を忘れるに限ります。
次の恋をするときには、「復讐」を反面教師にして、人間愛にあふれた思いやりのある関係性を築けるといいですね。