セカオワことSEKAI NO OWARI(世界の終わり)「ファンタジー」の歌詞の意味を考察します。
インディーズ時代の「天使と悪魔」との両A面シングル(2010年11月)。
Fukase(深瀬慧)さんが作詞・作曲した「ファンタジー」の歌詞の意味を紐解きましょう。

ファンタジー 歌詞考察
幻想的な世界へ
Let’s sing a song Wipe your tears
and people Let’s sing alongLet’s sing a song Wipe your tears
Put your hands up(歌を歌おう 涙を拭いて
そして人々よ 一緒に歌おう歌を歌おう 涙を拭いて
出典:ファンタジー / 作詞・作曲:深瀬慧
手をあげて)
「ファンタジー」はセカオワのバンド名の表記がまだ「世界の終わり」だった、インディーズ時代最初期の楽曲です。
作詞・作曲したボーカルのFukaseさんの名前の表記も深瀬慧さんで、2010年11月のリリース当時は25歳になる直前でした。
アーティストとしては遅めのスタートともいえますが、バンド自体のコンセプトでもある「ファンタジー=幻想」が掲げられた、若さや初期衝動あふれる仕上がりになっています。
頭サビから始まる構成で、いきなりライブ中にアーティストと観客が一緒になって歌う合唱「シンガロング」を呼びかけているところが印象的です。
コロナ後の今となってはライブで「シンガロング」するのは厳しい側面もありますが、「悲しみや苦しみを乗り越えて、楽しむために歌う」のは、長い歴史をかけて脈々と受け継がれてきた人類の神聖な行為ともいえるでしょう。
「手をあげて、手拍子を打つ、リズムをとる、踊る」行為もセットになっています。
いつだって僕たちの365日は
出典:ファンタジー / 作詞・作曲:深瀬慧
“Heartache”ばっかりで元気がなくなっちまうな
そりゃまあソレも愛すべき敵だけど
今日くらいはあっちいってくれよ
今日は幻想的な世界へ連れてってあげる
「Heartache」(読み:ハートエイク)とは「心の痛み」のこと。
まるで「世界の終わり」のようなどん底まで落ち込む経験をすると、救いとなる音楽では「幻想的な世界=ファンタジー」を堪能したいと思うものかもしれません。
それほど極端な話ではなくても、ありふれた日常生活をおくるだけで心が傷つくこともあるものです。
そうした「心の痛み」は時間が経ってから「成長するための試練だった」と「愛せる」こともありますが、癒しや気分転換や楽しみのために聴く音楽まで「悩みや毒気のある表現」ばかりだと耐えられないでしょう。
そうしたリスナーの気持ちに応えるかのように、「世界の終わりのファンタジー」というコンセプトが提示されました。
僕らにはこんなことしか出来ないけど
出典:ファンタジー / 作詞・作曲:深瀬慧
今日は君に笑ってほしいんだ
僕らにはこんなことしか出来ないけど
今日は君に歌ってほしいんだ
「僕ら」はセカオワ、「君」はリスナーのことでしょう。
セカオワのバンド活動の軸となるのは「リスナーに笑ってもらうこと、歌ってもらうこと」という宣言です。
もちろん「音楽に何を求めるか?」は人それぞれで、「リスナーの悩みを代弁してくれるような、悲しみや苦しみが描かれた楽曲」が好きな人もいるでしょう。
しかし、セカオワとしては「リスナーが笑顔になるような、歌いたくなる楽曲」を提供するということ。
バンドのコンセプトや今後の路線がストレートに表現されているといえるでしょう。
音楽の歴史でも、パンクの果てにアンビエントへとつながったように、「心の痛み」を経験した果ての「笑顔になる音楽」という展開ではないでしょうか。
Let’s sing a song Wipe your tears
and people Let’s sing alongLet’s sing a song Wipe your tears
Put your hands up Let’s sing along(歌を歌おう 涙を拭いて
そして人々よ 一緒に歌おう歌を歌おう 涙を拭いて
出典:ファンタジー / 作詞・作曲:深瀬慧
手をあげて 一緒に歌おう)
1番のサビは頭サビとほとんど同じですが、「Put your hands up」の後にも「Let’s sing along」が加わりました。
セカオワのメンバーもリスナーも、「ファンタジー」のリリース時には、「一緒に歌おう」という何気ない呼びかけやライブでの「シンガロング」が、これほどエモーショナルな意味合いを帯びることになるとは思わなかったことでしょう。
ライブで「一緒に歌えない」状況でも、「心のなかで一緒に歌おう」と呼びかけられているような感覚に陥ります。
コロナ前と同じようなライブ環境に戻ることがあるのかどうかも未知数の段階では、「涙が止まらない」かもしれませんね。
笑ってほしい!
いつだって僕たちの365日は
出典:ファンタジー / 作詞・作曲:深瀬慧
“Heartbreak”ばっかりでナミダがなくなっちまうな
そりゃまあ音楽なんかじゃ何にも
変えられないのかも知れないけど
今日は幻想的な世界へ連れてってあげる
「Heartache(ハートエイク)」と韻を踏んでいる「Heartbreak(ハートブレイク)」は「傷心、失恋」といった意味です。
どちらも「心が痛むこと、傷つくこと」で、そのなかに「失恋」も含まれるイメージでしょう。
「涙が止まらない」悲しみの果てには、「泣き疲れて、涙が枯れる」というか「もう涙も出ない」状況になるという展開です。
どん底まで落ち込むと「泣きわめく」段階は過ぎ、ぼう然自失の状態になるという話でしょう。
それほど傷ついた心には「音楽」を聴くよりまえに、適切な対応が必要かもしれません。
そのうえで「音楽」によって変わる「何か」もきっとあるはず、といった祈りにも似た願いが感じられます。
「幻想的な音楽=ファンタジー」によって勇気づけられる人も多いのではないでしょうか。
僕らにはこんなことしか出来ないけど
出典:ファンタジー / 作詞・作曲:深瀬慧
今日は君に歌ってほしいんだ
僕らにはこんなことしか出来ないけど
今日は君に笑ってほしいんだ
1番とほとんど同じですが、「歌ってほしいんだ」と「笑ってほしいんだ」の順番が逆になりました。
ラストに1番のサビが繰り返されます。
「涙」が流れ始めたところだった人も、止まらなかった人も、枯れ果てた人も、そろそろ「笑顔」になった頃ではないでしょうか。

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さいごに
もしかしたらライブでのシンガロングはすでに幻想(ファンタジー)になってしまったのかもしれませんが、どうにか状況が好転するといいですね。
ひとまず「心のなかで一緒に歌う」とか、「一緒に歌う想像をする」ことは可能なはず。
どれほど辛い日々が続いていても、なるべく笑顔になる想像をふくらませましょう。