今回は、「Habit」が大ヒット中の人気グループ・SEKAI NO OWARIの新曲「Eve」の歌詞を考察していきたいと思います。
「Eve」は「Habit」のカップリング曲として収録されている楽曲です。
作詞をFukaseさん、作曲をNakajinさんが手掛けました。
どんな想いが込められているのでしょうか?
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Eve 歌詞考察
人目を気にして来たイルカショー
君はサングラスとハットをつけたまま
「可愛いけれど淘汰されるわ
時代が合わなくなるからよ」
タイトル「Eve」は、聖書に登場する『アダムとイブ』のイブを指していると思われます。
聖書では、禁断の林檎を口にしたことで、純粋無垢だったアダムとイブは知恵と様々な感情を持つようになりました。
このストーリーを頭に残しつつ、歌詞を見ていきましょう。
冒頭では、君と二人で行ったイルカショーの場面が歌われます。
イルカショーは可愛いけど淘汰される、という歌詞は、昨今見直されている動物愛護の考えを指しているのではないでしょうか?
水槽の中で飼育され、訓練されるイルカたち。
フランスでは、2026年までに水族館でのイルカやシャチの飼育を禁止するという法案が可決されました。
君の言うとおり、時代が合わなくなっていることが分かりますね。
ディナーで食べたラムのステーキ
君は野菜を全て残した
「美味しいけれど代わりがでるわ
時代が合わなくなるからよ」
イルカショーが終わった後のディナーでラムのステーキに付いている野菜を残す君。
時代が進むにつれ、野菜の代わりとなるような食べ物が登場すると予言しています。
すでにサプリメントなどで、栄養を補っている人も多いですね。
また、この歌詞にはアダムとイブのストーリーに関連する要素が含まれています。
禁断の果実を食べたことで、エデンの園を追放されたアダムとイブは、その後、カインとアベルという二人の息子を作ります。
カインは農耕を、アベルは羊の放牧を行います。
ここでディナーに出てきた「ラムのステーキ」と「野菜」という歌詞に繋がりますね。
冷たい声と裏腹に
君は拒んだ事がない
禍々しい言葉を飲み込んで
僕は君に顔を埋める好きだけど在ってはいけない
制限の中で失っていくもの
僕らはきっと会ってはいけない
制限の中で守られたもの
拒める程高貴じゃない
君が消えるまで僕はずっと
何に対しても、時代に合わなくなる、淘汰されるとマイナスな発言を繰り返す彼女ですが、主人公・僕のお願いに対して拒んできたことはありません。
「僕は君に顔を埋める」という歌詞から二人が愛し合っている様子が伺えます。
続く歌詞で「好きだけど在ってはいけない」「僕らはきっと会ってはいけない」と歌われています。
どうやら二人は、許されざる恋、ハッピーエンドにならない恋をしているようです。
勝手な想像ですが、歌詞の中の二人は不倫関係にあるのではないかと考えました。
他の人にバレないようにデートをしていたのであれば、人目を気にして、ハットとサングラスでイルカショーを見る君の姿も説明がつきます。
お互いに想っているけど、許されない恋。
だからといって、割り切って関係を切れるほど出来た人間ではない(高貴じゃない)
君が終わりを告げるまで、この関係をずっと続けていきたいという主人公の想いが歌われているように感じました。
レイトショー暗がりで指を絡める
物議を醸した問題作
「刺激的だけど規制されるわ
時代が合わなくなるからよ」いつの日からか僕は
君の矛盾を指摘しない
僕に少しも利点がないから
「そうだね」とまた僕は微笑む
デートのラストで見たレイトショーにも「君」は意見を述べます。
刺激的で面白いけど、これからの時代には合わず、規制されていく。
コンプライアンス問題が取り沙汰されるようになった現代社会を指しているように感じます。
「いつの日からか僕は 君の矛盾を指摘しない」
主人公・僕の感じている「君の矛盾」とは、一体何なのでしょうか?
動物愛護の考えで無くなっていく「イルカショー」
代わりの食材が開発されることで、少なくなる「野菜」
コンプライアンスの問題で規制されていく「問題作」
全て「時代に合わなくなる」から、変化していきます。
主人公・僕は、この彼女の発言を聞いて「え、じゃあなんで今は良いの?」という疑問を抱いたのではないでしょうか?
近い将来変わっていくのに、今はまだ大丈夫。
そんな矛盾を感じる僕ですが、反論したところで何のメリットもありません。
議論を諦め「そうだね」と微笑む僕の姿が浮かびます。
好きだけど想ってはいけない
この情熱が奪い去っていったもの
好きだから僕はいてはいけない
この諦めが守ってくれたもの
壊れるほど繊細じゃない
君のように壊れられたらどんなに愛しさが憎しみに変わり
尊敬が軽蔑に変わっていっても
なのにまだ胸を締め付ける
端から知らなきゃ良かったんだこの禁断の果実
ここで再び「君」と「僕」の関係について歌われます。
「好きだけど想ってはいけない」「好きだから僕はいてはいけない」
君の近くに居たいけど、君の幸せを崩したくないという葛藤に悩む主人公。
君のように、冷たく割り切って考えられたらどんなに楽か、と思いますが、君のように繊細じゃない僕は、壊れることが出来ません。
報われない愛しさが、徐々に憎しみに変わり、君への想いがマイナスなものになっても、まだ胸を締め付ける「君」という存在。
主人公にとって、君という存在こそが、禁断の果実そのものだったことが分かります。
余談ですが、聖書のストーリーで禁断の果実を最初に口にしたのはイブです。
悪魔の化身である蛇にそそのかされたイブが、林檎を食べ、その後アダムに勧めます。
自分に禁断の果実を勧めてきたイブに対する怒り、誘いに乗ってしまった後悔が歌詞に表現されているように感じました。
好きだけど在ってはいけない
制限の中で失っていくもの
僕らはきっと会ってはいけない
制限の中で守られたもの
拒める程高貴じゃない
君が消えるまで僕はずっと
ここまで聴いてみて、サビは君と僕の関係だけでなく、君が投げかけた問題自体についても歌っているように感じました。
イルカショーは、好きだけど在ってはいけない。
動物愛護という制限の中で失われていくもの。
野菜も好きだけど、効率化という点では、代用品のほうが勝る。
物議を醸した問題作なんて、物議を醸すほど人々が熱狂しているというのに、制限の中で失われていく。
そうした問題には、最初から出会わなければ良かった。
楽しさを知らなければ、それが無くなってしまうことに、こんなに悲しさ・寂しさを感じなくても良かったのに。
一度知ってしまったから、楽しさを感じてしまったから、拒めないじゃないか。
制限で失われていくその日まで、ずっと思い続けるんだろうなぁ、と黄昏れている主人公の姿が浮かびました。
現代社会の問題を、アダムとイブのストーリーに乗せて描いた「Eve」
Fukaseさんの作詞センスが凄すぎて、もっと深い意味があるんだろうなと思いながら考察しました。
最後まで読んでくださりありがとうございました。