今回はTikTokで多くのユーザーにカバーされている優里(ゆうり)さんの「ドライフラワー」について考察していこうと思います!
「ドライフラワー」はどんな曲?「かくれんぼ」との関係は?
「ドライフラワー」は2020年に優里さんの2ndシングルとしてリリースされ、きれいなメロディと共感できる切ないストーリーは多くのリスナーの心を鷲掴みにし、リリース13週目にしてストリーミング累計再生回数が1億回を突破という男性ソロアーティストの最速記録を樹立します。
また「ドライフラワー」は2019年にリリースされた優里さんの楽曲「かくれんぼ」のアフターストーリーとして作詞されており、「かくれんぼ」の「君(彼女)」目線で描かれています。
「かくれんぼ」では、自分の子供っぽさが原因で振られてしまった「僕(彼氏)」の後悔と悲しみが描かれていましたが、振った彼女は何を思っていたのでしょうか?
優里さんにとって自身初の女性目線の楽曲ですが、初めてとは思えないほどの歌詞のクオリティに驚かされます。
※本記事は「かくれんぼ」の歌詞と比べながら考察していきますので、先に「かくれんぼ」の考察をご覧ください。
「ドライフラワー」で表現する永遠
皆さんはドライフラワーにどんなイメージを持っていますか?
ドライフラワーとは、花を乾燥させることで長期間鑑賞・保存ができるようにしたものです。
日本にはドライフラワーの花言葉はなく、風水的には運気の下がるものとしてマイナスなイメージがありますが、ヨーロッパでは「永遠に消えない記憶」「終わりのない愛」などドライフラワーの長期間残る特性に着目したイメージがあります。
楽曲の「ドライフラワー」は、ヨーロッパの「永遠・終わりのない」というイメージを持っていると考えました。
「永遠・終わりのない」というキーワードを意識して読むと、歌詞考察が分かりやすいと思います。
それでは考察を始めてきましょう!

ドライフラワー 歌詞考察
別れを告げた彼女の心情は?

冒頭では、別れた後の「私(彼女)」が、「かくれんぼ」で描かれていた子供っぽい彼氏と過ごした日々を思い出す様子が描かれます。
イライラが積み重なり、お互いに余裕がなくなってしまっていた日々に対して「ごめんね」とそっと謝ります。

「私」は「貴方」に別れ、または合わないということを伝える機会を伺っていました。
しかし、「貴方」は気づかないのか、自分の話ばかりしていて伝えられません。
そんな「貴方」の態度にも苛立ちを覚えます。

「私」はもう「貴方」に会う気はないですが、どこかで出会った時、一方的に別れてしまったことも水に流してくれるだろうか。
前述の「貴方ばかり話していたよね」と「貴方が眠った後に泣くのは嫌」という部分で、「貴方」を一方的に振ったことを肯定している「私」の気持ちを読み取ることができます。
「理由もちゃんと話せない」という部分で、別れたことは正しかったんだと無理やり言い聞かせている事がわかりますね。
嫌いになれない「貴方」

曲のサビでは、「私」が胸のうちに秘めていた本音を吐き出します。
好きという言葉ではなく、あえて「嫌いじゃないの」を使っているところに、「私」の複雑な心情を感じることができます。
徐々に色褪せていくドライフラワーに、「貴方」への思いも時間が解決してくれるだろうという「私」の気持ちを重ねているのでしょう。
「きっと色褪せる」色褪せて欲しいと願いながらも、嫌いになれない相反する自分の気持ちを、【永遠】に残り続けるドライフラワーに例えて表現しています。

1番で描かれていた理由よりも、はっきり「貴方」との別れを肯定しています。
「私ばかり」つらい思いをすることが無くなった、別れたほうが良かったんだ、「私」の選択は間違っていないと言い聞かせている様子が浮かびますね。

冷静になって「貴方」と過ごした日々を見直した「私」は、時間が経てば忘れていく(色褪せていく)ということを再確認します。
仮に新しい彼女がいたとしても「貴方」の心配ができるくらいの関係になろうとしている「私」の思いが描かれています。
「貴方」とのすれ違い

「貴方」との思い出を忘れようとしているけど、「貴方」から連絡が来るたびに思い出してしまう。
「変に連絡してこないでほしい」は「私」の本音でもあり、強がりでもあります。
「都合がいいのは変わってないんだね」と「貴方」からの連絡を軽く捉えていますが、「僕」は自分の行いを反省し「もういいよ」って許して欲しくて「もういいかい」と何度も問いかけていたのでした。
ここで「もういいよ」と話し合っていたら、二人はどうなっていたのでしょうか?

1番のサビから時間が経ち、「多分今も嫌いじゃない」ことを認めます。
今更戻ってもうまくいかないことはわかっている「私」はまた「きっと」を繰り返し自分に言い聞かせます。
時間が経てば、きっとこの気持ちも薄れ消えてしまうと。
消えない思い出

ひとりでいる夜に現れる魔物は、「貴方」に対する未練の心なのではないでしょうか?
「きっと色褪せる」と言っておきながら、「貴方」との思い出が色鮮やかに蘇る自分が「どうかしてる」のでしょう。

ドライフラワーにしてもなかなか色褪せない色彩は「貴方」への気持ち。
ドライフラワーにすると薄れていく「香り」さえも残っていて、「貴方」のことを「好きという気持ち」が溢れ出します。
ドライフラワーだからこそできる表現ですね。
永久に残る想い

最後のサビでは、無理やり「貴方」への思いを断ち切ろうと「大嫌い」と叫ぶ彼女の姿が想像できます。
うまくいかないことはわかっていても、好きという気持ちを忘れられないからこそ「大嫌いだよ」という言葉を使っているのです。
ドライフラワーを添える描写は、色褪せてしまっても永遠に残るドライフラワーを「貴方」と共有することで、「貴方」も「私」のことを忘れないでほしい、という彼女のわがままと捉えることができます。
最後の最後で「私」が好きを認めたことで、「貴方」に素直になれたことがうまく表現されていますね。

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さいごに
きっと時間が経てば忘れられるという思いと、なかなか消し去ることのできない彼氏への恋心。
「私」の持つ矛盾した気持ちを、色褪せていくけれど形は残るドライフラワーで表現した心に残る名曲でした。
「かくれんぼ」で描かれている、自分を見つめ直し「君」に戻ってきてほしいと願っている「僕」
別れという道を選択したけど、「貴方」への思いを断ち切ることができなかった「私」
一つの物語を、違う視点から描くことで、それぞれの思いを表現することに成功した楽曲は考察をしていて、非常に興味深かったです。
どちらも、もっと早く素直になっていたら違う結末を迎えていたかもしれませんね。
この後、二人がどういった人生を歩んでいったのか気になる終わり方でした。
もしかしたら、この物語の続きが何年後かにリリースされるかもしれないので、優里さんの今後の活動も要チェックです!
「かくれんぼ」の歌詞考察記事はこちら