セカオワことSEKAI NO OWARIのメジャー13th(通算15th)シングル「Dropout」(2020年6月、先行配信:2020年3月)の歌詞と和訳の意味を考察します。
「umbrella」との両A面シングルで、KDDI「au 5Gその手に」篇のCMソングとして書き下ろされました。
Fukaseさんが作詞・作曲、TASも作詞に加わった「Dropout」の歌詞と和訳の意味をチェックしましょう。

Dropout 歌詞考察
ドロップアウト・ブルバードとは?

四方を壁に囲まれ
出典:Dropout / 作詞:Fukase・TAS 作曲:Fukase
とても狭く感じる
僕は何も持たない王様だ
静かな悲鳴 夢見る夜
もっと他の何かが僕を待っているはずだ
au 5GのCMソングということで、未来感のある全編英語詞のダンスミュージック(EDM)になっています。
歌詞として描かれているのは、Fukaseさん自身の過去と未来に対する思いです。
東京都大田区出身のFukaseさんは高校中退後、アメリカに留学した際、パニック障害になり、帰国。
病気不安症などを併発して、地元の精神病院に入院し、退院しました。
それから10年以上経って病院近くの道を通ったとき、「同じ場所でも、昔とは見え方が違う」と感じ、「Dropout」の楽曲制作に至ったそうです。
こうした点を踏まえると、エモーショナルな鍵盤のイントロに続く冒頭のパートで描かれているのは、Fukaseさんが入院していた精神病院の閉鎖病棟になります。
患者の治療はもちろん、衣食住という生活環境についても、入院中はすべて病院側が対応してくれると考えられるので、その点はFukaseさんにとってまるで「王様」のような暮らしぶりだったのかもしれません。
しかし、たとえば私物の持ち込みを制限されるなど、「何も持たない」と感じるような状況だった可能性もあります。
あるいは入院したことによって、「すべてを失った」ように感じたとも考えられるでしょう。
そうした入院生活のなかで「目の前の現実以外の何か」に思いを馳せている様子が伝わってきます。

僕はドロップアウトしたところからやってきた
出典:Dropout / 作詞:Fukase・TAS 作曲:Fukase
暗い日々を越えて
自分に賭け 逆境に打ち勝ったんだ
僕はドロップアウトしたところからやってきた
はるか遠くさ
僕らが今いるところを見てごらん
「Dropout Boulevard(ドロップアウト・ブルバード)」という表現が印象的なサビです。
直訳すると「ドロップアウト大通り」という意味になり、楽曲制作のきっかけとなった「病院近くの道」をあらわしていると考えられます。
ただFukaseさん自身は「ドロップアウトしたところ」と抽象的なニュアンスをもたせたかったとのこと。
曲名にもなっている「ドロップアウト」は、「脱落する、決まった道から外れる」といった意味です。
Fukaseさんにとっては高校中退や留学の挫折だけでも「ドロップアウト」だったかもしれませんが、さらに入院という「ドロップアウト」が重なり、さぞかし「暗い日々」を過ごしたと考えられます。
それでも、どん底状態の象徴のはずだった「病院近くの道」を「道から外れた道」とシャレの効いた表現に昇華できているところにも、「逆境に打ち勝った」様子があらわれているのではないでしょうか。
入院中に思いを馳せた「他の何か」は、結局「音楽」につながりました。
「自分に賭けた」というのは、セカオワのバンド活動を始めるより先に、ライブハウス「club EARTH」を作ったことが重なります。
とくに学歴における「ドロップアウト」は、「音楽」というエンタメ業界で仕事をするにしても「逆境」となり得るので、「一発逆転の賭けに出る、勝負をかける」必要があったようです。
その「賭けに勝った」おかげで今のセカオワがあり、「同じ道でも、見え方が違う」という流れにつながります。
ドロップアウトした運命から抜け出そう

僕は固い地面に倒れ込んだ
出典:Dropout / 作詞:Fukase・TAS 作曲:Fukase
小さな錠剤と白衣
こんな運命には関わっていられない
僕と一緒にここから逃げ出そう
1番のサビの後、「ドロップアウト・ブルバード」の繰り返しが印象的なEDMのサビにあたる「ドロップ」で盛り上がってから、2番に入ります。
「ドロップでドロップアウト」という仕かけもおもしろいので、Fukaseさん自身は「ドロップアウト体験」をすっかり乗り越えていると考えられますが、当時は絶望的な状況だったに違いありません。
これ以上落ちるところはないというくらいのどん底状態に陥ると、そのまま留まるのか、それとも抜け出すのか、二択しかないでしょう。
もちろんどん底状態のときは心身ともに疲れ果てているはずですが、目の前の現実を「運命」として受け入れてしまうのではなく、「抜け出さなければいけない」と一念発起できたところが功を奏したようです。
さらに1番のサビや「ドロップ」が繰り返され、音数が少なくなる「ブレイク」も挟みつつ、歌モノEDMとしての大団円を迎えます。
エモーショナルな歌い方とサウンドに彩られたダンスミュージックで体を揺らすうちに、リスナー自身もそれぞれの「ドロップアウトした過去」から抜け出し、未来に期待することができるようになったのではないでしょうか。

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さいごに
ひとくちにダンスミュージックといっても、ハウス、テクノ、トランスなどさまざまありますが、セカオワはEDMを取り入れています。
ラッパーのドレイク(Drake)が7thアルバム「Honestly, Nevermind」(2022年6月)でハウスを取り入れるなど、世界的にもダンスミュージックの需要が高まっているので、セカオワの再ブレイクも自然な流れかもしれませんね。