あいみょん「夢追いベンガル」の歌詞の意味を考察します。
2ndアルバム「瞬間的シックスセンス」(2019年2月)の収録曲。
あいみょんが作詞・作曲、トオミヨウさんが編曲した「夢追いベンガル」の歌詞を紐解きましょう。

夢追いベンガル 歌詞考察!
andymoriへのリスペクト

「夢追いベンガル」はあいみょん自身もファンの3ピースバンドandymori(アンディモリ、2007年~2014年)と、そのボーカル&ギターだった小山田壮平さん(現:AL)へのリスペクトが込められています。
とくに影響を受けたと考えられるのは、デビューEP「アンディとロックとベンガルトラとウィスキー」(2008年10月)や1stアルバム「andymori」(2009年2月)に収録されている「ベンガルトラとウィスキー」。
「ベンガルトラ」はインドなどに生息するトラで、野生の約半数を占めるほど頭数が多い種類です。
「檻の中で飼われているベンガルトラを自分になぞらえ、ただきれいな空を見たい、君の声を聞きたいだけなのに、一日中ウィスキーを飲んで無駄に過ごす男性の心情」が描かれています。
一方、「夢追いベンガル」の「ベンガル」は野生のベンガルヤマネコとイエネコの交配によって生まれたネコで、高い場所や水遊びが好みです。
こちらでは「ベンガルに自分をなぞらえ、夢を追いかける男性の心情」が描かれています。
冒頭の歌詞で表現されているのは、失恋後の理不尽な成り行き。
語り手は「裏切られた」立場で、「肉体関係より愛情を求めているのに愛されない」と嘆いています。
全体的に「ベンガルトラとウィスキー」や小山田壮平さんの影響を受けた男性像が浮かぶものの、冒頭の歌詞にはあいみょん自身の考え方も反映されているそうで、とくに性別の区別がない語り手になっています。

「普通より上を求める」のは、「高いところに登るのが好き」という「ベンガル」の習性が反映されているのかもしれません。
「貯金通帳は白いカモメ」というのは、「冊子を開くとカモメのような形になる」ことと「振り込みなどの収入が記載されず、貯金通帳が白紙の状態=お金がない」様子が表現されています。
「肉体関係より愛情を求める」のと同じく、「金銭欲より精神性を大事にしている」のに「愛されない」と不満げです。

「水」を欲しがっている理由は、「水遊びが好き」という「ベンガル」の習性、お金がないことに見立てた「白いカモメ」が水辺に生息する渡り鳥だから、「ベンガルトラとウィスキー」のウィスキーばかり飲む様子との対比などが考えられます。
時代の最先端技術やトレンド、性的な刺激を必要とせず、代わりに「水」を望んでいることから、「水」は語り手の考える「精神性の高い愛」や「浄化」をあらわしていると解釈することもできそうです。

1番のサビです。
歌詞にはまだ「ベンガル」は出てきていませんが、「ベンガル」のようにしなやかに「走る」姿が連想できます。
悩み多き青春時代には「平和とは、闇とは何か?」など、哲学的な思索にふけることもありがちなので、むしろ「立ち止まって考え込むより、無心になって行動しながら瞬時に判断するほうがいい」と促しているようです。
カモメからベンガルへ

語り手は物欲や性欲より精神性を重んじているので、1番冒頭の肉体関係を意味する具体的な言葉が、2番冒頭で伝説のパンクバンドにつながりました。
同様に「目覚まし→目の奥」と流れていて、「水」を欲しがっていたことから連想すると「目の奥に虫→泣き虫→涙」になりそうです。
1番冒頭の理不尽な失恋を引きずり、「目覚まし」が鳴ってもなかなか起きられないほど泣き明かしたのかもしれませんね。
精神性重視の愛に飢え、心が干からびた状態だから「水」が欲しくなるものの、すべて涙に変わるような湿っぽさを「笑って、燃やしてくれ」という話でしょう。

実は「白いカモメ」状態の「貯金通帳」を気にしていたので、「欲しかったアレ=お金」と考えられます。
あるいは1番では「水」を欲しがっていたけれども、2番に入って必要なのは「火」だと気づいたという流れかもしれません。
青春時代は性欲・物欲・金銭欲が高まるあまり、ままならないと逆に反発心が芽生え、精神性を追い求めるなどの矛盾も起きがちです。
物理的なことや「水」を象徴する「カモメ」に対し、精神的なことや「火」を象徴するのがようやく登場した「ベンガル」(ヒョウ柄が炎っぽい?ベンガルマッチ?)。
財力はなくても「気力」はあるから何とかなるはず、という意気込みが伝わっています。

2番のサビです。
過去や未来について悩むより、いま現在に集中して生き続けることで、いつのまにか輝かしい「明日」が訪れるかもしれませんね。
そのつど考えよう!

「才能あふれる若者」に「平成うまれのカリスマ」というキャッチコピーがつけられがちな風潮になじめないタイプの若者の気持ちが代弁されています。
いま「噂のバンド」より、すでに解散したandymoriのほうが気になっているのは、ある意味「どうかしている」のかもしれません。

「ありったけの水~今はいらない」のパートが繰り返された後のラストでは、1番のサビに続き、「今の自分が~考えりゃいい」の部分が追加されています。
「青春時代に矛盾はつきものなので、そのつど考えていこう」という結論でした。

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さいごに
個人差はありますが、思春期や更年期はホルモンバランスの乱れにより、心身に不調が生じやすくなります。
失恋して落ち込んだり、理不尽なことに腹が立ったりすることもあるかもしれませんが、時間が経つと感じ方も変わるので、自暴自棄にならず、自分もまわりの人々も大切にして生きていきたいものですね。