2023年1月14日、今を代表するボカロPの一人であるDECO*27さんとピノキオピーさんがコラボレーションされた楽曲「デビルじゃないもん」がリリースされ話題になっています。
今回は「神!!!」と称されているこの楽曲の歌詞を考察してみたいと思います。
楽曲 デビルじゃないもん
2023年1月14日にリリースされ、DECO*27さんとピノキオさんがタッグを組み生み出された楽曲です。
それぞれ担当する部分は自身の初音ミクを使用しており、コアなファンの方は何処がどちらのパートなのかすぐ分かるという声も。
カップリング曲として「神っぽいな」(DECO*27)・「ヴァンパイア」(ピノキオピー)のそれぞtれのソロ楽曲が1曲ずつ収録されており、コラボの破壊力と共に、それぞれの個性も楽しめる一枚になっているのではないでしょうか。
DECO*27さん
作曲家・作詞家・編曲家・ギタリスト・ボカロPといった幅広い才能を発揮し活動されているDECO*27さん。
名前の由来はおでこが広いという視覚的特徴に自身が好きな数字「2」とラッキーセブンとして縁起の良い「7」を組み合わせたのが名前の由来との事です。
その三つでは少し寂しかったので「*」を付けたという遊び心感じる命名ですね。
13歳の時にお父様の影響でギターを始めたDECO*27さんはその1年後には独学で作曲活動を行いバンド活動にも携わっていたそうなので、早くから才能が開花している印象です。
2007年にニコニコ動画で見た初音ミクに衝撃を受け、ボカロPとしての道も歩き始める事となりました。
ちなみにボカロPとは初音ミクを代表とする「VOCALOID」(音声合成ソフト)を使用し楽曲の制作活動をされる方々を指す言葉で、制作された楽曲は「ボカロ曲」と呼ばれます。
ピノキオピーさん
2009年よりVOCALOIDを用いて楽曲の制作を始めたピノキオピーさん。
初期の表記は「ピノキオP」とされており、動画投稿サイトで初めて発表した楽曲「ハナウタ」のイラストが鼻の伸びた初音ミクであった事に由来した名前です。
元々、作曲は趣味として活動しており本来は漫画家を目指していたピノキオピーさんですが、漫画を描く事に疲れてしまった時に逃げる為に楽曲を投稿し始めたそうです。
某有名セリフ「逃げちゃだめだ」ではなく、ちゃんと自身の危険を回避し逃げる選択をしてくれたピノキオピーさんで良かったですね。
それでも今回の「デビルじゃないもん」のMVにも登場していますがピノキオピーさんのオリジナルキャラクターがいたりと、漫画家を目指していた時の才能は生かされている印象です。
2012年にはメジャーデビューを果たし、2020年1月からは工藤大発見というソロプロジェクトが開始しています。
このプロジェクトではVOCALOIDを使用せず、自身の声で歌唱し、活動の場を広げていっています。

デビルじゃないもん 歌詞考察
堕 堕 堕 堕 堕 堕 堕 堕 堕
堕 堕 堕 堕 堕 堕 堕 堕 堕ながらの優等生 今宵も自分と密会です
しんどいわ しんどいわ あーつらつら合掌
ほんとは劣等生 あたしはあたしに説教です
しんどいわ しんどいわ もーいやいや絶交心配無用 心配無用 これは笑えるジョークソング
出典:デビルじゃないもん / 作詞・作曲:DECO*27・ピノキオピー
新米も 老害も みんな歌えるポップソング
まあまあ それ噂っすよ ただの紙切れっすよ
いいから はやく ハンコ押せや
私はこの歌詞を考察する時に天使(人格A)と悪魔(人格D)という二つの人格同士の攻防戦であると解釈しました。
普段の生活で表に出ている人格は天使とされ優等生で通っている、人格Aですが夜な夜な開催される、昼間は抑え込んでいる悪魔とされている人格Dと一日の反省会が主人公の夜のルーティンです。
正直、人格Aは疲れると愚痴から始まる密会。
人格Dは思った事を素直に口にするタイプなのでしょうか、愚痴る人格Aにお説教します。
主人公の「本当の姿」でもある人格Dの「正論」に苛立ち疲れる人格Aはもう人格Dを消したい、絶交したいとご立腹ですね。
重い設定でスタートした楽曲だけど、心配いらないと歌詞は続きます。
世の中便利なもので「冗談」という免罪符を言葉にすれば「笑えるジョーク」として片づけられる、だからこれは子供からお年寄りまで楽しめるポップな音楽だ・・・。
つまり人の言葉に腹を立てたら「冗談じゃん」と、怒った側が悪にされてしまう世の中によくある理不尽な流れを風刺しているのかなと思いました。
そして詐欺のワンシーンも描かれています。
危険な噂も流れているけれど噂は噂、目の前にあるのは単なる紙切れ。
いつでも破り捨てられるでしょう?
さっさとハンコ押しちゃって・・・ダメです。印鑑は気軽に押してはいけません。
この、ハンコを押させる側の人間が主人公の仕事なのかもしれません。
実はハンコ押させる側も、そこまで重要な事だと思わずに「仕事だから」という軽い気持ちでハンコを要求しているという場面も多々あるのではないでしょうか。
デビルじゃない デビルじゃないもん 悪魔ほどそう言うもん
出典:デビルじゃないもん / 作詞・作曲:DECO*27・ピノキオピー
あー死んじゃった 死んじゃった 愛してほしいじゃん (でも)
それでもハマっちゃうなら それでも恋しちゃうなら
あー死んじゃった 死んじゃった 天使 (hey!) 天使 (hey!)
人格Aと人格Dの攻防戦。
人格Dは人格Aを「悪魔」と罵りますが人格Aは自分が天使だと思っているから当然否定します。
「あー死んじゃった」で人格Aと人格Bの攻防戦は人格Aが残る事で終局を迎えたのではないでしょうか。
人格Bは悪魔だから、優等生で天使な人格Aを残して周りから愛されたいじゃん、と言うのが人格Aの主張です。
しかし、もしも素の主人公に近い劣等生だけど楽に生きられる人格Dでも愛されたなら・・・・?
ふと過った考えを強く否定するように人格Aは頭を振り「あー(人格Bは)死んじゃった」と喜ぶのです。
わー! 悲報 悲報 悲報 悲報 (うっそー)
わー! 汚いね わー! 飛べないね
デビルじゃない デビルじゃないもん あー死んじゃった 死んじゃった
本当の天使 スルーして ご臨終
あくまで天使じゃん? 最強じゃん堕 堕 堕 堕 堕 堕 堕 堕 堕
出典:デビルじゃないもん / 作詞・作曲:DECO*27・ピノキオピー
堕 堕 堕 堕 堕 堕 堕 堕 堕
【悲報】と記されたネットに溢れる記事も自分には無関係だから興味無かったけどスルーするのも体裁悪いから「うっそー(棒読み)」で流してきた人格A。
そんな姿を人格Dは「悪魔」と嘲笑っていたのです。
「自分の事しか考えてなくて汚いねー。だから飛べないんだよ。」
人格Dの正論に人格Aは決まって「デビルじゃないもん」とご立腹。
だけど今は人格Dは死んじゃって居ない(喜)
ここの「本当の天使」とは人格Dの事でしょう。おそらく人格Aも自分が天使ではないことに気づいているのではないでしょうか。
しかし、これで主人公の体は自分の天下であると喜んでいる人格A。
「あくまで天使」とは「悪魔且つ天使」であるいう事と「何があろうと、誰がなんと言おうと主体は人格Aであり天使なのだ」という両方の意味ではないかと考えています。
「君のため」って名言の悪意 (悪意)
「夢は叶う」で奪ったサラリー (サラリー)
はあ 中毒性の高いもんにゃ 罠があるんだな
ああ 魂抜かれちゃって やあねえ やあねえ光り輝く輪っかでこの首が締まっていく (whoa)
出典:デビルじゃないもん / 作詞・作曲:DECO*27・ピノキオピー
嘘をつけば緩んでいく 言えない SOS
白いペンキかぶりましょ なりきって仕舞いましょ (whoa)
嘘をつけば楽になる ほらやっちゃって
「君のために言っているんだよ」「君のために任せているんだよ」「君のため・・・」という言葉は時に理不尽な悪意を隠せる魔法の言葉です。
「夢は頑張れば叶う」で誤魔化し続ける月給制度、時に残業は必要かもしれませんが「夢は叶う」という言葉で隠した時間内に終わらないような仕事量に比例しない残業代又は、みなし残業。
美しい言葉に隠された「罠」にハマってしまった大人たちの目は死んでいて「やあねぇ」と人格Dは気づいていたのです。
社会や会社の理不尽な圧やルールで雁字搦めの姿は首輪でつながれている姿に見えると表現しています。
その首輪は少しずつ人間の首を絞めていくのですが、その首輪「大丈夫です」「まだ頑張れます」といった嘘には絞める力を一瞬緩めてくれるのです。
その反対に「本音のSOS」には力いっぱい締め上げるという暴挙に出る、と人間たちの生きる世界を風刺していますね。
「白いペンキかぶりましょ」白と言われれば例え黒でもペンキで染め上げてしまえば楽に生きられるのです。
長いものには巻かれて、自分を偽って生きると楽なの、というのが人格Aの主張なのでしょう。
デビルじゃない デビルじゃないもん
あー死んじゃった 死んじゃった あああ
それでもウガっちゃうけど それでも嫌っちゃうけど
なりきって笑顔で 天使天使デビルじゃない デビルじゃないもん 悪魔ほどそう言うもん
出典:デビルじゃないもん / 作詞・作曲:DECO*27・ピノキオピー
あー死んじゃった 死んじゃった 愛してほしいじゃん (でも)
それでもハマっちゃうなら それでも恋しちゃうなら
あー死んじゃった 死んじゃった 天使 (hey!) 天使 (hey!)
人格Dの助言も無視し続けて自分を偽る事で生きてきた人格Aは無理がたかって心が死んでしまいます。
それでも尚、人格Dを拒否する人格A。
笑顔の仮面を付けて、「天使」のふりを今日も頑張ります。
そうやって長いものに巻かれて、愛想ふりまいて生きていれば周りが愛してくれるし生きるのちょろいし、なんとでもなる。
でも、もし素のままで愛されたら・・・?人格Aの自問自答は続きます。
わー! 悲報 悲報 悲報 悲報 (うっそー)
わー! 汚いね わー! 飛べないね
デビルじゃない デビルじゃないもん あー死んじゃった 死んじゃった
本当の天使 スルーして ご臨終わー! 悲報 悲報 悲報 悲報 (あっそー)
わー! 醜いね わー! 映えないね
デビルじゃない デビルじゃないもん あー死んじゃった 死んじゃった
本当の悪魔になっても ブレス・ユー
あくまで天使じゃん? 最強じゃん堕
出典:デビルじゃないもん / 作詞・作曲:DECO*27・ピノキオピー
テレビやネットに溢れている【悲報】に驚いてみるけれど、実はそんなに気にとめていない。
いちいち気にするほど暇じゃないけど驚いた芝居は自分の為にしておく、という姿勢が「悪魔」と人格Dに言われてきた人格A。
本当の悪魔が自分(人格A)だという事も分かっていたけれど、もう人格Dは死んじゃって存在しない。
【悲報】人格B死す、とでも銘打っておくけれど、やっぱり人格Aにとっては「あっそー」ぐらいの出来事でした。
だって人格Dは醜いし、映えないし。
「悪魔」と盾にしていた人格Dが居なくなった事で人格Aの悪魔が表に出てくる(バレれる)可能性も出てきたがブレス・ユーつまり神のご加護があるから大丈夫!
「あくまで天使」「悪魔で天使」の私最強じゃん!
開き直った人格Aが堕ちて、楽曲の終局となるのでしょう。

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さいごに
いかがでしょうか。DECO*27さんとピノキオピーさんのコラボ楽曲「デビルじゃないもん」を考察してみました。
独特な世界観に引っ張られ、独特な歌詞考察になってしまった気もしますが考察の一つだと楽しんで頂ければ幸いです。
羅列された言葉に散りばめられた現代の風刺表現が非常に興味深く、そして奥の深い楽曲ではないでしょうか。癖になるメロディーと初音ミクの操りも素敵ですね。
またコラボされる事があれば是非にでも聴いてみたいお二方です!