藤井風さん「damn」(読み:ダム)の歌詞の意味を考察します。
2ndアルバム「LOVE ALL SERVE ALL」(2022年3月)の収録曲。
藤井風さんが作詞・作曲、Yaffleさんが編曲・プロデュースした「damn」の歌詞の意味をチェックしましょう。

damn 歌詞考察
恋愛をこじらせている
まさかこんなに媚びてまうとは
出典:damn / 作詞・作曲:藤井風
まさかこんなに惚れてまうとは
そいでこんなに拗らせるとはな
「damn」(意味:くそ!ヤバ!)は勝矢匠さんのダブルベース(ウッドベース)、上原俊亮さんのドラム、コーラス、ハンドクラップなどがファンキーなテイストを醸し出しているアーバン(都会的)なポップチューン。
ケンドリック・ラマーの4thアルバム「DAMN.」(2017年4月)を彷彿とさせる曲名です。
冒頭では、語り手の「おれ」が「あなた」への恋心を「拗らせる(こじらせる)」様子が描かれています。
別にどうにでもなりゃいいのに
出典:damn / 作詞・作曲:藤井風
別におれにはカンケーないのに
まさかこんなに捉われるとはな
「おれ」はまわりの人や世の中のあらゆる出来事、物事に対して「別に(何もない)、どうでもいい、関係ない」と反抗的な態度をとりがちな思春期のようです。
それなのに「あなた」に恋心を抱き、四六時中考えてしまうというか、「媚びる(こびる)」などという他ではあり得ない行動に出るほどこじらせているところが、自分にとっても想定外だったのでしょう。
そのため「まさか」と驚いています。
だんだん遠くなったあなたへ
出典:damn / 作詞・作曲:藤井風
(全部全部おれのせい)
だんだん離れてったあなたへ
(責めてみても仕方ねえ)
だんだんバカになったこのおれ
どうすりゃいい
どうすればいい
あぁ幸せってどんなだったけな
…覚えてないや
「だんだん(段々)」の繰り返しが、ドラムの4つ打ちのリズム(バスドラム、キック)と重なっているところが「damn」の醍醐味でしょう。
この「繰り返し言葉(畳語)の繰り返し」が「おれのバカな様子」を体現している仕組みです。
「あなたへ、おれのせ(い)、仕方ねえ」の「え段」など、語尾の母音に執拗にこだわり、「だんだん」以外にも繰り返しや似たような言葉の羅列が多くなっているところにも「バカっぽさ」があらわれています。
おそらく「おれ」は「あなた」に「惚れた」ことにより、むしろ「あなた」に嫌われるような態度をとってしまったのでしょう。
「好きな女子に意地悪をする」のはせいぜい小学生くらいまでと思われますが、「話しかけられても返事をしない(無視する)」程度のことはあったのではないでしょうか。
「恥ずかしくて顔を見られない、答えられない」のが真相だとしても、誤解されたままだと距離をとられてしまうはず。
また、「あなた=好きな人」のことで悩むうちに、「あなた=神様、神性」から「遠く離れ、幸せを思い出せなくなった」とも考えられます。
幸せの色を見失っている
どけ、そこどけおれが通る
出典:damn / 作詞・作曲:藤井風
やめ、それやめむしず走る
だめ、もうだめぜんぶ終る
さらに「え段」や「う段」で語尾の母音にこだわり、同じ言葉や似たような言葉が繰り返されているほか、俳句や和歌のように文字数までそろえられているところは、ヒップホップの韻を踏む手法のようでもあり、やはり「バカっぽさ」の体現ともいえるでしょう。
とくにティーンの反抗期には、自己中心的に強気に出たり、他人のやることを毛嫌いしたり、逆に世界の終わりかと思うほど絶望することもあるものです。
分かりきったことやん、今さら
出典:damn / 作詞・作曲:藤井風
完ペキとか無理やん、ハナから
…別に何も期待してないけどな
方言が混ざるところも藤井風さんらしいですね。
絶望したり、悩んだりするのは「期待」が外れたからでしょう。
無関心で反抗的な態度は、「期待」が大きいことの裏返しという場合も多々あります。
「何もかも完璧にうまくいく」ことはあり得ないと自覚しているつもりでも、裏腹に「完璧を望んでいた」という矛盾に気がついたようです。
だんだん好きになったあなたへ
出典:damn / 作詞・作曲:藤井風
(ヘンな気持ち誰のせい)
だんだん赤くなった青さへ
(責めてみても仕方ねえ)
だんだんアホになったこのおれ
どうすりゃいい
どうすればいい
あぁ幸せって何色だったけな
…覚えてないや
青春の「青さ」(若さ、青ざめた心=悩み、絶望)が、自己矛盾の恥ずかしさに気づいて「赤」に変わった(赤面した)という意味でしょうか。
あるいは「青=孤独」から「赤=愛」への変化とも受け取れそうです。
いずれにしても「幸せの色を見失っている」様子が伝わってきます。
自分を愛することが幸せ
全て流すつもりだったのにどうした?
出典:damn / 作詞・作曲:藤井風
何もかも捨ててくと決めてどうした?
明日なんか来ると思わずにどうした?
片思いや失恋を含めた悩みや絶望から立ち直るときは、「心を浄化する、過去への執着を手放す、未来を心配せず今に生きる」ことがポイントになるようです。
このようにやり直す方法はわかっているのに、実行に移せず、立ちすくんでいる自分自身に対して「どうした?」と発破をかけているのでしょう。
全部まだまだこれからだから
出典:damn / 作詞・作曲:藤井風
いつかあんたに辿り着くから
この「あんた」は「好きな人」かもしれませんし、「神様」とも考えられます。
自分の態度を改めると「好きな人」が再び振り向いてくれる可能性は残っていると解釈できるほか、失恋の未練を断ち切ることで「神様」に近づくとも受け取れるでしょう。
繰り返し言葉の「だんだん」が「まだまだ」に変わっているところにも、気持ちの切り替えが感じられます。
damn damn don’t give a damn
出典:damn / 作詞・作曲:藤井風
just love in my head
(hey little father won’t u come with me)
we’ll just dancing away
from bullshits ahead
(‘kay it’s okay yeah we gotta believe)
だんだん近くなったわたしへ
どうしようか
どこいこうか
あぁ幸せってどんなだったけな
思い出そうか
英語の部分は「くそ!くそ!気にしないで。頭のなかでただ愛している。(お父さん=神様、ちょっと一緒に来てくれない?)でたらめから離れて踊ろう。(大丈夫、信じなきゃ)」といったニュアンスです。
曲名の「damn」がようやく出てきましたが、「だんだん」と「ダムダム(ダンダン)」をかけていたというオチでした。
スラング混じりで悪態をつきながらも、「自分自身を愛することが幸せに近づくことだと思い出そう」としています。
愛してくこの先ずっと
出典:damn / 作詞・作曲:藤井風
守ってく明日もずっと
i love me, and i
will keep him in a
safest fairest happiest place baby
ラストの英語は「自分自身を愛し、神様を最も安全で清らかで幸せな場所に置いておく」といった意味になります。
恋愛などで悩むことがあっても、自分で自分を愛する「セルフラブ」を忘れないようにしたいものですね。

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さいごに
ティーンに限らず、ときには悩んだり絶望したりすることもあるでしょう。
それは藤井風さんも同じとばかりに寄り添ってくれつつ、最終的には「幸せ」を見失わない方向へと導いてくれるところがありがたいですね。