今回は、10月22日に公開される映画『CUBE 一度入ったら、最後』の主題歌として書き下ろされた星野源さんの新曲「Cube」の歌詞を考察しようと思います。
2018年の「ドラえもん」以来、約3年ぶりとなる映画の主題歌。
映画の制作陣は「誰も経験したことのない『CUBE』という場所を、観客に2時間経験してもらったあとに聞く音楽とは一体どういうものなのか」と考えた末に、アイデアに溢れ、様々なカタチで表現している星野さんであれば、エンドロールでも新しい広がりを与えられるのではないかと考えオファーしたそうです。
多くの映像作品や企業とのタイアップ、書き下ろし楽曲も多い星野さん。
今回の「Cube」では、どんな物語を見せてくれるのでしょうか?
映画より一足先に10月18日に配信リリースされる「Cube」の歌詞を見ていきたいと思います。
映画の内容、楽曲コメントとともにご紹介します!
映画『CUBE 一度入ったら、最後』
1997年に公開され、密室サスペンスの先駆けとして、世界中でカルト的人気を誇るヴィンチェンゾ・ナタリ監督作品「CUBE」の公認のリメイク作品。
主演の菅田将暉さんをはじめ、杏さん、岡田将生さんなど豪華な俳優陣が集結し、謎の立方体=CUBEに立ち向かいます。
また、登場人物のSNSアカウントが実際に運用されており、何気ない日常がつぶやかれています。
映画の公開に向けてどんな展開になっていくのか楽しみです。
楽曲コメント
星野源さんと主演の菅田将暉さんの楽曲コメントをご紹介します。
オファーを頂き、カナダのオリジナル版と完成したばかりの日本リメイク版の『CUBE』を観ていると、その猟奇的な内容にこれまでになかったような新しい自分の音楽が作れる予感がしました。
楽曲制作に入り、己と映画から受け取ったテーマをぶつけてみると、怒りにも似た爆発するようなエネルギーが生まれていき、それを音と言葉に封じ込めました。
ぜひ、わーきゃー叫びながら、爆音で聴いてください。
圧倒的絶望の中にいて、希望を探す 希望を探すと愚かな自分に出会い
見つかりかけた希望が 自分のせいでまた失ってしまう
そんなCUBEという映画が最後星野さんの音楽によってその悲しみや後ろめたさは残したまま希望を持って前に進める作品になる気がしました
映画館から生活に戻っていく中で これはとても大切なことだと思います
悲しみだけで終わらせない星野さんの音楽に頭が上がりません
今とても大事なことだと思います 是非お楽しみに
菅田さんの演じる主人公・後藤裕一は、頭脳明晰なエンジニアです。
CUBEに閉じ込めらたことも冷静に受け入れ、脱出するための策を練ります。
映画の中で、どんな絶望が待っているのか、公開が楽しみですね。

Cube 歌詞考察
考察の過程で、過去作品のネタバレを含みます。ご覧になっていない方はご注意ください。

曲の冒頭では、何者かによってCUBEの中に閉じ込められてしまった人たちの絶望が歌われます。
ある日突然、謎の立方体の中に閉じ込められた、年齢も住んでいる場所もバラバラな6人。
絶望してしまうのも無理はないですが、主人公の後藤裕一は冷静に情報を分析し、脱出を試みます。
この楽曲は、キューブに閉じ込められた主人公たちの心情を描いている一方、すべての人に当てはまる人生の生き辛さを表現しているように感じました。
冒頭では、困難にぶつかって希望が見えなくなっても、自分でなんとかするしかない、自分の人生は自分で作っていくしか無いのだという厳しい現実が歌われていますね。

「昔観たカナダの映画」というのは、本家「CUBE」のことを表していますね。
1997年に公開され一大ブームを引き起こした名作「CUBE」、脱出できずに精神が崩壊していく登場人物の姿を描いたこの作品は、スリラーな展開のパイオニア的存在です。
キューブに囚われた運命の流れに抗い、脱出しようという登場人物の思いが代弁されています。
何も気にすることなく生きてきた過去を振り返り、出口を見つけようとする主人公たち。
後の歌詞にも出てきますが、ここではまだ脱出への希望も「脆い藁」のような頼りない存在です。
笑うやつというのは、必死の思いでキューブから脱出しようとしている主人公たちを、影で見ている人物たちのことなのではないでしょうか?
今回公開される日本版の設定はわかりませんが、CUBEの過去作では、キューブの中に閉じ込められた人々をモニタリングする監視員が登場しました。
脱出して、そんな奴らに一泡吹かせてやろうという想いを表現しているのではないかと考えました。
どんなに自暴自棄になったとしても、途中で匙を投げる事ができない自分の人生。
選択肢のない人生に嫌気が差しているようにも感じられます。

いつ襲ってくるかわからないトラップ、箱に剣を刺す手品のようですね。
年齢、性別、職業もバラバラで共通点のなさそうな登場人物ですが、この歌詞を見る限り、何かのつながりがありそうですね。
過去の些細なつながりを見つけ出そうとして考え込む主人公たちの姿が浮かびます。
「音でやつを殴らせろ」先程の笑っている奴らに復讐しようと考えます。
音でというのは、これまでも素晴らしい楽曲で、多くの人に衝撃を与えてきた星野さんならではの着眼点ですね。
しかし、その復讐が終わったとしても、運命の流れから外れることは出来ず、残りの人生を生きていくほかありません。
続いてゆく人生と、出口のないキューブはよく似ていますね。

長い間さまよってきた主人公ですが、とうとう出口を見つけます。
まばゆい光に包まれて行く姿は、「CUBE」のラストを彷彿とさせます。
「箱がただ 球になっただけだ」の球とは、私達の生きる地球を指していると思われます。
謎のキューブから脱出出来たとしても、自分の人生、地球から抜け出すことは出来ません。
抜け出せない運命への絶望を感じさせる歌詞ですね。
日常生活の中で降り注ぐ理不尽な出来事。
映画の中で、キューブに閉じ込められる主人公たちと、私達のどちらにも当てはまります。
主人公たちが謎を解いていくように、理不尽と向き合い解決策を見つけることで出口に近づくということでしょうか?
仏教の悟りのような考え方なのかもしれません。

星野さんはこれまでのインタビューなどで、『生きることは踊ること』だと答えています。
ラストの歌詞にもこの考えが反映されていますね。
変えることの出来ない運命、時に理不尽が降り注ぐ人生も「踊らせろ」。
悲しみに座ってくつろげるまでというのは、悲しみを乗り越えられるまでという意味ですね。
終わりのない愚かな世界の中で生きる私達へのメッセージが込められた星野源ワールド全開の曲だと感じました。

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さいごに
いかがでしたか?
まだまだ謎の多い映画『CUBE 一度入ったら、最後』。
映画と合わせるとどのように響いてくるのか楽しみです!
突然閉じ込められた男女6人。
エンジニアの後藤裕一(菅田将暉)、団体職員の甲斐麻子(杏)、フリーターの越智真司(岡田将生)、中学生の宇野千陽(田代輝)、整備士の井手寛(斎藤工)、会社役員の安東和正(吉田鋼太郎)。
年齢も性別も職業も、彼らには何の接点もつながりもない。
理由もわからないまま、脱出を試みる彼らを、熱感知式レーザー、ワイヤースライサーや火炎噴射など、殺人的なトラップが次々と襲う。
仕掛けられた暗号を解明しなくては、そこから抜け出すことは絶対にできない。
体力と精神力の限界、極度の緊張と不安、そして徐々に表れていく人間の本性…
恐怖と不信感の中、終わりが見えない道のりを、それでも「生きる」ためにひたすら進んでいく。
果たして彼らは無事に脱出することができるのか?!
映画公式サイトより引用