今回は大ヒットシングル「春を告げる」に次ぐ2作目「クリーム」の歌詞考察をしていきます!
「クリーム」は「春を告げる」と同じくボーカロイドプロデューサーのくじらさんが作詞作曲を手掛けました。
鬱々とした主人公を描いた歌詞が共感を呼び、日常的な雰囲気で人気を博しています。
では早速歌詞の考察を始めていきましょう!

クリーム 歌詞考察
毎日のように煙草を吹かしながら黄昏れる

冒頭では部屋のベランダで煙草を吹かす主人公の様子が描かれます。
また「不確かな日々 歩きながら確かめて行った」という歌詞から主人公は不安定な生活を送っており、少し疲れたような雰囲気が見て取れます。
「日が暮れるのが遅くなってきたね」「だんだん暖かくなってきたね」「風も気持ちよくなってきたね」という歌詞から、この主人公は毎日のようにベランダに出て黄昏ていることがわかります。
少しずつ夏に近づく中で不安定だった春が少し落ち着いてきたのでしょうか。気だるいような寂しいような、倦怠感を覚えます。
そしてこの部分は全て誰かに語りかけるような口調でできています。
主人公と一緒に恋人や友人が部屋にいるのか、それとも自分自身に語りかけているのか、語り口調にも関わらずどこか寂しい雰囲気を感じさせます。
しあわせな過去に想いを馳せる

サビ部分では主人公は自身のキラキラした過去に想いを馳せます。
「茜色の空を眺めながら肩にもたれかかって 夢みたいな日常がいつしかありました」という歌詞は主人公が過去の幸せを噛み締めている様子がありありと描かれています。
恋人なのか友人なのか、大切な誰かと過ごした記憶が蘇っているようです。
「寄り道は気づかないしあわせの形だね」はこの誰かと歩んだ道のりがしあわせだったことに後から気づいたことを表現しています。
これを「寄り道」と表現していることから、この誰かと歩んだ道は今の生活に繋がっていないと思われます。主人公にとっては好きなことや興味のあることに誰かと取り組んだ記憶なのかもしれません。
今はもうこの記憶は落ち着いているようですが、「変わらない階段と景色を刻んで」とあることから同じ部屋、同じ街での記憶のようです。
この部屋に引っ越してきてからかなりの時間が経っているのでしょう。落ち着いた今でも景色と共に記憶が蘇ります。
そしてその記憶を胸にしまって主人公はまどろみの中へ落ちていきます。落ち着いた今となってはまどろんでしまうほどその記憶が心地よく、また現状を思い出させる倦怠感を伴うものなのでしょう。

白い壁もいつの間にか太陽に照らされてオレンジ色に染まっていきます。自分は変化しないけれど変化していく景色を見て悲しくなる主人公。
これからの生活が景色のように変化していくことを願い、主人公は目を閉じます。
また蘇る記憶

ここで1番と同じ歌詞のサビに入りますが、唯一違う点は「まどろみの中へ」が二度繰り返されていることです。
誰かと離れたのは主人公にとってかなり悲しい出来事だったのでしょうか。消えない記憶に想いを馳せ、この誰かがいない未来を思うと不安で仕方ない。
それでも何も現状は変わらず、どれだけ記憶を掘り起こしても変化を望んでも、それは想像でしかなく眠くなってしまうようなものなのです。
ここでも主人公の諦めたような倦怠感が読み取れます。
幸せな景色と自分の現状とのギャップ

太陽に照らされた子供の笑顔という幸せな景色と自分の現状を比べ、主人公は押さえつけるように涙を堪えます。
幸せな景色と自分の現状とのギャップに、今まで倦怠感しかなかった主人公の胸に感情が込み上げてきたように感じられます。
幸せな過去を持って理想とは違う現状にとどまっている。そんなやり切れない切なさが詰まった曲ですね。

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さいごに
「クリーム」は主人公がベランダで吹かす煙草の煙をきっかけに過去の記憶が蘇り、現状とのギャップに疲れて諦めてしまったような倦怠感が感じられる曲です。
しかしこのタイトル「クリーム」に関する単語が歌詞に出てきません。クリームといえばケーキやお菓子に使われて甘い味のイメージ。しかしこの曲では苦い感情しか浮かんできません。
この甘い「クリーム」というタイトルは、苦い煙草の煙との対比なのではないでしょうか。
過去の甘い思い出やキラキラとした景色を見ながら疲れて諦めた現実に戻る。
煙草を吹かしながら甘かった過去の記憶に想いを馳せる。
そんな切ない思いが詰まっているように感じられます。
シンプルな言葉ですがリアルな心情を描写し、心に染み入る声で歌い上げるyamaさんの今後にも注目です!