セカオワことSEKAI NO OWARI「コードレスベイビー」の歌詞の意味を考察します。

コードレスベイビー 歌詞考察
コードレスベイビーとは?
繋がっている時の記憶なんてないよと
出典:コードレスベイビー / 作詞・作曲:Saori
君は言うけれど
十月十日の波乱万丈な日越えて
ジョキンと切ったんです
Saoriさん作詞・作曲、Fukaseさんボーカル曲の「コードレスベイビー」。
「コードレス」というと掃除機、ドライヤー、イヤホンなどが思い浮かぶかもしれませんが、「ベイビー」と続いていて、「十月十日」といった表現もあり、文字どおり「赤ちゃん」あるいは「大切な人、愛しい人、恋人」をあらわしていることがわかります。
「なぜ赤ちゃんがコードレスか?」というと「へその緒(コード)をジョキンと切ったから」。
村上龍さんの小説「コインロッカー・ベイビーズ」(1980年10月)も連想することもできそうですが、社会問題的なニュアンスは皆無です。
むしろ誰もが「コードレスベイビー」に相当するといえるでしょう。
親には「母親と赤ちゃんがへその緒で繋がっていた時の記憶はある」はずですが、赤ちゃん側の立場では「記憶はない」のではないでしょうか。
こんな普通のハサミで切っちゃうの?
出典:コードレスベイビー / 作詞・作曲:Saori
なんて思っている隙に
ハイテク製品さながらコードレスに
なっていた君です
へその緒を切る「ハサミ」は昔からある道具ですが、「胎児はコードあり、赤ちゃんはコードレス」と考えると、たしかに「へその緒を切った赤ちゃんはハイテク製品みたい」といえるかもしれません。
それにしても斬新な発想といえるでしょう。
忘れもしないあの冬の日
出典:コードレスベイビー / 作詞・作曲:Saori
数秒前まで繋がっていた
君の体をそっと
両手で抱き上げた日
赤ちゃんが生まれた季節は「冬」だったようです。
「へその緒(つながり)を切ることでコードレスベイビーになる」という生命の神秘。
無邪気な赤ちゃんは覚えていなくても、親としては忘れられない誕生日でしょう。
ただ、すでに親になった人も自分が赤ちゃんとして生まれてきた日のことはやはり覚えていないのではないでしょうか。
おめでとう(Congratulations)
君は今まさに生まれて
産声を響かせ
星河一天の夜空の下
歓喜の宴よおめでとう(Congratulations)
出典:コードレスベイビー / 作詞・作曲:Saori
君は今ここに立って
二足歩行始めて
自分の足で歩いていく
いざ行かん明日へ
転びながら進め
1番のサビです。
「星河一天(せいがいってん)」は「空一面にたくさんの星が川のように輝いて見える様子」をあらわしています。
「星河一天、二足歩行」という四字熟語が「夜空の下、歓喜の宴、自分の足」とつながっている感じがするところもおもしろいでしょう。
前半では赤ちゃんの誕生そのものが親にとっては「宇宙規模の宴会」に匹敵するほど嬉しい出来事であること、後半では成長するにつれ転びながらでも進むよう応援する親の心情が描かれています。
失恋や挫折もおめでとう?
コードレスベイビー
出典:コードレスベイビー / 作詞・作曲:Saori
五秒と目を離せないとんだハイテクです
理不尽な理由で泣いて単純なことで
沢山笑います
赤ちゃんは「コードレス」でも、他の「ハイテク製品」のように便利で楽というわけにはいきません。
「五秒と目が離せない」や「理不尽な理由で泣く」ところが育児の大変さを物語っているでしょう。
その育児の大変さをカバーしてあまりあるのが「笑顔」や「成長」といえそうです。
逆に、誰しもそうして育てられたと考えると、親に感謝したくなるのではないでしょうか。
君が笑うとみんな笑う
出典:コードレスベイビー / 作詞・作曲:Saori
四六時中ふざけて
不思議な力をくれる
服も着られないのに
「自分で服を着ることもできないのに、笑ったりふざけたりして不思議な力をくれる赤ちゃん」と感じるのも親心でしょう。
もちろん親に限らず、まわりの「みんな」が幸せな気分になりますね。
もし大人が同じような「おふざけ」をしたらとんでもないことになりそうですが、「赤ちゃんだから許される」というか、「むしろ天使」と感じるのではないでしょうか。
おめでとう(Congratulations)
君は今恋を知って
砕けそうな心で
万世不朽の愛はないと
分かれども世に在りおめでとう(Congratulations)
出典:コードレスベイビー / 作詞・作曲:Saori
君は今立ち止まって
自分なんかと独り言ちて
溜め息混じり石を蹴って
走り続けてきた
過ぎし時を想う
2番のサビです。
1番のサビ後半で「二足歩行」を始めたと思ったら、「君(コードレスベイビー)」はもう「恋を知り、溜め息をつく」年齢になりました。
「万世不朽(ばんせいふきゅう)」とは「永遠に朽ちないこと、滅びないこと」。
どうやら「君」は失恋や挫折を味わったようですが、親目線では子どものどのような人生経験も「おめでとう(Congratulations)」という祝いになるのでしょう。
疲れたら充電しに帰ろう!
君は今この世界に
出典:コードレスベイビー / 作詞・作曲:Saori
自分の爪痕を
残そうとしてその両手は
傷付いているけど
「自分の爪痕を残そうとして傷付く両手」という表現はかなりの過酷さをあらわしていると思われますが、それでも親は子どもの奮闘を応援するということですね。
自分自身も同じように必死にもがいた経験があり、それを見守ってくれた親もいたと考えると、「へその緒(コード)が切れても繋がりはある」といえるでしょう。
おめでとう(Congratulations)
出典:コードレスベイビー / 作詞・作曲:Saori
君が選んできた日々の
恐れや悲しみは
いつか誰かを抱きしめ得る
両手になるはず
あの日の母のように
ラスサビです。
作詞をしたのがSaoriさん、歌っているのはFukaseさんなので、これまで語り手は「親」としてきましたが、「母」に限定してもよさそうです。
「君が経験した恐れや悲しみといった感情も、誰かを抱きしめる両手になる。母が赤ちゃんの君を抱きしめた両手と同じように」という結末でした。
そのため誕生以外のネガティブな出来事に対しても「おめでとう」と祝いの言葉をかけていたのでしょう。
コードレスベイビー
出典:コードレスベイビー / 作詞・作曲:Saori
一人で生きているような顔をしないで
君を待ってる場所に充電しに
帰っておいでよ
Aメロがラストにあるところにも「繋がり、循環性、縁」が感じられるのではないでしょうか。
誰しも「コードレスベイビー」なので、ときには「母」のもとに帰って「充電」する必要があるというオチでした。

1ヶ月無料で音楽聴き放題!
通常880円/月のAmazonMusicUnlimitedが今なら1ヶ月で体験可能!
この機会に聴き放題サービスをお試ししてみよう!
いつでも解約OK!
さいごに
母親目線の歌詞を男性のFukaseさんが歌うと、成長した「コードレスベイビー」がリスナーを抱きしめるために、自らのネガティブな経験を母性愛あふれる両手に昇華したような雰囲気も漂います。
どれほどハイテクなの世の中になってもずっとハサミが使われているように、へその緒を切っても切れない繋がり(縁)はあるのではないでしょうか。
あり得ませんが、もし赤ちゃんに胎児、誕生、乳児の記憶があると平和な世の中になるかもしれませんね。