今回は人気バンド・Official髭男dismの新曲「Choral A」の歌詞を考察していきたいと思います。
映画『異動辞令は音楽隊!』の主題歌に決定している本楽曲。
メンバーの楢崎さんが、かつて島根県警察音楽隊でサックスを担当していたことが、主題歌決定を強く後押ししたそうです。
映画の内容、楽曲コメントと合わせて見ていきましょう!
映画『異動辞令は音楽隊!』
8月26日に全国公開される阿部寛さん主演の映画。
指揮を執るのは、第44回日本アカデミー賞で最優秀作品賞ほか数々の賞に輝いた『ミッドナイトスワン』を手掛けた内田英治監督。
監督がYouTubeで偶然目にした警察音楽隊のフラッシュモブ動画から着想を得て脚本を書いたそうです。
犯罪捜査一筋30年の鬼刑事 成瀬司(阿部寛)は部下に厳しく、昭和さながら犯人逮捕の為なら法律すれすれの捜査も辞さない男。
家族もろくに構わず一人娘・法子からはとうに愛想をつかされている。
そんな成瀬はコンプライアンスを無視した行動が仇となり、突然上司から異動を命ぜられる。
刑事部内での異動だろうと高をくくっていた成瀬だったが、異動先はまさかの<警察音楽隊>だったーー。
阿部寛さん演じる鬼刑事が、タイトルどおり音楽隊に飛ばされることからスタートする物語。
最初はやる気のなかった成瀬も、音楽隊の演奏を聴くことで救われている人がいることを知り、精一杯頑張ります。
映画はどんなラストが描かれているのか、公開が楽しみですね。
また、リアルにこだわったこの映画では、演奏シーンの演技の吹替は一切なしという徹底ぶりだそうで、演奏シーンにも注目です!
楽曲コメント
今回の主題歌決定のきっかけにもなり、作詞作曲を担当した楢崎誠さんのコメントをご紹介します。
今回ご一緒できた事を本当に嬉しく思います。
台本を読ませて頂いた時から、完成までの中で好きな言葉やシーンが どんどん増えていきました。
楽曲制作にあたってプレッシャーもありましたが、 映画の内容と重なるように僕もたくさんの人に助けてもらいました。
音楽隊に所属していた時の同僚と、今関わってくれている皆んなに心からの感謝を。
素敵な映画です。是非ご覧ください。
曲の中にどんな想いが込められているのか、楽しみですね!

Choral A 歌詞考察
「つまんねぇと嘆いたら 誰かが心を乾かしてる」
冷えたグラス持った友人が 疲れを浮かべ今日もつぶやく「もうやめにしよっか」「まだやれそうさ」
出典:Choral A / 作詞・作曲:楢﨑誠
いつかの子どもらの夏が浮かび消える
この楽曲は、映画の主人公・成瀬の気持ちを歌っているように感じました。
冒頭で歌われているのは、飲み屋でのシーンでしょうか?
同じような毎日が繰り返される日常に退屈さを感じているように思いました。
渇くでなく「乾く」と表現されている部分にも、自分ではどうすることも出来ない(潤すことが出来ない)無力感が歌われているように感じます。
冷たいビールの入ったグラスを持ちながら友人と話す主人公。
自分が子供の頃を思い出しているようです。
<「もうやめにしよっか」「まだやれそうさ」>
飽きることを知らず、同じ遊びをいつまでも繰り返していた子供時代の夏。
それに比べて今は、熱中できる楽しいこともありません。
お酒を飲みながら、過去の思い出を懐かしんでいる様子が浮かびました。
街を過ぎた雨と それを待ってたような綿毛が
出典:Choral A / 作詞・作曲:楢﨑誠
風に飛ばされ運ばれて 今、たどり着いたひとひら
「きっとここで会えた意味がある」と 言ってるみたいに囁くよ
「こたえておくれ」と
街を過ぎた雨と風に飛ばされてきた綿毛は、人生における辛い時期と、時折訪れる奇跡のようなめぐり合わせを暗示しているように思います。
人生にも良い時と悪い時があり、調子の悪いときでも、一生懸命生きようとすれば、思わぬチャンスが巡ってくるというメッセージが込められているのではないでしょうか?
巡り合うのは、人かもしれませんし、出来事なのかもしれません。
映画の内容で考えると、娘にも愛想を尽かされ、組織でも一匹狼だった成瀬が、異動辞令によって音楽隊に入るという巡り合わせから物語がスタートしますね。
突然下された成瀬への異動辞令も、きっと意味があるものだったに違いありません。
「ここで会えた意味がある」
いつ巡ってくるかも分からない転機ですが、巡ってきたときには、きちんと応えてあげたいですね。
ふとした時に顔を出す後悔 目では見えやしないけど
それは涙や笑みに寄り添って 離れぬように語り出すいつか思い出して ひとつ数えて
出典:Choral A / 作詞・作曲:楢﨑誠
何度もここで待ってるから
自分で選んだ人生の道でも、ふとした時に出てくる後悔の念。
自覚していなくても、涙や笑みに隠れている後悔は消えることはありません。
犯罪捜査一筋30年の鬼刑事・成瀬も、本当にこの道で良かったのか?家族をないがしろにしてまで自分がする必要があるのか?と後悔していたことでしょう。
しかし、そうした後悔の念、自責の念も忙しない日常の中に溶けていきます。
成瀬も最初は葛藤があったのかもしれませんが、続けていくうちに徐々にそれが当たり前になってしまったのではないでしょうか?
<いつか思い出して ひとつ数えて 何度もここで待ってるから>
そんな成瀬にOfficial髭男dismは、優しく語りかけます。
薄れてしまった後悔の記憶も、いつか思い出して欲しい。
自分が何のために、誰のために働いているのか、本当に大切にすべきものは何なのか?
ひとつひとつ、ゆっくりでいいから思い出して欲しい。
何度失敗しても、ずっと待ち続けるから、と歌いかけます。
成瀬だけでなく、この曲を聴く多くの人に刺さる歌詞ですね。
胸の宵かがりは 黒い髪を縛ったあなたが
古い写真機に閉じ込めたままで誰にも見せてないけど
次に開く時は声に出して 小さい靴を指差して「もうやめにしようか」「まだやれそうさ」
出典:Choral A / 作詞・作曲:楢﨑誠
何度も同じような夜 でもその声が繋いでいるんだ
迎えに行かなくちゃな この想いを忘れないようにしないとな
この部分は、成瀬の娘・法子について歌っているのではないでしょうか?
離婚してから、あまり会う機会も無くなった娘。
高校の文化祭におばあちゃん(成瀬の母)を連れて行くという約束を忘れたことで激怒されてしまいます。
<古い写真機に閉じ込めたままで誰にも見せてない> というのは、法子の中にある古い思い出のことを指しているのではないでしょうか?
次に開く時は、父とのわだかまりも取れて、皆が幸せになった時。
小さい靴は、法子の子供時代、つまり父と娘が完全に和解し、子供の頃のように接することができた様子を暗示しているように感じました。
音楽隊に入り、同じような日常を繰り返す成瀬。
諦めてしまいそうになることもありますが、子供の頃、まだやれる、もっとやれる、と果敢に挑戦していた記憶を思い出し、歯を食いしばって頑張ります。
音楽隊で様々な経験をした成瀬は、大事な人を想う心、自分にとっての大切な存在を思い出したのではないでしょうか?
この想いを忘れないようにしないとな
<この想いを忘れないようにしないとな> と自分に語りかけているように感じました。街を過ぎた雨とそれを待ってたような綿毛が
出典:Choral A / 作詞・作曲:楢﨑誠
風に飛ばされ運ばれて 今、たどり着いたひとひら
「きっとここで会えた意味がある」と
言ってるみたいに囁くよ
「こたえておくれ」と
サビは繰り返しになりますが、人生には雨が降るときもある、でもその雨が過ぎれば、待っていたかのように、転機の綿毛が訪れる。
その転機は、どんなものなのかは分かりませんが、きっと巡り合った意味があります。
どんな出来事でも恐れず、子供のような気持ちを持って挑戦してみようと歌っているように感じました。

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さいごに
いかがでしたか?
8月26日の映画の公開が待ち遠しいですね。
Official髭男dismのこれからの活躍にも注目です。