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ブリキノダンス【日向電工】歌詞の意味を考察!叙事詩を元に書かれた楽曲?9番が最後に伝える争いの虚しさ。

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楽曲 ブリキノダンスとは

ブリキノダンスとは日向電工(ひなたでんこう)さん6曲目の楽曲で作詞・作曲・編曲も自身で手掛けた楽曲となっています。

非常に中毒性のある楽曲だと評価され、2016年7月には100万回の再生回数・2020年10月には300万回の再生回数を突破しました。

歌詞の意味も普段聞きなれない言葉が多く、解読が難しいうえに人により解釈はまちまちで奥行きの深い楽曲といえるのではないでしょうか。

ただ比較的共通しているのは世界3大叙事詩である「マハーバーラタ」を元に作られたのではないかという点です。

「マハーバータラ」とは

世界3大叙事詩の一つ。ちなみに叙事詩とは神話や伝説・英雄の功績などを物語る長文な韻文とされています。

ざっくりとストーリーを書きますと、兄ドリタラーシュトラと弟パーンドゥの子供たちが次の王の座を狙っで親族同士で戦う話です。

ドリタラーシュトラの子供達はカウラヴァと言われ100人おり、パーンドゥの子供達はパーンダヴァと呼ばれ5人存在しています。

本来の王位継承はパーンダヴァです。

しかし早くに父親が亡くなってしまった為に長男が大きくなるまでという条件付きで盲目の兄、ドリタラーシュトラが王位に就くのですが、その子供達であるカウラヴァはパーンダヴァを追放し王位を自分たちのものにしたのです。

その後王位奪還の為にパーンダヴァは戦争を起こし最終的には勝利するという話になっています。

日向電工さんとは

この考察の非常に難しい歌詞を書いた日向電工さんは、2012年7月9日にボカロデビューし、主に初音ミクを使用しています。

2017年2月22日に1stメジャーアルバム「ブラックホールディスク」でメジャーデビューを果たす事になりますが、2023年1月現在、SNSの更新も止まったままとなっています。

ネット上では色んな憶測が飛び交っていますが、実は日向電工さんのリリースした楽曲はすべてしりとりとなっています。

最初の楽曲が「アンダワ」、そして現段階で最後にリリースされた楽曲は「バケモノダンスフロア」で一周回っており、それを区切りとして活動を終了したのではないかという見方が有力となっています。

引き際もミステリアスで謎多きアーティストではないでしょうか。

島爺さんとは

今回考察した「ブリキノダンス」は島爺という方のうたってみた、をベースに考察したわけですが、島爺さんもまた謎の多い人物となっています。

「永遠の82歳」という設定を持ち、素顔は公表せずにおじいさんの仮面をかぶって活動されています。

永遠の、という設定があるからか誕生日を迎えると生まれた年も一つ繰り上がるという徹底ぶりが私は好きです!

小・中・高と野球一筋でしたが、高校卒業後は音楽活動を始めた島爺さん。

2011年に東日本大震災を経験し「こんな時こそ音楽を」と考えましたがそれどころではない現実を目の当たりにし心が折れて地元で就職する事にしたそうです。

しかし、趣味で音楽は続けようと2011年9月にニコニコ動画に「うたってみた」シリーズの投稿を始めるとじわじわと人気が高まり、2016年1stアルバム「冥土ノ土産」でメジャーデビューする事になりました。

一度は趣味で、と割り切ろうとした夢を島爺さんは掴みとる事に成功したのですね。

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ブリキノダンス 歌詞考察

さあ、憐(あわ)れんで、血統書
持ち寄って反教典(はんきょうてん)
沈んだ唱導(しょうどう)
腹這い幻聴
謁見 席巻 妄信症

踊れ酔え孕め(はらめ)
アヴァターラ新大系
斜めの幻聴
錻力(ぶりき)と宗教
ラル・ラリ・唱えろ生

出典:ブリキノダンス / 作詞・作曲:日向電工

血統書とは動物の血統を証明するものですが、ここでいう血統とは王になるべき血。

彼カウラヴァには王になるべき血が流れていないと憐れんでいるのです。

王になるべき正式な血統はパーンドゥの血を引き継いだパーンダヴァ。

カウラヴァに対し反旗を翻す者を募っています。

自分たちこそが王であると、自分たちの勢力は力を増し、広がっていると哀れに信じているカウラヴァ達。

しかし「沈んだ唱導」から人々からの支持は落ちていることが伺えます。

アヴァターラとはヒンドゥー教において神々の化身。不死の存在とされています。

10の化身があり、9番目はバララーマ又はブッダと言われています。

幻聴を聞いたのはブッダと考えられるのではないでしょうか。

なぜなら「腹這い」「斜め」という表現が出てきておりブッダを漢字で書くと「仏陀」。

この「陀」という漢字には斜めという意味も含まれているのです。

また「蛇のように曲がりくねった険しい道」という意味があり、腹這いから蛇を連想できますね。

そしてブリキを意味する「錻力」という漢字がでてきますが、金編を消し「武力」と読むこともできるのではないでしょうか。

武力と宗教。

人は思想の違いを認め合う事が難しく、考え方の違いだけで武力を使ってしまう歴史を繰り返している、と読む事もできるかなと考えます。

ラル・ラリとは眠った人間の魂を奪うとされる精霊。

眠らず生きることを叫べ=生きる事を諦めるなというメッセージではないでしょうか。

まあ、逆らって新王都
くぐもった脳系統
墓掘れ説法
釈迦釈迦善行
六感・吶喊・竜胆・錠(ろっかん・とっかん・りんどう・じょう)
どれどれ、震え
蔑んで新体系
欺瞞の延長(ぎまんのえんちょう)
詭弁の劣等(きべんのれっとう)
ドグ・ラグ・叶えろ

出典:ブリキノダンス / 作詞・作曲:日向電工

新しい国作ったはいいが、どうすればいいのかわからない。

結局嫌われていたカウラヴァと同じようなことをしているパーンダヴァ達。

カウラヴァ側は必ず報復にやってくるのは百も承知だが、どうすればいいのか分からない。

とりあえず万が一に備えてお墓は掘っておく・・・。

権利ばかり主張し、いざその権利が満たされた時、自分のすべきことが分からず、的外れなことをしてしまう、実際の生活でもある事ではないでしょうか。

チクリと風刺されているような歌詞だと感じました!

竜胆とは植物の「リンドウ」です。

花言葉は勝利・正義感。

自分の中の正義のみで動く事、そのような行為には錠をするべき=すべきではない、ということでしょうか。

新しい国もダメだと見下されてしまいます。

人々の心を欺いて、正しいかのように錯覚・・・いえもう押し付けて紡がれる言葉たち。

トップが変わっても世の中がよくならない歴史が繰り返されるのはトップに立つ側の能力なのか、文句しか言えない人々のせいなのか、それは永遠の掛け合いになるのでしょうか。

ドグ・ラグとはアメリカの踊りの一種であり、ヒンドゥー教で踊ることは祈りを意味するので、願いを叶えて欲しいと踊るしかないという諦めなのかもしれません。

不気味な手、此処に在り
理性の目、咽び泣き
踵(きびす)返せ遠くに、
偲ぶ君の瞳を

出典:ブリキノダンス / 作詞・作曲:日向電工

不気味な手は間違いなく近づいてきています。

ここでの不気味な手とはパーンダヴァに一時敗戦したカウラヴァ達。

国の統制もうまくいかない、敵は間違いなく近づいてきている、何もかもがうまくいかない時には理性は涙を流し全てを捨て逃げたくなりますね。

しかしそれを思いとどまらせてくれたのは遠い地にいる大切な存在である「君」だったのでしょう。

さあ、皆舞いな、空洞で
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抉り(えぐり)抜いた鼓動咲かせ咲かせ

さあ、剽悍な双眸(ひょうかんなそうぼう)を
エーカム、そうさ。先頭に
真っ赤に濡れた空、踵鳴らせ

出典:ブリキノダンス / 作詞・作曲:日向電工

サンスクリットとはインド・南・東南アジアで用いられた古代語でヒンドゥー教の礼拝用語でもあるものです。

空洞で舞うとはブリキの玩具のように意思もなくただ毎日を過ごしている状態を表していると考えます。

真理や正しいと思えるものを求め、本当は持っているはずの心をもう一度動かせと激励している歌詞なのではと読みました。

そして心を動かしたのなら、荒々しく強い両眼で前を見る。

エーカムとはサンスクリットで「1」を意味し、パーンダヴァの1番目の子供、すなわち長男はユディシュティラです。

彼を先頭に夕日に染まった空の中、踵を鳴らして洗浄へ向かえといっているのではないでしょうか。

また「真っ赤に濡れた空」という表現は戦場では激しい戦いが繰り広げられている、ともイメージできますね。

嗚呼、漠然と運命星
重度に負った喘鳴(ぜんめい)に
優劣等無いさ回れ踊れ
もう、漠然と九番目が龍を薙ぐ

パッパラ・ラル・ラリ、ブリキノダンス

出典:ブリキノダンス / 作詞・作曲:日向電工

なるようになれと、半ば流れに身を任せている状態ではないでしょうか。

けが人も出ているが荒い呼吸に優劣はないから皆動けという地獄絵図。

9番が、なるようになれと目の前に居たものをなぎ倒してしまいます。

先ほど出てきた「9番」はブッダの可能性がありましたが、ここの9番はバララーマと考えた方が良さそうですね。

なぜなら、バララーマは農耕と力の神とされ、鎌をもっているのが特徴的です。

なのでその鎌で薙倒したと考えると自然でしょう。

さあ、微笑んで急展開
ナラシンハ流体系
積もった信仰
惜別劣等(せきべつれっとう)
怨恨 霊堂 脳震盪(えんこん れいどう のうしんとう)

出典:ブリキノダンス / 作詞・作曲:日向電工

「急展開」とありますが、先ほど龍を薙いだ9番=バララーマですが、「ブリキノダンス」の元になったと考えられる「マハーバーラタ」ではこのようなシーンはなく、そもそもブッダもバララーマも戦いに参加していません。

さらにナラシンハとは4番目のアヴァターラですがこちらは「マハーバーラタ」には登場しない神なのです。

このように今まで信じていたもの(この場合「マハーバーラタ」)が突然信じられないものになってしまう時もあるでしょう。

過去を捨て去る事は容易なことではありませんが時に無理にでも選択しなければ、急な物語(人生)の変更に対応できないという事ではないでしょうか。

パラパラ狂え
アヴァターラ半酩酊(はんめいてい)
次第に昏倒
劣悪情動(れつあくじょうどう)
崇めろバララーマ

死んでる龍が吼える
バガヴァッド・ギーターで
張り詰め心臓
押し引け問答
無に帰す桃源郷

出典:ブリキノダンス / 作詞・作曲:日向電工

なるようになれと、流れに身を任せているうちに、アヴァターラはお酒に飲まれ、次第に目がくらんで倒れてしまう。

周りは祈りの踊りを舞う者たちであふれて、まさに地獄絵図。

怒りにも似た強い感情が溢れ、飲み込むを繰り返す。

農耕と力の神、9番のアヴァターラと言われているバララーマを崇める事が人々の心の拠り所になっていくのです。

「バガヴァッド・ギーター」とはヒンドゥー教の経典の一つで、マハーバーラタの第6巻に収められています。

ざっくりとした内容はパーンダヴァ、三男のアルジュナとヒンドゥー教の神であるクリシュナの対話の物語。

アルジュナは親族や親族や師を殺すことになるこの戦争を拒否しており、クリシュナに説得されて参加することを決意するのです。

それでも度々抵抗を見せ、クリシュナを困らせてしまうという人間味あふれる人物として描かれるのが魅力でしょう。

この時の対話をまとめたのが「バガヴァット・ギーター」なのです。

そして「死んでいる龍が吼える」となっているので9番が薙いだ龍はアルジュナだったと分かります。

息を吹き返したアルジュナ。

クリシュナに説得され、故郷を元に戻すため戦場へ向かうことを決意するのです。

ドウドウ唸れ
アヴァターラ封筒へ
クリシュナ誘導
アルジュナ引導
ドグ・ラグ・祝えや

不気味な手、誠なり
理解などとうに無き、
鬼神討てよ遠くに、
潜む影の手引きを

さあ皆、舞いな、衝動で
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雑多に暮れた日々廃れ、廃れ

出典:ブリキノダンス / 作詞・作曲:日向電工

ここに登場するアヴァターラとはビーシュマを指すのではと考えます。

ビーシュマとはパーンダヴァ・カウラヴァ双方にとって大伯父にあたる人物です。

カウラヴァ側にいるため便宜上敵として扱われていますが、実は人格者で人々に慕われていたとされています。

アルジュナの師にも当たり、彼が戦争を拒絶する原因になった一人となっています。

望んだ間生きられるので不死の象徴とされていましたが、クリシュナに説得されたアルジュナの放った多数の矢に射抜かれ、最終的に倒れたその場で戦いを見届け生涯を終える事になりました。

悲しみと葛藤が交差する戦場。

既にその戦場には「理解」という言葉は存在しておらず、相手を負かす事だけが勝利をもたらすものとして存在しているのでしょう。

最初の目的は忘れ去られ、力で相手に勝つ事、それが全てになっているのです。

もう考えることも辞め衝動だけで踊る事しかできない人々。

この混沌とした日々が終わるように祈りながら・・・。

さあ剽悍な双眸で
サプタの脳が正統系
真っ赤に塗れた空響け響け

嗚呼、六芒と流線型
王族嫌悪は衝動性
ピンチにヒットな祝詞(のりと)ハバケ・ルドレ
もう、漠然と九番目が狂を急ぐ

出典:ブリキノダンス / 作詞・作曲:日向電工

荒々しい両目で見据える前方、その先に見えるのは希望でしょうか、絶望でしょうか。

サプタとはダルマ・シャートスなどに書かれた古代インドの政治思想です。

それを信じれば怖いことはない、真っ赤に染まった空に自分たちを奮い立たせるかのように歓声を響かせるのです。

六芒とは2つの三角形を上下対にして重ねたような図形で宗教的な意図を連想させるものです。

そして流線型とは空気や液体の抵抗を最小限にするための曲線なので、その二つから人の思想をうまく受け流す、つまり届かない願いを表していると考えます。

そうやって願いが届かない人々の怒りはトップに向けられ、嫌悪されていくのでしょう。

それはいつの時代も、どこの国でも変わらないピラミッドの形です。

そして崩壊を表すように、次第に壊れてゆくブッダであり、バララーマである9番。

巷で噂の、ブリキノダンス

出典:ブリキノダンス / 作詞・作曲:日向電工

そうです。

これは、ブリキでできた玩具で行われた人形劇だったのです。

さあ、皆舞いな、空洞で
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抉り抜いた鼓動咲かせ燃やせ

さあ、剽悍な双眸を
エーカム、そうさ。先頭で

全く以て(まったくもって)、鼓動がダンス

王手を盗って遠雷帝(えんらいてい)
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妄想信者踊る。酷く脆く
もう、漠然と九番目が盲如く

御手々を拝借、ブリキノダンス

出典:ブリキノダンス / 作詞・作曲:日向電工

ブリキの人形劇だと分かれば、「空洞」は玩具を意味するともとれますね。

だけど、物には心が宿ると考える人も多くいます。

その心を取り戻せと歌っているようにも考察できます。

そして今まで人形劇を引っ張ってきたエーカム(1)的な存在である9番を真ん中にブリキの玩具達のダンスが始まります。

今演じていた演目が終わりに近づいているのです。

途中、9番が台本にはない、龍を薙ぐという行動に出たのも壊れ始めていたからだと考えると納得がいきますね。

それでも「王手をとって」パーンダヴァ達が台本通り勝利を手にします。

全てを見届け、演じ切り完全に壊れていく9番のブリキの玩具。

これが9番にとって最後の演目、最後の仕事なのでしょう。

御手々を拝借で演目は無事終了した事が分かります。

終わりよければ全て良し。

その後の9番の行方はワカラナイ。

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さいごに

いかがだったでしょうか。

日向電工さんが作詞・作曲・編曲を務めたボカロ曲、「ブリキノダンス」。

島爺さんが「うたってみた」で投稿されたものを元に歌詞考察してみました。

受け手の考え方に幅のある歌詞ですので数ある考察の一つとして読んで頂ければ幸いです。

難しい言葉も多く、日向電工さんの語彙力にびっくりしますし、島爺さんの耳に馴染む歌声が素敵な楽曲ではないでしょうか。

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