Vaundy(バウンディ)さんの3rdシングル「僕は今日も」(2020年2月)の歌詞の意味を考察します。
1stアルバム「strobo」(2020年5月)の収録曲。
Vaundyさんが作詞・作曲した「僕は今日も」の歌詞の意味をチェックしましょう。

僕は今日も 歌詞考察
僕の歌があればいい
母さんが言ってたんだ
出典:僕は今日も / 作詞・作曲:Vaundy
「お前は才能があるから
芸術家にでもなりな」と
また根拠の無い夢を語る
2000年6月6日生まれのVaundyさんは2022年現在でも大学生(デザイン学科)で、「僕は今日も」がリリースされた2020年2月当時は19歳だったので、子どもの頃から母親に言われ続けた口癖が気になる年頃なのかもしれません。
漠然と「才能がある」というのは「根拠の無い」話であり、「芸術家になる」のは「夢」のような現実味のない目標であるとも考えられます。
母親としては、子どもの「短所を叱る」より、「長所を伸ばす」教育を心がけたのではないでしょうか。
その甲斐があったのか、Vaundyさんは「芸術」方面に進み、音楽家になったので、結果的には「夢を語る」のも良かったと考えられます。
ただ、「芸術」関連の仕事に就けるかどうかは未知数な側面もあり、「根拠の無い夢」に人生をかけるかどうかは慎重であるべきだという、語り手「僕」の冷静さが透けて見えるようです。
父さんが言ってたんだ
出典:僕は今日も / 作詞・作曲:Vaundy
「お前は親不孝だから
一人で生きて行きなさい」
また意味もわからず罵倒する
父親は「安定した仕事に就き、結婚して家族を養い、親を安心させることが親孝行」という考え方をしているのかもしれません。
息子が「芸術」方面に進むことを母親は応援し、父親は快く思っていない印象を受けます。
そんな父親の言葉は、「僕」にとっては「意味不明な罵倒」にしか聞こえないようです。
しかし「芸術方面に進むと家族を養うことが難しい可能性もあり、親としては心配が絶えないけれども、独身のままでも構わないという覚悟があるなら頑張りなさい」という励ましのように解釈できます。
言葉足らずで、誤解されがちな父親像が浮かび上がります。
一人ではないと暗示をして
二人ではないとそう聞こえて
思ってるだけじゃ そう 辛くてでも
そうする他にすべはなくて
愉快な日々だと暗示をして
不協和音が聞こえてきた
抑えてるだけじゃ そう 辛くて
だからこの気持ちを弾き語るよ
出典:僕は今日も / 作詞・作曲:Vaundy
「僕」は父親の「一人で~」という「罵倒」に傷ついたのでしょう。
息子の将来を心配する父親の愛情が伝わらないところにもどかしさを感じつつ、20歳前後といえば「孤独」について哲学的に考え込んだりしがちな年齢でもあり、「僕」なりに葛藤し途方に暮れた果てにたどり着いた結論が表現されています。
「僕は今日も」という曲名は歌詞には出てきませんが、「(僕は今日も)弾き語るよ」と行間を読むことができそうです。
「弾き語り」というとアコースティックギターを思い浮かべる人が多いかもしれませんが、「僕は今日も」ではフォークっぽいボーカルとピアノの「弾き語り」に、ドラムンベースのようなビートやストリングスも混ざるギャップが音楽的におもしろいでしょう。
もしも僕らが生まれてきて
出典:僕は今日も / 作詞・作曲:Vaundy
もしも僕らが大人になっても
もしも僕らがいなくなって
いても そこに僕の歌があれば
それでいいさ
1番のサビです。
「いても」と続くところが印象的に響きます。
子どもから「大人」に変わる年頃には、死生観についても悶々としがちかもしれません。
そこで「いなくなっていても(亡くなっていても)」、「いなくなって、いても(亡くなって、いや生きていても、居ても)」と両方の意味に解釈できるようになっているようです。
「芸術」の道に進む、進まないにかかわらず、結婚したり、子どもを育てたりするかどうかは、人それぞれでしょう。
父親が心配するとおり、「一人」を貫く人生になったとしても、自分の死後(あるいは自分が生きているあいだにも)「僕の歌」がある世の中になっていれば「それでいい」という決意が語られました。
僕らの音楽に飴をやる
彼女が言ってたんだ
出典:僕は今日も / 作詞・作曲:Vaundy
「あなたはカッコイイから
イケメンじゃなくていいんだよ」
また元も子も無い言葉を君は言う
「一人」についてあれこれ考えながらも、「彼女」はいることが明らかになりました。
それなら悩む必要はないようにも思われますが、今度は「イケメンじゃない」という「元も子も無い言葉」を言われたことに引っかかったようです。
「外見に限らず、(存在自体が)カッコイイからそのままでいい」という褒め言葉のはずなのに、ネガティブに解釈しています。
僕はできる子と暗示をして
心が折れる音が聞こえた
思ってるだけじゃ そう 辛くてでも
そうする他にすべはなくて
明日は晴れると暗示をして
次の日は傘を持って行った
抑えてるだけじゃ そう 辛くて
だからこの気持ちを弾き語るよ
出典:僕は今日も / 作詞・作曲:Vaundy
何事もポジティブに捉えることはできるはずですが、ネガティブ思考が通常運転になっていると、無理がたたって「心が折れる」という話のようです。
こうした複雑な「気持ち」を吐き出す方法としてうってつけなのが「弾き語り」なのでしょう。
ピアノの音が聞こえる
ガラガラの声が聞こえる
枯れてく僕らの音楽に
飴をやって もう少しと
その気持ちを弾き語るよ
出典:僕は今日も / 作詞・作曲:Vaundy
「枯れた声(ガラガラ声)を鎮めるために、飴をなめる」というボーカリストらしい行為が描かれていますが、「傷ついた心(自分)に、甘いご褒美を与える」とか「音楽らしさを失いつつある音楽を活性化する」といった意味も込められているのではないでしょうか。
もしも僕らに才能がなくて
もしも僕らが親孝行して
もしも僕らがイケていたら
ずっとそんなことを思ってさ弾き語るよ
出典:僕は今日も / 作詞・作曲:Vaundy
1番のサビが繰り返された後のラストです。
これまで「母親、父親、彼女」に言われた言葉の逆を考えながらも「弾き語る」という結末でした。
誰かに言われた言葉が気になり、繰り返し考えてしまうのが悩みの正体かもしれません。
その悩みを「弾き語り」や「音楽」に昇華するなどの「芸術」に救われている人も多いのではないでしょうか。

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さいごに
根拠はありませんが、音楽の歴史を踏まえると、闇や悩みのはけ口に終始した音楽は、いずれ枯渇するような気がします。
心が豊かになる音楽が盛り上がるといいですね。