今回はOfficial髭男dismの『バッドフォーミー』の歌詞を徹底考察していきます!
『バッドフォーミー』はドラマ「グッド・バイ」に起用されました。ドラマの監督が本楽曲にほれ込み、デモ音源をそのままタイアップさせたようです。さすが我らがヒゲダン…!
ちなみにこの「グッド・バイ」は太宰治の遺作を原案にしたドラマでした。ここからも陰鬱な男性の雰囲気が漂っています。
「バッドフォーミー」は英語にすれば「Bad for me」。「僕にとって悪い」という意味です。
アップテンポでさわやかな耳心地の半面、何が主人公にとって「悪い」のでしょうか?
早速歌詞を見ていきましょう!

『バッドフォーミー』歌詞考察
最初から負けと分かっている恋

「夢見がち」とは「夢のようなことばかりを考えているさま」を意味します。
つまり主人公は叶わない恋だと分かっているにも関わらず、「君」に恋をしてしまった。
≪君に会ってから余計にひどくなったな≫
この歌詞からは、主人公が普段から自身の運の悪さや悲しみに自覚的であることが読み取れます。
そして今回の恋も負けであるのを十分に分かっているのです。
それにも関わらず抱いてしまった恋心をどう扱えばいいのかわからない不器用な主人公。
普段からも一歩下がっているような性分なのに、「君」への恋でさらに孤独感の増してしまった主人公の人物像が浮かびますね。
終わりが分かっている恋の切なさ

個人的なイメージですが、この主人公はモノクロの世界を生きてきたように感じました。
しかし「君」に出会ってからは全てがファンタジーのように思える。
それは美しく素敵な世界でありながら、ファンタジーの意味通り「空想・幻想」でもある。
これは「通り雨」に重なります。
すなわちその瞬間、強い恋心で覆われていても、いつかは終わってしまうというメタファー。
孤独をよく知っている主人公にとっては、君への思いとは裏腹に、絶対叶わない現実との差にいちいち落ち込んでいるのでしょう。
分かっているからこそ諦められない切なさがこの楽曲の味かもしれません。
主人公の恋は一体どうなっていくのでしょうか?
「君」から「キミ」になっていくあなたへ

≪変わっちまったな≫
この嘆きから、主人公と「君」は幼馴染などの長い年月を経た関係性だと考察できます。
幼い頃やまだ意識していなかったあの頃を知っている主人公にとって「君」の変貌は「遠くにいってしまう寂しさ」もあるのでしょう。
どんどん綺麗になっていく「君」自分のもとを離れて、皆の「キミ」になっていく。
見向きもされないすがすがしいほどの絶望感と寂しさ。
主人公が自分のことを「落ちぶれ」と言いたくなる気持ちも共感できますね。
こういった親和性の高い歌詞はヒゲダンのなさる技!
本音に嘘ついて見ぬふりする恋心

主人公は極めて自覚的な人物。だからこの恋が叶わないことは誰よりも分かっているはず。
だから振り向きもされない現実が悲しすぎて≪吐き捨ててしまいたい恋心≫と思ってもない言葉を発してしまいます。
≪お幸せそうでなにより≫という皮肉めいた言葉にも女々しさと不器用さが込められていますね。
忘れたいと思えば思うほど

主人公はここで恋心に終止符を打とうと決意します。
何度も「さよなら」と呟いてみるけれど、何度も恋心は蘇ってきてしまいます。
「忘れなきゃと思う自分」と「忘れられない自分」の葛藤。
本音をごまかし、主人公の恋はラストどうなっていくのでしょうか。
手懐けることのできない心

一度忘れようと試みたものの、主人公の恋心は再燃してしまいました。
自分の意図とは裏腹に、燃え上がっていく恋心を手懐けることができない主人公。
自覚的で物事を俯瞰できる彼にとってそれは「バッドフォーミー」な問題なのです。
主人公が選択した行動

しかしラストで主人公は恋心を手放すような余韻が漂います。
≪俺はまたしてもふりだしに戻ってしまった≫
好きな人に全く近づけないと悟った主人公が取った選択は「忘れること」。
こうして主人公は再び本音を隠し、胸の内を静かに収めるのです。

1ヶ月無料で音楽聴き放題!
通常880円/月のAmazonMusicUnlimitedが今なら1ヶ月で体験可能!
この機会に聴き放題サービスをお試ししてみよう!
いつでも解約OK!
おわりに
いかがでしたか?
『Pretender』が”陽”だとすれば、『バッドフォーミー』は”陰”の失恋ソングといった具合でしょうか。
成就しない恋への未練がリアリティをもって迫ってくる隠れた名曲でした。ぜひ聴いてみてください!