DECO*27(デコ・ニーナ)さん「アンドロイドガール feat. 初音ミク」の歌詞の意味を考察します。
6thアルバム「アンドロイドガール」(2019年5月)の表題曲。
DECO*27さんが作詞・作曲した「アンドロイドガール」の歌詞を紐解きましょう。

アンドロイドガール 歌詞考察!
「二息歩行」との関連性

「アンドロイドガール」は1stアルバム「相愛性理論」(2010年4月)収録曲「二息歩行」とそのリメイク、7thアルバム「アンデッドアリス」(2020年12月)収録曲「二息歩行 (Reloaded)」の間に作られた続編。
波摘さん著、akkaさんイラスト、DECO*27さん原曲のボカロ小説「小説 二息歩行」(2015年2月、KADOKAWA)もあり、時系列的には「二息歩行」→「小説 二息歩行」→「アンドロイドガール」→「二息歩行 (Reloaded)」の順番です。
そのうち「二息歩行」で描かれているのは、好きな相手を言葉で傷つけてしまう少年と、少年が暴言を吐く前に口でふさいで息を吸う少女ニーナによる歪んだ恋愛。
「もういっそ~一生僕が吐く言葉吸って息絶えて」という「二息歩行」ラストの歌詞につながるのが、「アンドロイドガール」冒頭の歌詞です。
「一生」と韻を踏んでいる「一緒ランド」とは、「お互いに傷つけ合う、依存関係による2人だけの世界」を表しているでしょう。
「マッチアップ」(自作自演)という言葉もあり、「二息歩行」の楽曲にも小説にも「乗っかった」続編と推察できます。
成長した「僕」にとって、「君=ニーナ」は「嫉妬深い、かまってちゃん」になっていました。

相手を思いやることができなければ、もはや「愛」ではありません。
それでも「1人は寂しい、誰かと一緒にいたい」という気持ちが強いあまり、相手を「好き」だと思い込むのが「妄想」でしょう。
ケンカを繰り返すだけという悪循環の連鎖が待ち受けています。

1番のサビです。
「小説 二息歩行」は「アンドロイド(人間そっくりのロボット)の少年ユウキ」と「触れるだけでアンドロイドを錆びつかせる少女ニーナ」の物語から始まりますが、「アンドロイドガール」では「君=少女ニーナ」のほうが「アンドロイド」。
「二息歩行」では「僕」の暴言を吸うための「キスや息」だったのに、「アンドロイドガール」では「僕」のほうが傷つき、「キスや息」を拒絶するようになりました。
「アンドロイド」のように「愛や続編を再起動」しても、こじれた関係性は良くならないようです。
変われない2人

「壊れたアンドロイド」は常に歯が浮くほどの誉め言葉を言ってもらわないと機嫌を損ねるのかもしれません。
しかしお互いに相手を思いやる愛情をもてない状況になっているので、「僕」にとって誉め言葉は「お世辞」でしかなく、「君」が満足する表現をあれこれ考える(Resize=サイズ変更する)のも「疲れた」ようです。

「併合罪」とは「確定裁判前の、関連しない複数の行為による複数の犯罪」のことで、複数の刑罰が合計されるという特徴があります。
つまり、とくに「ウザい」1つのことだけが気になっているのではなく、大小も数も問わず、すべての「君」に対する「ウザい」という感情が積み重なっているということ。
それほどストレスがたまっているなら、いったん距離を置くか、別れるしかなさそうです。

「二息歩行」(あの頃)でも既に歪んだ恋愛が描かれていましたが、これほどの末期状態ではありませんでした。
リスナーとしても、どうにか「センチメンタル(感傷的)な思い出に浸りたい」ところでしょう。
もしかしたら「あの頃を願うのはアリ」という反応が届き、「二息歩行 (Reloaded)」が作られたのかもしれませんね。

2番のサビです。
「二息歩行」の楽曲とはこじらせ具合のひどいほうが逆、小説とは「アンドロイド」なのが逆ということで、「僕」と「君」の入れ替わり現象が起きています。
こうした点を踏まえて、「僕や君は誰なの?誰が好きなの?」とリスナーに問いかけているようにも受け取れそうです。
小説では、アンドロイドの少年を錆びつかせないように気遣う少女が描かれています。
こうした「想い」は「僕」にも「君」にもありません。
この後、1番のサビの後半「何度愛を~変われなどしないよ」が繰り返されます。

さらに1番のサビの前半が繰り返された後に続く後半です。
好きな相手に暴言を吐く(ナイフを刺す)のは、「二息歩行」の「僕」でした。
ここでも、人称的にはとうとう語り手の「僕」が「君=アンドロイドガール」に対して最悪の暴言を放ったような展開です。
ただ、MVを見ると、「二息歩行」(過去)の2人と「アンドロイドガール」(現在)の2人が重なり、暴言を吐いてナイフを刺そうとするのは女性です。
「僕」と「君」の立場が逆転し、愛憎が裏返ったピークで、ハッと我に返ることはできたのでしょうか。
最後は「2番のサビの前半→1番のサビの後半×2」と畳みかけられます。
「アンドロイドガール」の2人が「変われない」まま終わるのは、リメイク版「二息歩行 (Reloaded)」へとつながる伏線なのかもしれませんね。

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さいごに
「アンドロイドガール」のMVは同名アルバム収録曲「乙女解剖」と「スクランブル交際」、歌詞は2ndアルバム「愛迷エレジー」(2010年12月)表題曲「愛迷エレジー feat. marina」とのつながりも感じられます。
さらに深掘りしてみてはいかがでしょうか。