今回は[ALEXANDROS]の『あまりにも素敵な夜だから』の歌詞を考察していきます!
今回紹介する『あまりにも素敵な夜だから』はNHKドラマ「ミス・ジコチョ―~天才・天ノ教授の調査ファイル~」の主題歌のために書き下ろされました。
「失敗学」をテーマに研究している教授が主人公の本ドラマ。ボーカルの川上洋平さんは制作にあたり、
「誰にでも失敗や間違いはある。でもそれをどう『扱うか』によって未来が変わってくる。このドラマのテーマを知った時、自分はいつもどうしているっけ?もしくは将来起こりうる失敗にどう対処するだろう?と改めて考えさせられました。そんな事を考えながら曲を作っていたのですが、思うように作れず、難航しました。ある程度までは完成していたのですが、どうしても納得出来ない箇所があり、試行錯誤が続きました。」
とコメントしています。
MVの中では、川上さんが試行錯誤して音楽制作している様子が映されています。
曲の感触はステップを踏みたくなるような軽快なメロディがおしゃれですが、歌詞を紐解くと「失敗学」に繋がるような深い意味が散見されます。
一体どのような歌詞なのでしょうか?考察していきます。

『あまりにも素敵な夜だから』歌詞考察
けだるい朝

タイトルから本楽曲は「夜」を舞台にした楽曲だと思ってしまいますが、冒頭で歌われるのは「明け方」の情景。
夜通し踊り明かして、次の日、気付いたら公園で眠っていたといったもの。
公園で寝てしまうほどの夜の次の日は、気怠さや虚しさが襲ってくることが想像できます。
少し”あまりにも素敵な夜”とはかけ離れた情景描写です。
試行錯誤

”Shakedown 1994”は、アメリカのロックバンド・The Smashing Pumpkinsの「Shakedown 1979」という歌い出しから引用しているそうです。
このことについて、川上さんは次のようにコメントしています。
「“1979”を初めて聴いて、『Shakedown』っていう単語を調べたとき、「試行錯誤」っていう意味があるんだっていうことを知って。ビリー・コーガン(The Smashing Pumpkinsのボーカル、ギター)がどういう意味でこの言葉を使ったのかは謎ですけど、いつか使いたい単語だったんですよね。」
こんなところに川上さんの技巧な作詞センスが見えますね。
”お道化疲れて”・”私はただ笑っていたいのに”という歌詞からは、周囲の評価に振り回されることへの疲弊が見えます。
純粋に音楽を作りたいのに、周りの声によって自分を演じなくてはならない苦しさみたいなものが垣間見えます。そんな「試行錯誤」もあるのでしょう。

ここは本楽曲のテーマでもある「試行錯誤」「失敗学」に通ずる歌詞。
日々、いろいろな活動の中で過ちや間違いを繰り返す人間。
そこでできる”あたり散らかした傷”も頑張った証です。
そんな証にも気付けないほどに頑張る人たちの、イライラやもどかしさも切なながら感じられますね。
苦しい「今」も素敵に包んで

重要なサビ部分です。
主人公は冒頭から「気怠い夜明け」にいるはずですが、ここでは「夜」を歌い、それを”素敵”だと形容しています。
つまり「苦しい時間も楽しい時間も、時間軸を超えて自分の立っている位置を強く肯定し、前進していこう」と解釈できるのではないでしょうか。
一見、飲み明かした夜の次の日だけを表しているように見えますが、実は「人生」という壮大なスパンを表現していると言っても良いでしょう。
試行錯誤の末に失敗をしても「今」を尊び、苦しい夜も”素敵だ”とポジティブに捉えているのではないでしょうか?
虚しさをどこへ持っていく?

”9-5pm”は夜から明け方にかけた時間。お酒を飲んで踊るような夜ならば最高の時間帯でしょう。
しかしそんな夜も明ければ、二日酔いや積んだ仕事が待っていて憂鬱が襲ってきます。
その場限りの非現実的な楽しさを終えれば、暗い現実が待っている。
そんな虚無感を誰もが感じたことはあるのではないでしょうか?
しかし”こんなとこで終われない”と、虚しさすらも次への糧に変えていこうとする姿勢が見えます。
失敗が成功に変わっていく

試行錯誤して進む毎日においては「ミス」が生じることも多々あります。
慣れてくる毎日の作業の中でも、簡単なケアレスミスをすると自己嫌悪に陥ってしまいますよね。
しかしここではそんな「ミス」も「様」に変化すると述べられています。
失敗すらも糧になっていくという強い確信が込められています。
人生は思ったより短いから

2番サビ。
人の一生は、長いように見えて、実は瞬きくらいに短いもの。
だからこそ「怯え」や「恐怖」を抱く時間はもったいないと述べられます。
周囲の評価を気にして足掻くのならば、傷ついて失敗してでもありのままの姿で前進しようというメッセージが込められています。
今まで「失敗」のマイナス面が綴られていましたが、徐々に「プラス面」つまり「失敗は成長のもとであること」が強調されていきます。
失敗を超えた先に見えるもの

ここは
「誰もがみんなミスを犯す。
そのたびに胸が痛むよね。
揚げ足取るやつ、うんざりするよ。
君に一杯のコーヒーをおごってあげよう。
そうすれば一日の終わりには
君はそのことをきっと忘れているさ。」
と訳されます。
冒頭の夜明けの憂鬱感は拭われて、ミスをしてでも前を向いて歩んでいく強さ、達観した軽やかさすらも感じられますね。
自分軸を獲得し、まさに”様”になった主人公の登場です。
傷はそのままかさぶたになって

ミスを犯したり、失敗した時にできた心の傷はかさぶたのようになって、消えることはないでしょう。
しかし傷の無い人より傷を持っている人の方がずっと次への躍進も大きなものになるに違いありません。
憂鬱がやってきても踊り果てる

ラストのサビ。2番と同じです。
タイトルとは裏腹に、人間の弱さや過ちをも包み”踊り果てるよ”と言ってしまう軽やかさが心地のよいラストです。
時に憂鬱な朝がやって来ても、「今」はその瞬間しかありません。
「今」の尊さを感じられるラストで締めくくられます。

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おわりに
いかがでしたか?
曲調やテンポの気高さと共に、生き方も感化される可能性を秘めた楽曲です。
[ALEXANDROS]初心者にもぜひ聴いてほしい一曲です!