アニメ『夏目友人帳 伍』のエンディングテーマにも起用されたAimerの12枚目シングル『茜さす』。
Aimerの優しくうららかな歌声によって紡がれた『茜さす』は、切なさと愛おしさに満ちた壮大エモーショナルソングです。
ジャケ写は秋と冬をイメージさせる赤と白に染まった木が印象的。
「茜さす」とは”赤く照り映える”という意味。万葉集の中にも枕詞として登場し、日本の四季を思わせる日本の代表的な言葉です。
季節が巡っていく中でも“誰かを想い続ける嬉しさと悲しさ”や”次に進んでいく覚悟”を歌った『茜さす』、一体どのような歌詞なのでしょうか?
考察していきます!

Aimer『茜さす』歌詞考察
流れていく季節

季節はめぐっていきます。
主人公はその季節の中で取り残されてしまったのでしょうか?「季節を見ていたかった」という名残惜しい言葉が寂しげです。
「枯れ葉」「乾いた風」「イチョウ並木」という言葉から、冬の寒々しい情景が浮かびます。
不在の誰かを呼ぶ声

「返事のない呼ぶ声」という言葉からは、そこにいない誰かを求めて叫ぶ声を彷彿とさせます。
しかし、その声は雑踏に消されて消滅していくばかり。
主人公の切ない呼び声が、どんどんと消えていく様子が浮かびます。
もしかしたら、大事な誰かは既に存在していないのかもしれません。
あなたなしでは何もできない

「気付いていたのに 何もしらないふり」
この歌詞からは、主人公が少しばかり強がりであまのじゃくな性格の持ち主であるのが分かります。
でも本当は、大事な存在なしには何もできない自分に気が付いた瞬間の歌詞がここです。
失ったあとに初めて、主人公は自分の至らなさに気付いたのでしょう。
後悔や、やるせなさを感じさせる言葉です。
実を結ばない花

「出会えた幻」―まるで、本当はいなかった存在に対して別れを告げるような言葉です。
主人公にとっては、それほどに大事な存在との別れが、幻と思えるほどに儚く、そして尊いものだったのではないでしょうか?
「一輪の徒花」―「徒花」(あだばな)とは”咲いても実を結ばない花”のことを言います。
どこか「幻」と重なるような儚さがあります。
主人公は、実を結ばない恋や絆に対して、そこはかとない悲哀を感じているのでしょう。
強い孤独と伴走しながら

深く赤く染まった空が、夜とともに更けていくのが目に見えるような情景描写です。
『夏目友人帳』の舞台になった田舎を彷彿とさせるような風景が目に浮かびます。
「今は一人」という歌詞から、主人公の孤独感が強く感じられます。
となりにいたはずの大事な存在を思って、悲しく歩くような帰り道でしょうか。
月の上らない夜

二番でも「幻」という言葉が綴られています。
”本当は存在しない誰か””自分にしか見えなかった存在”のことを示唆しているようにも思え、『夏目友人帳』の内容にも重なる部分があります。
星も光らない真っ暗な夜と、孤独な心情が合い混ざって、胸に募る痛みがじんじんと深まっていく様子が伝わってくような文学的なシーンです。
歩んできた軌跡を信じる

それぞれの苦しい思いを抱えながらも、朝はやってきて日はどんどん進みます。
生きている意味はあるのか?なぜ生きなくてはならないのか?
そんな問いが頭を掠めていく瞬間もあるでしょう。
しかし「歩き続けるための願い」という言葉があることで、自身が確実に歩んできた軌跡を肯定することができそうな歌詞です。
苦しくても「間違っていなかった」と思える言葉が重く響きます。
次に進むための「さよなら」

「出会えた幻にさよならを」―。ここの「さよなら」にはひときわ強い感情が込められているように思えます。
主人公は、次に進むために意味のある「さよなら」をしたのだと感じます。
強い痛みの伴う「さよなら」ですが、「出会いを知る」「願いを知る」という言葉がささやかな希望にも聞こえるでしょう。
私たちは、これから出会うべき何か、本当の気持ちを知るために、過去に別れを告げなければならない時があります。
そんな覚悟をも感じられる力強い歌詞で『茜さす』は締めくくられます。

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おわりに
いかがでしたか?
強い孤独感を昇華させてくれる『茜さす』、ぜひ聞いてみてください!
今持っている「痛み」も意味のあるものだと思える楽曲です。